今回は3月11日に公開されたばかりの、マット・リーブス監督、ロバート・パティンソン主演のTHEBATMAN(ザ・バットマン)のレビューと考察をしていきたいと思います。
今回もがっつりと考察していったり、ここがおもしろかった、つまらなかったと記載していくので、完全なネタバレを避けたいかたは、劇場に足を運んでください。バットマンファンなら、公開しないと思います。
このブログでは、バットマンはじめ映画のレビューや感想をしています。興味のある方は、他の記事もご覧ください。
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ザ・バットマン シンプルな感想 口コミ評判的な話
まず、おおまかな感想をいえば、3時間はあまりにも長すぎて、カットできるところはあったと思うが、サスペンス映画としてもアクション映画としても面白い。
ロバート・パティソンは全く期待していなかったが、いざ映画が終わると、もうロバート・パティンソン以外に次回のバットマンは任せたくなかった。
ゴードン、アルフレッドふくめ、端役も魅力的な俳優が多かった。リドラーのポール・ダノは、圧巻の演技。
ストーリーに関しては、3時間もあるため、丁寧に物語が順序だてて語られていきます。
「この謎や話を聞き逃したかも」と思っても、あとでバットマンとゴードンの掛け合いで、丁寧に復習してくれるので、シリーズで最もわかりやすいバットマンといえます。
ちなみに、私のバットマン歴代ランキングは
1位 ダークナイト
2位 ジョーカー(バットマン映画というべきか・・・)
3位 THEBATMAN(本作)
4位 バットマン(1989年)
つまり、ザ・バットマンはかなり高い位置にいます。
ザ・バットマン アクション、演出、バットモービルの評価について
ザ・バットマンのアクションは多くないものの、興奮した要素も多かったです。
しかしながら、過去作に比べると、カーチェイスシーンは、ダークナイトのほうが好きでしたし、肉弾戦も雑魚敵ばっかりでしたね。
面白かったのは、ロバート・パティんソンのバットマンは、自警活動してからまだ2年しか経過していないので、戦闘が荒いです。
敵の背後を突かれると攻撃を受けますし、パイプや銃弾も浴びまくります。背中にも無数の傷が。
そして、過去のバットマンのようにスマートに敵を気絶させるのではなく、これでもかと追い打ちをかけて、テイクダウンさせます。なかなかしびれましたね。
一方で、全編にわたって、夜の描写が多いので、何が起こっているのかわかりにくかったり、カメラをやたら至近距離でうつすので、気持ちよく見づらい点は指摘できます。
演出に関しては、音楽は素晴らしいものの、ほぼ全編にわたって何かしらBGMがかかっており、サイコスリラーな一面もあるにもかかわらず、緊張感は損なわれていました。
冒頭は、アヴェマリアをかけるというコテコテの演出には、落胆しました。
バットマン初登場時も、ブルースの一人語りが過剰で、暗闇からてくてくと時間をかけて現れるファーストカットは、あまり興奮できませんでした。
のちのシーンでは、上空から突然あらわれるなどシリーズ伝統の、闇に紛れて不意を衝く描写があるのに、冒頭にそれをもってこないのは、もったいないなと思いました。
賛否両論のバットモービルですが、ガラクタ感があるのは面白いです。ティム・バートン版の洗練されたスタイルと、ノーラン版のごてごての戦車のスタイルを足して2で割ったような見た目です。
はい・・・ここから先は、ネタバレになるので、ご注意ください。
バットマンも1人のヴィラン(悪役)であることが強調された作品
ザ・バットマンのメインヴィランは、リドラーです。
リドラーは、ゲームのアーカムシリーズなどでも登場しましたが、シリアルキラーというよりは、バットマンと謎解き勝負をするために、一般人を誘拐したり、命を危機にさらすという、手段にしています。
ザ・バットマンのリドラーは、連続殺人を犯していき、殺人現場で、謎をバットマンに突きつけます。
本作におけるリドラーの行動は、2つあります
- 1つ、バットマンを利用して、汚職に関与しているギャング、警官、検事を殺害する
- 2つ、ゴッサムシティが腐敗しきっていることを、民衆に知らしめた上で、自分のカルト的ファンをつくり利用することで、ゴッサム各地に爆発を起こして、洪水を起こす。
リドラー=エドワードは、孤児出身で、バットマン=ブルース・ウェインの父で資産家のトーマス・ウェインが再計画していた孤児院がトーマスの死によって、とん挫したことで、不幸な少年時代をおくったことへの恨みです。
1つ目の行動が斬新で、いままでバットマンは、悪人を取り締まることしかできません。
ジョーカーのように「コウモリ姿で自警活動をするおもしろいやつ」という理由で、ターゲットにされることで、バットマンがいることで、悪党がのさばっているのか?という問題提起がよくされてきました。
わざわざコウモリの恰好をして、どれだけ挑発されても不殺なので(ティム・バートン版は殺めていますが)、バットマンも精神的に異常であるといわれています。
本作では、リドラーに利用されて、バットマンが謎を解明するごとに、事件が進んでいき、リドラーが汚職している連中を、殺す名目ができるという流れになっています。
リドラーの謎 なぜブルース・ウェインを狙ったのか?
本作の謎として、リドラーのターゲットの中に、ブルース・ウェインがあげられている点です。
ブルース・ウェイン以外は、汚職にかかわっており、明確な犯罪歴のないブルースが狙われるのは、おかしいです。
さらに、直接手を下すのではなく、爆発物を郵送して殺そうとしているのですが、開封したのは、アルフレッドで、この計画だけあまりにも杜撰です。
いくつか考えられる説を考察します
ブルース・ウェインを殺すと信者が離れる可能性があるため、トーマスの遺産=屋敷の爆発という形をとった
リドラーの汚職関係者連続殺人は、自分の信者を増やすための下準備でもありました。
ブルース・ウェインに関しては、トーマス・ウェインの黒い過去を公開することで、天罰を下す大義名分を作ったつもりでしたが、ブルースを直接殺してしまうのは、汚職関係者を殺すことと、全く意味がことなります。
そのため、トーマスの遺産に責任があるというのは、ブルースではなく、権力の象徴である屋敷の爆破という方針に転換したのです。
ただし、エドワード・ニグマにとって、ブルースは、殺したくなるほど憎い存在であることは、強調されています。
ブルースにカーマイン・ファルコーネの謎を暴かせて、自分の目的を遂行するため
リドラーは、どうしても公衆の面前で、黒幕であるファルコーネを突き出したうえで、射殺して、自分がつかまるという筋書きが必要でした。
信者をけしかける最終手段と、リドラーが、アーカムアサイラムに収容されることで安全圏に逃れられる意味もあります。
ちなみに、新市長を最後におそったリドラー信者は、多くが警察関係者でないか?と予測されます。
銃器の扱いが異様にうまいことと、銃器をしっかり用意できること。さらに、度重なる汚職の発覚で、もともと正義感の強かった警察たちが、汚職をきっかけに私刑的なふるまいをするようになったという考察です。
ちなみに、本作でリドラーがブルース・ウェイン=バットマンを知っていたのか?という問題がありますが、知っていた可能性は高いと思います。
例えば、ブルースはセリーナ・カイルを追いかけて、彼女がキャットウーマンになる姿をすぐに発見します。
リドラーは、何年もかけて計画をねっていたため、計画の一部であるブルースウェインを尾行していないというのは、現実的に考えにくいからです。
ラストシーン バットマンが洪水の中、人々を助けるヒロイックな行動について
ラストシーンに関して、リドラーが起こした洪水によって半壊するゴッサムシティ。バットマンは暴力的にリドラーの信者を排除しますが、洪水に巻き込まれた市民たちを助けるという、ヒロイックな姿を取り戻します。
ちなみに、このシーンに至るまで、バットマンが市民を助けるシーンは冒頭であるものの、ずっとバットマンの個人的な戦いにフォーカスされているため、よりこの救助活動が感動的にみえるような構成になっています。
ヒーロー映画においては、重要なシーンですが、個人的にはリドラーの過去について同情的にもなっていたし、バットマンはディランの片棒をかついでいたのでは?という問題提起は刺激的だったにも拘わらず、ありきたりな着地点についたなーと感じました。
本作のリドラーというのは、ダークナイトライジングのベインのように、コミックやゲームのイメージから脱却し、リアリティなキャラに変更されています。
このリドラーって、映画ジョーカーのアーサーフレックに生い立ちや、犯罪方法が似ているし、やや全能感のあるところや、人間心理を利用してやろうってところは、ダークナイトのジョーカーに似てますね。
つまり、ジョーカーを出演しないかわりに、リドラーにジョーカーの役回りや生い立ちも担わせているっていう点が、面白いです。
この長所を、やっぱりリドラーは破壊だけが目的だったんだ・・・という点で終わらせるのが、もったいないなと思いました。
もし、リドラーを捕まえて、エンドロールなら、正義とはなんだ?バットマンは必要なのか?というテーマでずっと考えることができますからね。
だから、ダークナイトライジングは、余韻のないラストですけど、ダークナイトは、いろいろと考察の余地があるラストになっています。
極論言えば、ラストシーンは、蛇足だったなと思います。
以上が、ザ・バットマンに関する考察になります。
結構無理くりな考察になりました。3時間という長大な時間なため、製作者が伝えたいストーリーはかなり解説されつくしていますから。
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