北野武 娯楽映画最高傑作「アウトレイジビヨンド」 ネタバレ、あらすじレビューと感想

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2023年の末に、待望の北野武監督最新作「首」が公開されます。
過去に、北野監督で一番すきな作品だった「キッズ・リターン」を批評しましたが、今回は、「アウトレイジビヨンド」になります。
アウトレイジは3部作になっており、ビヨンドは2作目となります。前作アウトレイジは、劇場で見に行ったのですが、ビヨンドは見に行かず・・・結果非常に評判が高いことを後で知り、激しく後悔することになりました。

 

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北野武 アウトレイジビヨンドはなぜ面白いのか?

北野映画の面白さというのは、バイオレンスや哲学的な死生観に目が行きがちなんですが、会話劇としての面白さが一番にあると思います。

 

アウトレイジ3部作では、たけし軍団などから選出されず(ただ、ダンカンさんやガタルカナルタカさんも好きですが)、国内で一流の俳優陣ばかりを集めています。

 

特に西野(西田敏行)と中田(塩見三省)が大友に対して、ドスの効いた声でせまるシーンは、本作屈指の名シーンですね。

ただ、私は布施会長を演じた神山繁さんの人を食ったような演技が、最高に好きで何度でも見たくなりますね。

 

アウトレイジは基本、内部抗争や内ゲバの話になるのですが、アウトレイジビヨンドは、内部抗争の要素もあるのですが、関東の山王会と、関西の花菱会との全面戦争という点で非常にわかりやすいです。

 

さらに、観客にわかりやすいように、主役は北野武扮する大友よりも、ヤクザ同士で相打ちさせて、勢力を弱らせる刑事役の片岡を中心に物語が動きます。

 

最初は、山王会古参の富田(中尾彬)を担ぎ上げて、花菱会と接見させたのですが、花菱と山王が不可侵を結んでいて、リークされてしまい窮地に立たされます。

 

そこで、山王と因縁のある大友を仮釈放させ、木村(中野英雄)とあわせて再び花菱会の協力を得ようとします。

 

北野作品は、自分の私利私欲のために暴力を使う人間はほぼ例外なく死ぬのですが、アウトレイジもその例に洩れません。

 

 

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暴力は振るわなかったが、暴力を利用したことで、制裁を受けた片岡は山王会会長関内と同じ末路を迎えた

壮大なネタバレになりますが、片岡は、ヤクザ同士の抗争を起こさせて、互いに殺し合いをさせるように仕向けていました。

 

時には、自らヤクザの事務所に発砲したり、因縁のあるヤクザにけしかけて襲わせるなどの裏工作をしていました。

 

最後に大友と兄弟の盃をかわした木村が、殺されます。実際に木村を殺すように工作したのは片岡なのですが、片岡は花菱がやったと大友に吹き込みますが、大友は、片岡から銃を渡された瞬間、ためらいもなく片岡を撃ち殺します。

 

これは1作目のアウトレイジにおける加糖(三浦友和)に殺された関内(北村総一郎)を思い出しますね。

 

全て自分の盤面で転がしていたと思いきや、最後に利用していた人間に裏切られるという

 

現代もそうですが、一番人を殺しているのは、殺した本人ではなくそれを命令したり、工作したものではないか?という問題提起にもなっています。

 

この片岡という刑事は、別に頭がキレるわけではなく、もともとは汚職刑事で、捜査の一環とも読めますが、ヤクザに警察や政界の情報を横流しすることで、ヤクザから献金を受けています。

 

裏社会とつながること、利用することになんらためらいのない点で、異常な精神力ですが頭がきれるわけではないです。

 

大友に山王会へ復讐しろとさんざんあおって、最後に花菱を襲えとわざわざ拳銃を渡すわけで、もとから裏で二枚舌、三枚舌の片岡のことを知っていた大友に対して、あまりにも愚かな行動に出たわけです。

 

アウトレイジにおける片岡は、非常に出世欲の強いキャラクターなんですが、警察内で出世したところでメリットがあるのか、疑問が残るところです。

 

アウトレイジ最終章では、警察を殺した大友に対して、韓国のフィクサーである張(チャン)会長にかくまわれているという点だけで、警察は捜査できません。

 

アウトレイジにおける警察というのは、それだけ矮小化された組織ですね。

 

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加藤稔はなぜ山王会を崩壊させてしまったのか?

三浦友和が演じた加藤稔は、一作目から登場しているキャラクターで、会長である関内を殺したことで、若頭から次期会長にそのまま昇進しました。

 

アウトレイジは、義理人情や暴力という旧態依然としたヤクザが次々と死んでいき、インテリや、金融面で優秀な人間が生き残るという話でした。

 

ビヨンドでは、反対に義理人情や暴力がものを言い、インテリたちにリベンジを果たすという話として逆転しています。

 

加藤は、完全に実力主義で大友組だった石原を若頭にまで昇進させています。

 

古参の人間たちは、石原にいいように叱責されて鬱憤がたまっています。

 

加藤は関内のような人たらしの才能はなく、嘘でもほめたり、相手をその気にさせる能力が全くありませんでした。

 

また義理人情に疎く、関内の代から兄弟分だったことで不戦を守ってきた布施に対して、自ら会いに行くということはほぼなく、詫びも部下に届けさせるという点で、あまり好まれなかった様子です。

 

周りをインテリや自分の支持者ばかりでかためてしまったことにより、武闘派を全く作ることができず、中盤から花菱ヒットマンたちにいいようにやられたという点も印象的でした。

そもそもインテリ集団でありながら、特に身を隠していたわけではない大友を見つけるのに、かなり難儀していましたからね。

 

 

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