デッドライジングから12年 箱庭の傑作はいかにして傑作になったか

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昨年の11月にXBOX360の名作箱庭アクションのデッドライジングがPS4にリマスターされていて、それが100円で販売されていたので購入しました。こういう激しいディスカウント商品とか、無料配布セールとかで手に入れたゲームってずっと隅においやってプレイしないってことが多いんですけど、面白かったですね~周りがモンハンモンハン言っている間、僕はずっとウィラメッテのショッピングモールに入り浸ってました。

すでに12年ほど経過しているので、感想に需要が全くないのですが、考察を混ぜ込んでちょっとカオス気味に本作がいかに傑作かを再定義する記事にしたいと思います。

 

 

このゲーム、箱庭というジャンルを活用して、ゲームにのめり込むほどにモール内のギミックを学んで、進路を学んで、アイテム配置を学んで、主人公が強くなって自由に移動できることに快感を覚えるように作り込まれています。

本作は時間の概念が重要となるので、ゾンビの役割はゲームオーバーにするためではなく、プレイヤーの移動を妨害するのが主目的です。そのため行く先に大量のゾンビが待ち構えたり、ダメージを食らう際は時間のペナルティを受ける長いかみつきに発展するなどのルール設計が抜群にうまいです。

メインストーリーとサブストーリーの関係性も巧みで、メインストーリーだけをすすめても空白時間が生まれるので、その間をサブストーリーで消化しながら、レベルを上げ、武器を整えメインストーリーに備えるというオープンワールドのメジャーな流れを制限時間を設けることでよりスリリングに1週1週が全く違うプレイ体験を生み出します。

続編は海外スタッフが主軸になりますが、この1作目はロックマンを稲船氏をはじめカプコンの日本人スタッフが新しいゾンビゲームの概念を作ってやろうというエネルギーに満ち溢れています。

 

限定された空間で最適解を発見させる導入のうまさ

和製ということで、プレイしていくとゲームの導入の巧さに感心します。

メインストーリーとなるCASEFILEの進行などのTIPSが充実しているのはもちろん、「どの武器が強いか?どの手段が有効か?」の刷り込みも非常に巧妙。

例えば打撃武器で強力なマネキンの胴体。モール各所に女性のマネキンが設置されており、それを投げつけたりして破壊することでパーツが割れます。割れたパーツの胴体が本作における強力な打撃武器の一つになります。

  • 武器に耐久値がある
  • 接近戦はゾンビに噛まれるリスクがある
  • 攻撃モーションが武器ごとに異なる

こういう特性を持つ中で、マネキンは耐久値が高く、リーチがあり、攻撃モーションは振り下ろすだけという最速の攻撃。さらに攻撃力も高いと接近戦で重要な要素をすべて満たしています。

そしてもっともマネキンを便利たらしめているのはプレイヤーが最も通う、セキュリティルームへの通行に必須となる倉庫のエレベーター前。エレベーターを開くと大量のゾンビが現れますし、セキュリティルームへ向かう道中で武器が空になることもあります。とにかく手近な武器を試していくうちにプレイヤーが「あれ?マネキンの胴体便利じゃね?」と気づけるような仕掛けがされています。

次に回復の概念。

本作はモール内の食べ物を食べて回復します。その基本的なルールは固形物より飲料水の方が回復量が高いということ。セキュリティルームには冒頭、飲料水とりんごが設置されており、常にプレイヤーが回復に困らないようにストックされています。ここで飲料水の体力回復が高いという導入にもなります。

さらに素晴らしいのはセキュリティルームで設置されている回復アイテムはいずれ完全に撤去されるという仕組みです。これによりプレイヤーは回復するためにセキュリティで籠城することができず、モール内で回復薬を探しつつ、ダメージを受けるというリスク&リターンを考えさせられます。

プレイしていく中で肉やミルクなど回復量の高いアイテムが多数設置されている場所はゾンビが大量に沸く場所であることが多いです。そして本作のボスであるサイコパス。大半は通信を受けてプレイヤーが戦いに行くかを選択できますが、スーパーの店長だけはメインストーリーに組み込まれています。

非常に強力なボスですが、スーパー内には肉、ミルクと回復アイテムが無数にあります。サイコパスとの戦い方を身に着けるとともに、後の探索でセキュリティルームより離れている北エリアのスーパーにいって回復アイテムをストックするかという選択肢が生まれます。

体力が少ない、でも回復したい→ゾンビが大量にいるぞ、いやだな、でも回復しないと後の展開がつらい→なんとか切り抜けて回復した

この押し引きがとてもよくできています。

他方で絶賛されているフランクのレベリングもそうです。

自由に移動できることを快感としていると前述しましたが、レベルアップで主人公の移動速度が上がるゲームってあまり多くありません。(アイテムをつけて早くなるゲームはごまんとあるなかで)

フランクのレベルが上がると攻撃力、体力、移動速度、対ゾンビへのスキルを獲得していきます。強くはなるのですが、それに呼応して敵の攻撃力も順当にあがっていきますし、単体では絶大な能力を発揮するスキルは多いですが、広範囲に有効なスキルがそこまで多くないため、武器の存在感も消えていないです。

仮に本作がオープンワールドのフォーマットで発売されていると、広大な土地でどうするかというインフォメーションを多く用意しないとゲームが成立しなかった恐れがあります。箱庭という限られた空間だからこそゲーム側からではなく、プレイヤー自らが攻略法を発見していく、ゾンビだらけのモールで生きる手段を模索する楽しみを得やすいように作られています。

そしてCASEFILEを放棄するか?CASEFILEのリミットが近づいているので近くの生存者を捨て置くか?という取捨選択

(最終的にゾンビをジェノサイドするよりも生存者をしっかり助けてストーリーを進めることでレベルがガシガシあがります。一番効率的なのはストーリー終盤の特殊部隊をスーパーで倒しつづけることですけど・・・・)

生存者に出会うだけでも経験値は得られるので、生存者に出会うだけであって、セキュリティルームから遠かったら見捨てるってことも是としています。

メインストーリーを素直に進行しようとするとガチガチのタイムスケジュールをプレイヤーが組むことになりますが、それによっていくつもの取捨選択のポイントが発生します。これが本作における自由度です。何でもできるでは、何かをやるために何かを捨てるということを何度もたたきつけてくれる。

この考えは海外ゲーム的な発想です。1週の中にすべてを回収、すべてをハッピーエンドにすることはできず、選択の中には仲間を失ったり、財産を損失するリスクもある。サブミッションそのものが頓挫する可能性もあるということ。

昔は回収できる要素はすべて回収したいと考える人間でしたが、今は「それもゲーム的体験の一つだ」と割り切れるようになりました。選択による可能性のメリットと責任のデメリット。それを常に天秤にかけて結果をたのしむというのがデッドライジングの素晴らしいポイントです。

ネットの普及にあわせた攻略の「穴」

本作の発売はなんと12年も前の2006年です。(ここ重要?)インターネットによる情報交換はすでに行われていましたし、攻略本をおびやかすほどの攻略サイトの充実化もはかられていました。

後にYOUTUBE、ニコニコといったゲームのエンディング、攻略情報を視覚的に見せるという攻略やフラゲを無にするほどの強力な動画共有サイトが台頭しはじめます。

YouTube
YouTube でお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。

その動画共有サイトの台頭以前の作品ですが、作品内の馬鹿っぷり、プレイヤーの魅せ方次第で変わるゲーム性と動画共有サイトにアップされてバズることさえも予期していた出来です。

本作のクリアを最も容易とする武器にリアルメガバスターと小型チェーンソーというアイテムがあります。

前者は平たく言えばロックバスター。後者はサイコパスのアダムというピエロを倒すことで得られます。両者ともに半永久的に得られます。

ある意味、最強武器という位置づけもできますが、過去のカプコン作品と比較してこの2つの仕様は異様です。

というのも、バイオ、鬼武者、デビルメイクライなどは難易度ハードや早解きクリアなど熟練者へのご褒美としてロケットランチャーや無限武器などのご褒美が与えられるという考え方でした。得た時は最高の瞬間ですけど、多くのプレイヤーにとって熟練した腕を取得する過程こそが至上の楽しさであって、最強武器をもらったところで使う機会がないんです・・・・・

逆にデッドライジングのリアルメガバスターの取得条件がゾンビを53000体以上倒す。その方法は地下駐車場で車を乗り継いでひたすらゾンビを轢く。

この方法を自力で導くのは非常に困難ですが、ネットの検索ですぐにヒットしますし。開発側は情報が簡単に共有されるのなら、最適解やクリアしやすい隙をあえて作って話題にしようという意図があったのかと思われます。

小型チェーンソーは威力のみならず耐久力も書籍と組み合わせることで化け物じみた値をたたき出します。これも情報の共有が平易になったことを利用した仕掛けだと思います。

そう考えるとデッドライジング以前のカプコンアクションはアクションゲームだけどドラクエのように半歩先の情報と攻略法だけを提示されて、コツコツとそれに向かってクリアしていくだけという流れだったのでしょう。デッドライジングはFFのフェニックスの尾の活用のように一つ情報を知っているだけで、圧倒的なアドバンテージを得られるという作品です。

10年以上たちましたが、古いゲームであっても「なぜここにこれがあるのか?」という明確な理由が多く、ただ広いモールではなくギミック一つ一つに動機と結果があるという素晴らしい作品でした。