2021年の秋に発売されたswitch専用タイトル「メトロイドドレッド」をプレイする機会があったので購入してクリアまで遊びました。
現在の中古市場ではフリマアプリだと3000円ぐらい、中古ショップだと3500~4000円ぐらいの値段で手に入る作品です。
発売当初は、ボリュームがないことや、今の時代に2Dアクションをフルプライスで製作するという点から、レビュワーの評価は良かったものの売り上げは不安視されていました。
蓋を開けてみると全世界で290万本、国内でもかなり人を選ぶ作品ですが29万本と任天堂のメガタイトルに比べれば、少なくみえますが、このジャンルでこの売り上げは大健闘
今回は、クリアした感想を振り返りつつ、現代でメトロイドドレッドを遊んでも楽しめるかどうかをお伝えします。
今回はプレイ評価に偏った内容になっていて、物語のネタバレなどは含みません。私もメトロイドのストーリーはそこまで詳しくないので
ちなみに筆者がこれまでプレイしたメトロイドは
スーパーメトロイド(未クリア)
メトロイドプライム3(クリア)
(ファンはプライム4を待ち望んでいます)
メトロイドアザーM(クリア)
(メトロイドの中では探索性を薄め、アクション性を高めた作品)
つまり、メトロイドの伝統といえる2D探索型は本作が初めてのクリアになります。
メトロイドドレッドはなぜ難しい? 令和の時代に舞い降りたスーパーファミコン風な作品
誤解を恐れずに言えば、メトロイドドレッドはかなりレトロな手触りと雰囲気を盛った作品です。
ゲームの進行、ムービーの少なさ、ほぼ丁寧だけどたまに訪れる理不尽な要素、ボス敵の強さ
理不尽ではないけどかなり難しく、筆者もクリアまでに120人以上のサムスを失っております。
やり込んでいけば、ボスのパターンをすべて把握して避け切って、攻撃をしっかり与える爽快感があって、とても楽しいですが、敵に当たるだけでダメージも受けるし、サムスは数発受ければ大ダメージだけど、ボスは何十発も打ち込まなければ、倒せません。
また、いまのゼルダのようにボス戦から戻って、体力や武器を潤沢に用意するということはできず、限られた体力、限られた武器で戦う必要があります。
ここにやりがいを感じられるか?息苦しさを感じられるかは人それぞれです。
明らかに死にゲーのようなデザインをされている作品をどう評価するかで、ドレッドの評価はかわります。
また、メトロイドといえば謎解きとか新しいアイテムを駆使する楽しさというイメージを持つ人も多く、それは正しいのですが、本作はかなりアクションに特化した作品であることを強調しなければなりません。
他方ではいわれますが、できればプロコンで遊んだほうが楽しめます。操作が結構忙しいです。
メレー(いわゆるパリィ)や、E.M.M.I.ゾーンというスニーキングゲームもあるのですが、うまく障害物をかわすアクションのうまさが求められます。
(メレーがうまくできないとクリアはほぼ不可能といってもいいぐらいの重要アクション、謎解きだけを楽しみたいという人はここが鬼門)
逆に、ごりごりのアクション好き、昔のマリオやドンキーコングなどを楽しんでいた人にとっては、現代によみがえったメトロイドは、シンプルながらも奥深く、触っているだけで気持ち良い極上のアクションが堪能できます。
メトロイドドレッド 探索 迷いにくいように行動範囲は制限されている 中盤以降の怒涛のボスとアイテムが心地よい
私は、過去の2Dメトロイドや、メトロイドヴァニアをいくつかプレイしていましたが、いつも探索でつまづいて途中でやめてしまうのです。
本作は最新作だから攻略サイトなども取り入れてクリアしましたが、たぶん自力ではクリアできなかったと思います。
探索については、昔のゲームに比べれば親切な点が多いです。
途中から、惑星のあらゆる場所を行き来するのですが、プレイヤーが迷いすぎないように、探索できる範囲はある程度制限されるようになっています。
制限された中で、足元や壁のブロックが実は壊せて先にすすめましたという展開がとても多いです。
でもなかには「ここのブロックが壊せるなんて気づくわけないじゃん」と突っ込みたくなるところもありました。
メトロイドに慣れている人はわかりませんが、ここはストレスの感じる点です。
最初はあまり乗り気ではなかったのですが、中盤以降はボスと新アイテムが30分おきに手に入るような怒涛の展開で、辞め時をうしなうほどに本作にのめり込んでいました。
新しいアイテムは、探索の自由度をあげるとともに、サムスの移動速度や攻撃力もあげるため、惑星の移動が実に快適になります。
メトロイドドレッド 新要素 E.M.M.I.ゾーン
メトロイドドレッドを象徴する新要素が、このE.M.M.I.ゾーンです。
惑星内には、E.M.M.I.ゾーンと呼ばれる場所が設置されており、ゾーンに入ると、サムスを追跡するE.M.M.I.というマシーンがあたりを徘徊しています。
みつかるとサムスを追跡し、接触するとメレータイムに突入、2回設けられたメレーをどちらも失敗すると、即ゲームオーバーになります。
いわゆるステルスゲームなのですが、接触すればほぼ一撃でアウトのE.M.M.I.に対して、どのように逃げるのか、どこがゴールなのかという緊張感がたまりません。
また、じっくりと惑星を探索するというメトロイドのコンセプトに対するアンチテーゼであり、急いで駆け抜けるE.M.M.I.ゾーンはよい刺激になっています。
振り返ってみると印象的な内容でしたが、そこまでうんざりするほどの多さではなかったのも評価点です。
また、E.M.M.I.はゾーン内でオメガブラスターという兵器を取得すると、反撃して倒すことが可能です。
このオメガブラスター操作時はTPS視点になるので、ゲーム性ががわりとかわりますし、オメガブラスターを当て続けないとE.M.M.I.はサムスに突撃し、ゲームオーバーになるので、緊張感は継続したままです。
そして、E.M.M.I.を無事倒すと、新しいアイテムもゲットし、今度はE.M.M.I.ゾーンを思い切り探索できます。
探索が少し苦痛だなつまらないなと思ったときに刺激として、E.M.M.I.ゾーンがやってきて、クリアするとなんと探索が楽しいと思えるようになるなんて・・・
緊張と緩和の使い方が、ドレッドは絶妙なのです。
メトロイドドレッド シンプルなゲーム性を感じさせない豪華なグラフィックとBGM
操作性やアクション面だけなら、以前紹介したデッドセルズのように、メトロイドヴァニアリスペクトのインディーズ作品を遊べばいいです。
しかし、さすが任天堂が手掛ける作品だけあって、ドレッドのグラフィックや音楽とても素晴らしいのです。
音楽は聴いただけで神曲というわけではなく、ステージごとのテーマにあわせたゲームの景観を壊さないものばかり。
一番印象的なのは、E.M.M.I.に発見されたときのBGMですね。あの緊張感はとてもたまらないものでした。
グラフィックも2021年のswitchタイトルの中では、トップクラスで素晴らしい出来栄えです。
ゲームは2Dなのですが、カットシーンは、3D視点でさまざまな角度からサムスと敵との死闘を映します。
2つの画像は対照的で、メカを描くときの光沢、怪物を描くときの質感などは全く異なり、まさに職人芸というべきグラフィックへのこだわりです。
メトロイドドレッド 3000円なら十分に買うべき、秀作
元はフルプライスですが、冒頭でお伝えしたように、中古市場などをみれば3000円程度で購入できます。
それでも、インディーズでも良質なメトロイドヴァニアがでていることは知っています。それを踏まえてもやっぱり原点、サウンドやグラフィックや動かした時の気持ちよさは圧倒的なまでに別格な作品なのです。
3000円でスリリングかつ上質な10時間のゲームプレイができると思えば、相当コストパフォーマンスはいいんじゃないでしょうか。
19年の時を経て発売されただけあって、細かい作り込みや、プレイフィールのすばらしさ。そして人によってはRTAや周回要素の醍醐味などもあり、任天堂の技術の結晶というべき作品に仕上がっています。