日ごろ対談動画などをみていた、格闘キャストの「シン」というある意味、解説者でもありインフルエンサーが、ライジンの女性総合格闘家で絶対的な王者である伊澤星花選手に対して、誹謗中傷的な発言をしたことが、格闘インフルエンサー界隈で話題になっている。
格闘キャスト シンさんの伊澤氏への評価の発言から炎上と現在
現在は、伊澤氏が所属するジムの朝倉未来氏が、「自分の名前を使って稼ぐな」「法的処置も検討」と動画で発言している。
一見すると、登録者20万人近い格闘キャストに対して、300万人以上いる朝倉未来がインフルエンス力でかぶせに行ったように見えるが、実際は「ガチの朝倉未来」というあえて登録者が同じぐらいのサブチャンネルで動画を上げている。
被害者といえる伊澤氏と一緒に動画にうつって、発言しており、格闘キャスト側も炎上についての謝罪動画を述べている。
シン氏は多くの格闘ファンを取り込み、平本蓮選手や、鶴屋怜選手など総合格闘技の著名な選手との対談動画も多く発信されており
近年最も注目される、朝倉未来選手や、井上尚弥選手の動画を特に発信されていました。
今回の炎上の問題点は、「批判と誹謗中傷の違いをシン氏がとらえていなかった」
周囲が指摘するように、近年シン氏は、総合格闘技やボクシングで名のある選手と対談を重ね、解説動画もバズっておりあたかも自分が格闘技のご意見番という慢心があったかもしれません。
そのため今回の伊澤氏への発言は、対象が伊澤氏でなかったとしても誰かに誹謗中傷は向けられた可能性はあります。
ただ、格闘キャスト側も深く反省をしているでしょうし、今後は格闘選手の格闘能力に対しての厳然とした批判にとどめられるでしょう。
格闘技界における批判と誹謗中傷 批判というのはどういうものか?
批判と誹謗中傷の境目はかなり難しく、私も批判や世間のニュースをまとめたと思ったら、それが誹謗中傷ではないか?というところで反省したことがあります。
ネットで情報を発信する以上、情報の真偽であったり、相手が法的処置をとるとらない境界線、相手が傷つく境界線はどこか?それを意識しなければなりません。
ちなみに、格闘技における適切な批判はなにか?適切な批判を定義するのも難しいですが、
- ドーピングしたことが第三者の検査によって判明して失格になった
- 体重超過を何度も繰り返している
- 身体に油をぬるなど明らかな違反行為をした
格闘技は、命をかけて、1つ間違えれば命を奪い合いかねないものになってしまいます。
選手が命を絶たれたとき、事故にはなりますが、その事故が重なり続けると、我々が応援している、楽しんでいる格闘技は果たしてスポーツとして、世の中に認められていいものか?という疑問が社会に降りかかります。
ドーピングや体重超過やルール違反というのは、相手の生命を脅かしてしまう行為です。
命を脅かさないイカサマならいいというわけではありませんが、とりわけ格闘技のルール違反は相手の命を奪いかねない、選手生命を奪いかねない危険かつ非道徳な行為なのです。
その点は、批判があってしかるべきだと思います。
トラッシュトークは誹謗中傷なのか? 格闘家の一般人の違いについて
さらにファンが勘違いしてしまうのが、トラッシュトークについてです。
UFCの会見などでは、コナー・マクレガーが舌戦においてもカリスマ性を見せていました。
現代だと、会見におさまらず、SNSを介したトラッシュトークが展開されています。
とくに有名だったのが、朝倉未来VS平本蓮でしょう。
平本選手はキックボクシングからライジンに転向したのですが、ビッグマウスとは裏腹に、総合格闘技の成績は圧倒的なものとは言えませんでした。
朝倉選手と戦うまではTKOが全くなく、ストライカーとしての素質も問われていました。
その発展途上の段階から、SNSで朝倉氏に絡み、かなり過激すぎる発言が物議をかもしました。
しかし、朝倉氏と対決し勝利したときは、総合格闘技の知名度を現代で一気に押し上げた朝倉氏への敬意と感謝をおそらく伝えたと思われます。
ドーピング疑惑など、やや消化不良な結果になったものの、判定は白。
平本氏は朝倉氏との対決以降は、以前のような過激な攻撃は控え、発言するときも、朝倉選手の格闘家としての長所、短所を分析するような立ち回りになっています。
つまり、あの過激なトークは、数年後の試合を見据えた長期的なトラッシュトークという種だったわけです。
ここで問題になったのが、一般人が格闘家同士のSNSの発言を見て
「俺も発言していいんだ」とおもった層が一定数おり、格闘家にDMで凸したり、リプライで激しい発言をしてしまうという状況が行われたということです。
SNSでの格闘家同士の舌戦は、お互いに顔を見せあっている、その舌戦の先には格闘技界を盛り上げようという想いもあるから成立するものです。
ボクシングで言えば亀田京之介氏が井上選手含めかなり幼稚といえるあおりをしていて、嫌われ役となっているのですが
行動力はすさまじいものがあり、先日カシメロ選手に判定勝利という金星をおさめました。
確かにカシメロは、キャリア下り坂といわれていましたが、それでも戦績は34勝5敗です。世界3階級王座の経歴もあるレジェンド級の選手です。
勝利はしませんでしたが、ルイス・ネリに対して敵地のメキシコに単身突撃して試合。これもなかなかできるものではありません。
亀田家の興行力によって、分不相応のマッチが組まれるという批判もありますが、どのジムに所属するか、どの親や近親者に指導してもらうかというのは、運も才能のうちということなので、ふりかかっているチャンスをしっかりつかんでいる点は、すごいことです。
ただ、平成の時に亀田家とTBSが行ったメディア戦略を今のSNS時代と亀田家に対するイメージを考えると悪手な点もあります。
亀田大毅選手は解説者としては真摯で、過去の反則についてしっかり受け止めている点から、ボクシングファンから評価は良くなっています。
逆に亀田家に対するイメージがあるからこそ、少しでも真面目、真摯が見えると人の評価は変わるものです。
ただ、逆に悪童ぶりを見せることも京之介選手の魅力なのかもしれないので、アイデンティティを壊したら面白さがなくなるかもしれませんね。
SNSの発言が今後の格闘技の発展に左右するかもしれない話
運営側も、一昔前は一定の体重以上はすべて無差別級、ヘビー級で組まれていましたが、現在は安全基準、選手寿命、より肉薄したスリリングな戦いを成立させるために、ボクシング同様に階級が細かく用意されるようになりました。
それでも、エキシビジョンマッチでは、ライジンの皇治選手VSシナ・カリミアン選手のようなあまりにも大きな体重差のあるマッチが組まれました。
エキシビジョンが組まれた経緯としては、皇治選手がプライベートで起こした不祥事によるものですが、その禊として組むというのは果たして正統だったのか。
このライジンの姿勢などに対して、総合格闘家の青木真也選手は、格闘技全体が今回のエキシビジョンで事故が起こった場合に責任を負わされる、選手もファンも運営も
という重い言葉を残されていました。
この話は、格闘技ファンの普段の情報発信にもつながることで、あまりにも暴力的で野暮な発言をする格闘技ファンが多ければスポーツとして格闘技が評価されることは遠のき「やっぱり格闘技好きな人って乱暴だよね」という負のイメージがつのってしまいます。

