アメリカのドキュメンタリー映画、モーガン・スパーロック監督の出世作「スーパーサイズミー」の続編であるスーパーサイズミー2ホーリーチキンを、アマゾンプライムで見たので、その感想と結果について語りたいと思います。
今回はマクドナルドのみならず、ファストフードチェーン店にまつわる経営、嘘、そして一部の権力者が牛耳っている養鶏産業についても一石を投じた作品になっています。
このブログでは、ドキュメンタリー映画の批評も行っています。よろしければ参考にしてみてください。
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スーパーサイズミー2 ホーリーチキン あらすじ
アメリカ国民の44%が週1で、ファストフードを好むという社会。
スーパーサイズミーで一躍有名になった、モーガン・スパーロックは、自分でファストフード店を経営することを考える。
知人やアドバイザーなどの意見を総括し、モーガンは、チキンのサンドイッチをメインとしたファストフード店経営を考える。
養鶏家を支配するビッグチキンの構造について
早速、養鶏をはじめようとするが、アメリカの養鶏はビッグチキンというトップ5社が独占しており、養鶏家のスタートアップに大量の借金をさせる。
さらに、養鶏家同志を競わせて、成績の悪いもの、ビッグチキンに不利益な情報を流すものには、弱いヒナを意図的に送り付けたり、報酬を下げたりして、事実上の支配構造を作っている。
モーガンは、ヒナを独立している団体から入手し、ビッグチキンに所属しているが、有志で養鶏場を提供してくれる養鶏家を探す。
いざ、鶏を育てると、長年の品種改良によって、食用の鶏は爆発的に育つようになっている。
爆発的な成長に耐えられない一部の鶏は、心臓発作や骨を折って死んでしまう。
最悪の場合、感染症にかかっていたり、病気を患っている危険性もある
ファストフード店による誇大広告と消費者が安心して買ってしまう仕組み
ファストフードチェーンは、モーガンが「スーパーサイズミー」を世に出して、12年経過するが、進歩するどころか悪化している。
商品の中身を変えず、店の外観をレンガにしたり、緑を増やすことで、ヘルシーさを演出。
- クリスピーを連呼→フライは不健康なイメージがある。どっちにしても揚げている
- 100%ナチュラル→加工せず、人口成分不使用
- ケージフリー→そもそも鶏はケージで飼育していない
- 人道的に育てられた→生産者の主観でOK
- ローストを演出するため、焼き目を人工的にいれる
- 「店で割りたての卵です」→真実ではあるが、新鮮ではない
監査すべき農務省は予算が足りず、多くは生産側や会社の判断に任せられている。
当たり前のことを大仰に書き並べ、消費者はその宣伝文句に安心してしまう。
ビッグチキンの支配体制と、ファストフードの現状を踏まえ、モーガンはすべて情報をクリーンにしたうえで、ファストフードを開店。
客は、情報を知り気まずそうに食べるが、知らなかったことを知ることができたという財産を得る。
スーパーサイズミー2 ホーリーチキン 感想 暴走しているのはファストフード店か、消費者か?
ファストフード先進国のアメリカには、膨大なファストフード店がありますが、日本も数だけなら負けています。
この映画を見てから、実際に新店のファストフード店に行くと、ヘルシーさを過激に表現はしていませんが、レンガ調になっていたり、グリーンが基調になっていたりします。
そもそもファストフード店は、原材料や品質にコストを費やせないため、映画で触れられたように、広告にお金をかけて、今まで食べたことのないユーザーに訴えたり、逆にヘビーユーザーをさらにヘビーユーザーにするための工夫が凝らされているわけです。
しかしながら、果たしてファストフード店は悪なのか?と問われると
安くて、味が強烈で、満足感があって、早く食べられるものが欲しい
という消費者の暴走した願望が、今の社会を作り上げているという見方もできます。
そもそも、日本は食品添加物、農薬大国なので、安くて、手軽で、味が過激な商品に対しては、「なぜそのようになったのか?」というアンテナを張り巡らせる必要があります。
ファストフード店をなくすというのは、過激な発想ですが、ファストフード店の環境を変えることは可能です。
例えば、添加物が多かったり、安くて味の強烈な商品を買わないこと、野菜の商品を重点的に買うことで、メイン商品を本当のヘルシー路線に誘導するなど、消費者でもできることはあるでしょう。
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