北斗の拳に続いて、蒼天の拳も上海編にあたる22巻までを全巻読むことにした。
Amazonで2025年12月2日現在、1巻~10巻が39円、11巻以降が99円というぶっ飛んだセールをやっており、自室でくつろぎながら蒼天の拳を読めるとあって、すぐに購入した。
北斗の拳のファン向けという立ち位置ではあるが、現在はサミーからパチンコ、パチスロが一定間隔でリリースされており、本作独自のファンもいるんじゃないかなと思う。
蒼天の拳とはどのような漫画? 北斗の拳とのつながり
蒼天の拳の一部にあたる上海編は、コミックバンチで2001年から2010年の10年間に及び
当時コミックバンチは、蒼天の拳とエンジェルハートの2大巨頭だったような記憶がある。
リアルタイムで、5巻まで読んだ記憶があり、青年誌として、残虐描写以上に性的な描写(北斗の拳でも女性の胸などが描写されているシーンが多かったが、蒼天の拳は明らかに増え、性行為を示唆する描写も増えた)が非常に増えた。
また北斗の拳は核戦争後の荒廃した日本や中国といった完全フィクションであるが
蒼天の拳は、第二次世界大戦前の日本軍に侵攻され、混沌とした上海を舞台に、序盤は紅華会と青幇の抗争を描いており、上海を牛耳っていった青幇だったが、主人公の霞拳志郎が日本へ帰ったことや、内部の裏切りが発生し、物語序盤は、紅華会が上海を牛耳っており、青幇の幹部は皆殺しや、生きていても酷い拷問を受けていた。
歴史上の人物も登場しており、虚実混合させた内容となっている。
歴史的な背景を知るともっと楽しめると思うし、北斗の拳をリアルタイムで読んだ世代が、成長し30~40代になっていたとしても耐えうるだけの内容になっている。
反面、北斗の拳のような圧倒的な暴力描写というのはかなり少なくなっている。
内部から破壊され、臓物が飛び出すという描写がほぼなくなっている。
これは1巻の巻頭コメントで、原哲夫氏が「北斗の拳は平和な時代だったからあえて暴力的な漫画を描いたが、蒼天の拳はすさんだ時代になっているので、あえて平和的な内容にしている」
実際、上海の方が20XX年より混沌としているのだが、北斗の拳に比べたら、コミカルな描写、「こんな見た目ありえんだろう」って敵がわんさかと出ている。
笑としては、おっさんギャグ的な内容の延長線上になっている。
蒼天の拳の評価ポイント
原哲夫氏の北斗の拳の時さえ圧倒的な画力を誇っていたが、隔週になったとしてもこんなレベルの画力を隔週でだしていいのか?って描写が連発しており、圧倒的な絵のうまさを堪能できる作品となっている。
蒼天の拳だけでも独立した話として楽しめるのだが、時代は北斗の拳のケンシロウの2代前の伝承者なので、北斗の拳とのつながりが非常に色濃い話になっている。
そして北斗の拳の1部にあたるラオウ編だけでなく、修羅編の北斗宗家の内容も抑えておかなければ完全に楽しめない作品になっている。
逆に上記をしっていると、至上のファンサービス漫画として十二分に楽しめる内容になっている。
22巻で北斗の拳に比べたら1巻1強敵といったスピード感はそこまでないのだが、間延びはしておらず、出された伏線はテンポよく回収されている点も変わらない。
蒼天の拳 名勝負集 拳法家同士のバトルを振り返る
さて、そこまで多くないが蒼天の拳の名勝負を振り返ってみる
霞拳志郎VS霞芒狂雲/霊王(ぼうきょううん れいおう)
北斗劉家拳、孫家拳、曹家拳の総称。三国時代に劉家、孫家、曹家のどれが戦乱を制するかを時の北斗宗家の者達ですら見抜けなかったが故に、三家それぞれに対して分派したということで、北斗神拳は一子相伝ではなかったのか?という疑問は残るが、その背景はまたいつか描かれるかもしれない。
霊王は北斗孫家拳の使い手である。他にはフランスのギーズという軍人も扱う。
闘気を操り、敵に触れずとも秘孔をつける。霞は、霊王と出会ったことで、後のケンシロウがサウザーにはなった天破活殺を編み出す。(天破の構えはもともとあったもの)
霊王は紅華会にやとわれた形で霞と戦うのだが、もともと霞の恋人だった潘玉玲を暗殺の報酬としてもらう約束をしていたが、日本人の霞を愛している潘玉玲に対して憤りに近いものを感じたが、いろいろあって彼女の記憶だけ奪った。
頭蓋骨を変形させ、狂気に落とし込むことや、秘孔変位という秘孔の位置をずらす秘術を完成させる。
しかし、変えようのない秘孔の位置というものが存在し、霞に看破されてしまう。
秘孔変位を行うために自分に秘孔をつくためにアヘンの力を借りたことが代償となり、彼の寿命は残りわずかだった。同時に紅華会の襲撃にあって流れ弾にあたって、息絶える。
霞に「運命の旅を楽しめ」と言い残す。
霞拳志郎VS張太炎
紅華会の二番頭。一番頭の章烈山の母違いの弟。
北斗曹家拳の使い手で、曹家拳は闘気を手にこめると手刀のように切れて、南斗水鳥拳のように扱える。
気力で銃弾をはじくことも可能。
爆龍陽炎突という秘儀によって、手を伸ばしたと思ったら死角の背後まで腕が伸びて、秘孔をつくというとんでもない技も使うし
蹴り技も尋常ではない強さを見せる。彼の強さの根源は、育ての父である章大厳を殺めることであり、正式に北斗曹家拳の伝承者になることだった。
人間性はともかく、拳法家としてのたゆまぬ努力を目の当たりにした、霞と妹を殺されたギーズは、彼に生きることを許し、張もマフィアの世界から足を洗うことを決意した。
流飛燕VSシャルル・ド・ギーズ
流飛燕は、北斗劉家拳の流れを汲む拳法、極十字聖拳という北斗の分派的な扱いであるが、南十字星が宿星だったり、どっからどうみても秘孔をつくというよりは、直接外傷を与える南斗聖拳にしか見えない。
拳法の名前もサウザーの技名っぽい。
蒼天の拳至上、一番謎な戦いで流は、エリカというユダヤ人少女をナチスから守っていた。
なぜなら、ヒトラーが求める希望の目録っていうユダヤ人が隠している美術品をエリカは完全に記憶しているから。
そのエリカとの出会いで、親心や愛が芽生えた流は、ナチスからエリカを守るにふさわしい男を探していたが、絶対、霞よりギーズのほうが適任だろう…フランス軍指揮しているんだから。それにギーズもユダヤ人だったし。
結果的にギーズはなにもできずに、流飛燕に完敗し、致命の一撃を受けるが、出血をとめる秘孔をつくことで、霞に遺言を伝えるために延命する。ギーズは最期まで男を見せ続けた。
北斗孫家拳をギーズが極めていたら、もう少しいい勝負になったかもしれないが、軍人としてのコネクションや出世を考えると、彼は護身術程度に学んだほうが正解だったかもしれない。
霞拳志郎VS流飛燕
とういことで、因縁の対決が開始。
流は、霞の師父の鉄心と同じく背中に十字の傷を受ける。
北斗神拳対策のために、師匠から譲り受けて、千本の手をならべているようにみせて最強の防御を構える。まるで北斗宗家の技見たい。
霞はここで、天破活殺を見せる。
最後は、昔の師匠同士の戦い同様に互いの肉を貫くが、霞が闘気を込めて、流の身体を内部から破壊して勝利する。
エリカの一声によって、自殺しようとした流はとまり、霞も見逃すことにした。
ヤサカVS流飛燕
協会の牧師となって身分を隠し、身寄りのない子供を育てる流の背後から、的確に秘孔をつくという汚い戦法を取ってやってきたヤサカ。
ヤサカは、西斗月拳という拳法の使い手である。
西斗月拳は、秘孔のルーツであり、北斗神拳は北斗宗家だけでは手詰まりだったが、西斗月拳の秘孔と暗殺術を組み合わせることによって、攻守一帯の最強の拳法になった。
北斗神拳を生み出した、始祖のシュケンはこれが広がってしまっては戦乱が生まれるため、拳法を教えた西斗月拳の関係者を皆殺しにしたが
ヤカサの先祖で、シュケンの恋人だったヤーマは自ら死を選び、彼女が身ごもっていたシュケンとの子供だけは居残り、その末裔がヤカサである。
北斗の間合いを見切るために、同系統の流の技を寸前で見切るという芸当を見せるヤサカ。
北斗神拳の秘孔は一撃必殺の傾向があるが、西斗月拳は複数の秘孔をついて、相手を死に至らしめるらしい。
流との対決の成果もあって、霞と対峙したときは、北斗百裂拳を真正面から受けるが、寸前で秘孔が入りきるのをかわす芸当を見せる。
また、ヤサカが突くさいに相手に手を見せないという芸当もできる。
かなり強さを残していたヤサカだったが、出るタイミングが悪く、劉宗武と霞の天授の儀によって、完全な伝承者となった霞によってワンパンでやられることになる。
霞拳志郎VS劉宗武
いわゆるケンシロウVSラオウみたいな本作のクライマックス。
劉宗武は、北斗劉家拳伝承者で、後の北斗琉拳である。しかし、カイオウもヒョウもハンもジュウケイに北斗琉拳を教えられただけなので、正式な最後の伝承者もしかしたら、ジュウケイでとまっているかもしれない。
北斗神拳伝承者は、北斗劉家拳伝承者を倒してはじめて真の伝承者となり、敗北した場合は北斗劉家拳伝承者が北斗神拳を引き継ぐシステムらしい。
一子相伝とはどこへいったのか。
この戦いに至るまでの流れがかなり丹念に描かれており、霞と劉宗武はともに愛を知るものとして描かれるし、死合する前に互いに桜の下で酒を酌み交わす仲にまで発展している。
実際はほぼ互角の実力でどちらが勝ってもおかしくなかった。
蒼天の拳 まとめ、評論
さて、バトルを含めて振り返ってみたが、序盤はノワール映画のような雰囲気で、終盤になると拳法家同士のバトルってところで終着している。
確かに設定的な深みは北斗の拳よりはるかに深くなっているのだが、やっていることが、ものすごい悪い拳法家と霞が戦って、お互いが触発されて改心しました…って流れがかなり多い。
あとみんな「あの時は○○を殺してすまなかった、俺は死ぬべきだ」って改心しすぎな展開になっている…
あと、コマ割りが大きくてページ数が少ないため、漫画が苦手なおっさんでもサクサク読めるのは嬉しかった。
