今回はPSプラスの9月にフリープレイとして配信された
バットマン アーカムナイト
をプレイしました。
結論から言えば、PS4とほぼロンチのタイミングの2015年でリリースされたとは思えない、完成度の高いグラフィック、ゲームプレイ、ストーリー体験を提供してくれる隙のない作品です。
10月4日に、ホアキン・フェニックス主演の映画「ジョーカー」の公開を控え、バットマン熱が再び盛り上がってきたので、プレイしてみました。
アクション、ステルス、捜査がすべて進化 少ないボタンで極上のアクション体験
ロックステディ製作の「アーカムシティ」に比べ、アーカムナイトはオープンワールドとして確実な進化を遂げています。
(過去の名作もPS4でまとめておさらいできます・・・アーカムビギンズは入ってませんが)
オープンワールドらしく、各地の拠点制圧、爆弾解体、各エリアに散らばった偵察機の迎撃といった、街を練り歩く楽しみがあります。
前作のアーカムシティより規模が大きくなっただけではなく、バットマンファンおなじみのゴッサムシティを舞台としており、マシンパワーを活かした摩天楼の美しさ、夜の街のきらびやかさと路地裏に潜む危険性などが、見事に表現されています。
世界観が広がったことで、これまでシリーズの流れだった
- コンバット(戦闘)
- ステルス
- グライド
これらのアクションはそれぞれ高速化されています。さらに今回はバットモービルによる射撃戦が加わり、ゲームの幅が広がりました。
ステルスで気づかれてしまうと、地面にタレットを置かれたり、地雷をおかれたり、あらかじめ、気絶した兵士を助ける救護班も用意されています。
逆に、ステルスダウンすることで、まとめてダウンできるスキルをバットマンも使えます。
本作のステルスは、丁寧に一人ずつ処理するのではなく、場合によっては、まとめて処理する大胆さも要求されるという点で、ほかのステルスゲームとは一線を画しました。
すべてのアクションパートが基本2~3ボタンで完結します。効率の良さやコンボのつながりを求めるのであれば、バットマンをアップグレードしたり、操作の熟練度を上げる必要があります。
しかし、プレイスキルは、プレイヤーが「習得しなければ」と思わなければ上がらないようにできており、クリアだけを目指すだけなら、コンバットは□と△だけで済んでしまうゲーム設計は脱帽ものです。
ダークテイストでありヒューマンドラマとしても贅沢なシナリオ
ストーリーは、ノーラン版バットマンでもよく語られていましたが、「バットマン」という象徴やパーソナリティに焦点をあてたものとなっています。
シリーズ集大成でありながら、バットマンの再定義といった原点回帰を根差した作品です。
バットマンは、ブルース・ウェインが過去のトラウマを払拭するために半ばエゴで、蝙蝠のスーツに身を包んで、どんな犯罪者も不殺を貫いて刑務所に入れます。
その象徴がかえって、ジョーカーなどの不秩序な悪党を引き寄せ、ヴィラン(悪党)は、だれがバットマンを苦しめたかを競います。
また、ヴィランのみならずオラクル(元バットガールのバーバラ・ゴードン)、ナイト・ウイング(初代ロビンで、バットマンと折り合いが合わず独自に自警活動)、二代目ロビン、三代目ロビンといった仲間たちとの関係性
ストイックを極めるあまり、仲間との信頼性や安全を顧みなかったバットマンは独善的なヒーローなのか?
特に仲間との関連性は、今まで孤独に戦い続けた過去作とは違った視点で描かれ、戦闘でも仲間と連携して、敵と戦う場面が意図的に追加されています。(これがまた面白い)
サイドクエストもアーカムシティ同様に、特定のヴィランに焦点をあてたものは連続もので、いくつかのミッションをこなして、ヴィランと対峙という流れになります。
ボリュームも申し分なし(特にリドラーは群を抜いて異常)
現在では、1000円ほどのDLCで追加のサイドクエストが購入できます。
こちらでは、マッドハッター、ラーズ・アル・グール、キラークロック、ミスターフリーズが追加されています。
既存マップの流用ではなく、すべてが新規マップというリッチな仕様。
さらに、本編ではピッグ教授をはじめ、ヴィランの精神的な異常性と、凶行というダークな部分に焦点が当たりました。
追加DLCでは、死ねないラーズ・アル・グールの苦悩、守るべきものは何かを考えさせられるクロック、そして妻ノラと対面するフリーズ・・・
といったヒューマンドラマが強めの内容になっています。いずれも映画のエピソードに入ってもおかしくないクオリティです。
しかし、長々とストーリーを語っていきましたが、バットマンのヴィランといえば、やはりジョーカーに尽きる・・・と改めて思い知らされたのが本作です。
アーカムシティで、大量の薬物を自分に投与した影響で命を落とし、バットマンの手によって火葬され明確な死を迎えたジョーカー。
しかし、ジョーカーは死ぬ前に自らの血を病院にばらまき、被害にあったものはジョーカーに精神をのっとられ、ジョーカー同様の凶暴性と見た目になってしまいます。
そしてバットマンも・・・
前作でラーズ・アル・グールの血を投与して、命は助かったものの、ジョーカーの精神汚染から免れることができず。
ストーリーでは終始、ジョーカーが幻想として登場して、バットマンをおちょくったり、バットマンにとっては直視したくない過去をダイジェストでみせてきます。
実にいやらしい(誉め言葉)
ちなみに、本作は追加DLC以外、つまり本編はすべて日本語のフルボイス。
ジョーカーを担当したのは、「ダークナイト」同様、藤原啓治氏。
冒頭は、ダークナイトのジョーカーのような演技でしたが、アーカムシリーズのジョーカーはジョークを連発して、嘲笑する狂喜もはらんでいるので、後半は完全にアーカム仕様のジョーカーに染まってした。
さすがベテラン声優
終わってみると「アーカムナイト」はミッションが淡泊でした。
特にサイトクエストは、同じ作業を繰り返すことが多かったり、目的地までのナビはついていますが、細かい場所は自分で探せという内容が多かったので、一苦労しました。
しかし、細かいストーリーでも「先が見たい」と思わせる魅力的な誘導がされていたと思います。
スパイダーマンもそうでしたが、最近のアメコミゲームは、ストーリーが本当に凝ってますね。
欠点 戦闘とステルスに重点が置かれていることと殺伐としすぎた世界観
欠点にも触れておきましょう
まず、バットモービルの登場で前作のように上空をグライドするだけの舞台としてのオープンワールドにとどまらず、地下に潜ってみたり、膨大なリドルを解いていく遊び要素が非常に増えました。
・・・といっても、MGSVなどと同様に、あらゆる角度でミッションが遂行できるためのオープンワールドという内容です。
地面に落ちて、てくてく歩くとすぐに敵に遭遇して、殴られますし、今作は車に引かれます。
そのため、目的をこなすだけで、オープンワールドというジャンルとして考えると非常に味気ないのは仕方ないです。
また、ストーリーが魅力的といいましたが、アーカムシリーズをいくつかプレイしたり、予習をしないと厳しいです。前作のストーリーを理解していることを前提に話が進みます。
といっても、ヴィランの解説はメニューから見ることができますし
住民たちが逃げて、悪党だけになったゴッサムシティで、スケアクロウと謎のヴィラン、アーカムナイトが暗躍してる
ストーリーの根幹は非常にシンプルなので問題ないかと。
次にゲームプレイは、上記の通りかなり大雑把な内容になりました。
アーカムアサイラム、アーカームシティでは、ガジェットを新しく取得していって、謎やステージギミックをといて、小刻みに戦闘やステルスを入れていくというバランスで進んできました。
一方で、アーカムナイトは、戦闘とステルスの比重が増え、ガジェットの新規獲得も少ないです。全くないわけではないですが、新規ガジェットもステルスの補助になることが多いです。
ちなみに、バットモービルを遠隔操作して解くポイントもありますが、後半からはやや少なくなります。
追加DLCでは、過去作と同様のシュチュエーションでガジェットを駆使する機会が設けられています。
つまり、戦闘とステルスが特に好き・・・という人でないとかなり苦痛な思いをするでしょう。
また、戦闘とステルスも過去作からスピードが向上し、やれることが増えている分、敵の行動パターンも非常に増えました。
しっかり、バットマンを鍛えなければ、戦闘はあっという間に倒されます。これは本当にあっという間にです。
敵の対処方法もこれまでのシリーズに加えて、本作から追加されたものもあり、結構頭を使います。
冒頭に「□と△だけでも乗り切れる」と書きましたが、それはあくまで敵の対処法をしっかり把握したうえで、攻撃する相手を厳選すればそれでも切り抜けられるという話です。
慣れていても、ちょっとした操作ミスで、立て続けに攻撃を受けます。
サイドミッションや本編の後半は、バットマンの体力を最大にあげても苦戦はします。
かなり、ゲーマーに向けた挑戦的な難易度といえますね。
総評するとバットマンファン、特にアーカムシリーズでバットマンを知った人や、アーカムシリーズのファンは必携の作品となっています。
しかし、オープンワールドを楽しむとか、王道のストーリーを追っていくという内容であるならば、後発のスパイダーマンの方が、よくできているという印象です。
それでも2015年発売の作品で、ここまでのクオリティというのは正直脱帽です。
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オープンワールドのボリュームは年々増しています。これは驚異的なスペースですね。だからこそ魅力的なストーリーなしでは、プレイヤーは3~40時間遊んだうえで満足できないです。