バイオハザード生みの親、三上真司氏が手掛けたサバイバルホラー「サイコブレイク」。1作目から複数のダウンロードコンテンツを経て、2作目の「サイコブレイク2」が2017年に発売。
現在も、適度な難易度とほどよい緊張感、効果的な演出によって、評価されている。現行ハードで発売されたサバイバルホラーの新作の中では、「バイオハザード7」に並んで、高く評価されるサイコブレイク2をプレイした感想になります。
ホラーファンはもちろん、サバイバルホラーに関心のある人にもぜひとも触ってほしい1作です。
なお、発売からしばらく経過しているので、サイコブレイク2に関して、ネタバレを多少含みます。
今まで、私がプレイしてきたホラーゲームは
- バイオハザード 1~5、コードベロニカ、7
- サイレントヒル2
- SIREN 1,2
- ラストオブアス
になります。零、クロックタワーなど、ほかの主要タイトルを包括できてるわけではありませんが、定期的にプレイして好きなジャンルです。
サイコブレイク2の箱庭要素は、難易度調整に一役買っている
サイコブレイク2は、リニアで一本道の前作に比べて、箱庭マップを自由に移動しながら、サブミッションを遊んで、武器や経験値を獲得することができます。
半箱庭の遊びが、非常に高く評価されました。
発売当初から、アマゾンレビューでも高評価が散見されました。
中古市場は2000円ぐらいと安価で手に入りますが、中古ショップを数件まわっても、見つかりませんでした。
ゾンビ(本作ではロストと呼称)へ飛び込む自由、全く戦わない自由、ステルスに特化して、かわしながら弾薬だけ補充する自由などがあります。
ミッションや、マップに配置されているアイテムをスルーして、進む自由もありますが、少し歩くと「近くにショットガンの弾がある」「新しい武器が獲得できるかもしれないぞ」とアナウンスがあれば、進みたくなるのが、人の好奇心というもの・・・
一番わかりやすいのは、「バイオハザード4」序盤の村ステージに似ています。
村ステージでは、ステージ内に設置されたコインを一定数撃つと、報酬がもらえたり、ステージにいたるところに設置された、宝物を組み合わせて、売却することでお金がたくさんはいって、武器の強化や新しい武器を獲得することができます。
(TPS、ビハインドカメラ、サバイバルホラー。あらゆるジャンルの礎となった歴史的名作)
サイコブレイク2にも射的ゲームがあり、高スコアを獲得することで、強化アイテムを得ることができ、ゲームを有利に進めることができます
前作は、なるべく避けられる戦いは避けて、弾薬を温存するというのが正攻法でした。一方で、サイコブレイク2は、ステルスを多用すれば弾薬を節約できますが、ショットガンで敵をヘッドショットしまくったとしても、ガンパウダーで弾薬を供給することができるため、ごり押しが許されている難易度になっています。
どのようなプレイスタイルで、「面白い」と感じられるポイントがあり、幅広いプレイスタイルを許容したことで、サイコブレイク2は、あらゆる層から評価された作品となりました。
戦闘 戦略性は健在だが、あらゆるプレイスタイルを許容して、プレイするたびに発見がある絶妙な難易度
武器の強化、主人公のセバスチャンの体力やステルス能力の強化も、メリハリが効いています。
能力を引き継いで2週目を遊ぶことができますが、1周目でも、一つの能力を集中して強化することで、ステルス特化、銃撃特化といった、プレイスタイルが差別化されるのも、面白いですね。
前作でも好評だった、クロスボウを利用した地形攻略(水場に電撃のクロスボウを放つことで感電できる)も、継承されています。
前作では、状況に応じて、クロスボウを使い分けなければなりませんが、サイコブレイク2では、前作ほど攻略において重要な武器ではなくなりました。
しかし、クロスボウの特性を知ることで、セバスチャンの被弾率は格段に下がります。ハンドガン、ショットガンなどでは、単体の敵しかさばけませんが、クロスボウだと、2~3体一気にダメージを与えられるシチュエーションが作れるからです。
サイコブレイク2はかなり恐いゲームである
サイコブレイク2の評価によく見らるのが
ゲームプレイは、格段に自由度があがって面白くなったが、主人公が強化された分、恐さがなくなった
という意見があります。
ホラーゲームにおいては、ユーザーが不便だったり、不自由に感じたりすることが恐さにつながります。バイオハザードのラジコン操作や、SIRENの役立た図(地図にキャラが表示されない)などがそうです。
少なくともサイコブレイク2にこうした不便で、不自由な要素は見当たりません。プレイヤーがやりたいこと、快感と思えることがそのまま反映されることが多く、バイオハザード5のような、シューティングアクションに寄っています。
(とにかく目の前の敵を撃って倒しまくる。4から進化したポイントは少ないが、ゲーム性が180度転換された作品)
しかしながら、サイコブレイク2は恐くないゲームではありません。
序盤で、セバスチャンに対峙するステファノというカメラマンは、舞台となる仮想世界を掌握して、サイコパスぶりを発揮します。
彼の歪な「作品」をプレイヤーが一方的に見せられるシーンが非常に多いです。
実は、この演出面がPS3とPS4のマルチ展開された、前作から圧倒的に進化した要素と考えています。
サイコブレイク2は、最近のホラーゲームの潮流に倣って、謎解きを意図的に少なくなしています。
謎解きを少なくしてしまうと、戦闘ばかりになって、逆に一辺倒で味気ないゲーム性になると思われましたが、「サイコパスの趣向」という演出を加えることによって、不愉快だったり、不気味という印象を植え付けることに成功しています。
見た目のゴア描写に特化した前作と違って、ゴア描写に絡めて、人の異常性、精神的に負担のかかるホラーゲームをサイコブレイクでは、目指していると感じました。
上の画像のように、意図的にライトアップすることで、プレイヤーに注目してほしいアイテムや、風景をうまく誘導しています。
STEMという本作独自の世界観を利用することで、場面転換をふんだんにとりこみ、リッチなロケーションを再現しています。
他にもホラーゲームに対してのレビュー記事をいくつか書いています。よろしければ参考にしてみてください。
ストーリー 微ネタバレあり 主人公についてはわかりやすく説明しているが、世界観やクリーチャーは考察の余地があり、単調に見せていない
サイコブレイクは、主人公がなぜ精神病棟から、突然村や井戸といった場所にうつされてしまうのか、という舞台そのものが謎でした。クリアをしても、何が原因でセバスチャンは、STEMに閉じ込められたかわかりづらく、DLCで補足されるという内容でした。
一方で、サイコブレイク2は、STEMの説明を再度行いつつ、主人公は、STEMを政治的に悪用しようとしているメビウスによって、さらわれた娘を救うべく、再びSTEMに乗り込みます。
道中では、娘を救えず、妻のことも信じられなかったことへの罪悪感、前作のトラウマを抱えたまま、STEMに臨んでいるセバスチャンの人間的な弱さが、印象に残ります。
ストーリーがわかりやすくなったことで、二つのメリットが生まれました
- 主人公セバスチャンへの感情移入がしやすくなった
- 何をすべきかが、わかりやすくなったので目の前を描写に集中できる
過去に「SIREN」のように、ストーリーをわかりづらくすることで、世界観への不気味さを感じやすくするという心理効果を狙ったホラーゲームが、話題を集めました。
また、ストーリーをムービーや説明で語りすぎないことで、目の前の世界がなぜ起こっているかを、プレイヤーから自発的に考察させることができます。
しかし、そのような考察をしっかりしながら、プレイする人は少数なわけです。
過去のホラー映画は、主人公に襲い掛かってくるゾンビや、化け物は意味不明なものとして描いていましたが、少なくとも主人公が置かれている立場や、キャラクター設定は明瞭なものが多かったように記憶しています。
サイコブレイクは、主人公のセバスチャンの情報でさえ、曖昧なものとして、提示されていたため、ストーリーのうやむやさが気にかかり、ゲームプレイに集中できませんでした。
そして、サイコブレイク2は、ストーリーがシンプルになりましたが、単調になったわけではありません。
テキストや、道中に表示される死者の残留思念から、メビウスが作り出したSTEMがどのような状況であったかを、考察する余地があります。
しっかり、サイコブレイク2に対して、考察しているYOUTUBERもいますね。
サイコブレイク2とバイオハザード7は、どちらが面白いホラーゲームなのか(それぞれネタバレ少しあり)
もし、あなたに時間とお金が限られているとして、サイコブレイク2とバイオハザード7しか遊べないとすれば、どちらを遊ぶべきか、僕なりの回答を示したいと思います。
ただ、中古市場では、サイコブレイク2は2000円以下で購入できましたし、バイオハザード7もDLCが盛り込まれた完全版が、発売されています。
余裕があるなら、この2作をプレイする価値は十分にあるということは、断言いたします。
評価の軸は
- ストーリー
- ゲームプレイ
- 演出
- 恐さ・臨場感
- 総合
になります。
ストーリー サイコブレイク2
ストーリーは、サイコブレイク2が優れています。バイオハザード7は、よく言えば王道、悪く言えばありきたりな内容です。
サイコブレイク2も、基本的なストーリーはシンプルですが、トラウマを抱えた中年男性が、それを乗り越えるというテーマは、共感しやすく、セバスチャン・カステアノス刑事が、プレイ後も忘れられない存在になります。
また、バイオハザード7のエンディングは、なにかも終わったという達成感がありますが、サイコブレイク2のエンディングは、これから新しい人生を歩んでいく、という力強いメッセージを感じさせます。
ゲームプレイ バイオハザード7
これは、評価がわかれるところです。純粋にアクションゲームとしての面白さは、サイコブレイク2の方が秀でています。
ただ、バイオハザード7は、一人称視点でガードが重要だったり、謎解き、ステルス、戦闘がバランスよく配置されています。
「全くプレイしたことのない新しいゲーム体験」を求めるのであれば、バイオハザード7をプレイする価値はあります。
演出 サイコブレイク2
バイオハザード7は、写実的で、リアリティのある演出を主としており、サイコブレイク2は、幻想的で、悪夢のような演出を主としています。
アプローチは異なりますが、インパクトのある映像描写は、サイコブレイクのほうが勝っていました。終盤になるまで、「そのような魅せ方があるのか」と感心するものばかりでした。
サイコブレイク2のステファノの作品集は、正直今思い出しても辛いです。
恐さ・臨場感 バイオハザード7
恐さを優先するなら、バイオハザード7が勝っています。まさにお化け屋敷のような、そこにいるだけの恐怖、びっくりさせる恐怖、そして不快感のある空気も素晴らしいです。
特に、ちりやほこりの表現は、PS4だからできるといっても過言ではないです。私は追加DLCのみをVRプレイしましたが、初見の人は、少々コストがかかっても、バイオハザード7とVRをセットでプレイすべきです。
総合 バイオハザード7
もし、私が知人に勧めるのであれば、バイオハザード7になるでしょう。
サイコブレイク2も、初見にわかりやすいストーリーになっていますが、1作目をプレイしてこそ感動する、感心する演出があります。
また、サイコブレイク2だけ楽しめるプレイ体験というのものは、あまりありません。その分、過去のサバイバルホラーの良いところをしっかり集めた作品です。
一方で、バイオハザード7は、PS4でなければ成立しない、グラフィック、演出といった要素が随所に見られます。
何度も言いますが、VRとセットで遊びましょう。
最近遊んだ、PS4作品のレビューをいろいろ書いています。よろしければ参考にしてみてください。