どうも、今回はコナミがウイイレ2020で、マンチェスターユナイテッド、バイエルン・ミュンヘン、そしてユベントスとオフィシャルパートナーシップを新たなに結んだことに関する記事。
9月になると、毎年のようにウイイレとFIFAの発売で盛り上がる。ライセンスのFIFA、ゲーム性のウイイレと言われていますが、世界的なシェアはFIFAが圧倒している。
資金力と交渉力に物を言わせ、リーグごとのライセンスをFIFAが保有しているため、近年のウイイレは、クラブと個別にオフィシャルパートナーシップを結ぶことで、ユニフォーム、チーム名、スタジアムの使用を可能としている。
同リーグはFIFAシリーズを制作するEA SPORTS社が「リーグライセンス」を取得している一方、ウイニングイレブンはFIFPRO(国際サッカー選手会)より「プレイヤーライセンス」を得ており、リーグ名やクラブ名は偽名ながらも、全ての選手が実名で収録されてきた。
しかし、その苦肉の策もリーグ内で2~3チームという制約があるため、あるシーズンではドルトムントやリヴァプールが実名だったのに、あるシーズンでは、シャルケになっているという事態になっています。
「僕たちにとってのチャレンジは、『ウイイレ』にふさわしく、そしてEAとぶつからないようなやり方で公式ライセンスを取得することなんです。というのも、EAがやっていること、そして彼らが今取得している公式ライセンスは、僕たちが取得しているものとは完全に違うものですから」
「EAは長年に渡りライセンスを独占しています。『ウイイレ』の売りはゲームプレイで、彼らの売りは公式ライセンス取得による信頼性です。つまり、裏を返せば、EAが公式ライセンスを取得していなければ、『FIFA』は狙い通りの結果を出せないということになります。ですので、今は公式ライセンスを取得するための方法を色々と思案しているところです。『ウイイレ』は独占契約が欲しいわけではありません。こちらにも公式な選手やスタジアムを登場させたいだけなんです。ですので、EAと正面からぶつかり合わないような形で公式ライセンスを取得する方法を見つける必要があります」
2017年時点はこのような考えだったようだ。
ウイイレは、早期にバルセロナとパートナーシップを結んでおり、ホームスタジアムのカンプ・ノウを見事に再現した。
一方で、このパートナーシップがFIFAにダメージを与えたかどうか?
FIFAでは、依然としてバルセロナが使用できるし、カンプ・ノウは収録されていないが、レアルのホームであるサンティアゴ・ベルナベウをはじめ、世界中の有数のクラブのホームスタジアムが実名で多数収録されている。
メッシやネイマールの入れ墨までも忠実に再現していたが、そこを重視するのは、よほどのバルセロナファンぐらいだ。サッカーファンならチーム名、ユニフォーム、選手名が実名ならそれで満足するだろう。
今回のユベントスの独占契約を受けて、FIFAのファンは、ウイイレに批判的なコメントを寄せているが、独占契約しかとれないような、ユベントスサイドにも問題がある。
ウイイレは、近年スマホアプリや、世界中のチームから好きな選手を自由に組める「マイクラブ」を主体とした基本プレイ無料のLITE版を主軸に、フルプライス路線で進むFIFAとは違う路線を模索している。
さらにウイイレは、ユーザーの多いアジア圏を中心にeスポーツ事業にも力を入れている。
しかしながら、eスポーツで使用できるチームは、ウイイレがライセンスを保有しているチームのみ。レアルマドリードを使いたくてMDホワイトで戦おうとしてもできない。
チームが限定されているため、2019では、圧倒的なスピードを誇るオーバメヤンとバランスの良いフォーメーションの取れるアーセナルが、非常に人気の高いチームとなった。
ユベントスとの契約は、ビッグネームを招く以上に、eスポーツで世界的に守備で評価の高いチームが使用できるという利点もある。
なぜ、ユベントスはウイイレを選んだのか?
ユベントスの独占契約は、単年ではなく長期にわたるようだ。しかし、ドルトムントのように期間が残っているが、破棄という可能性もある。
FIFAが金を積めば、この契約がいつでも破棄される可能性がある。
ユベントスは近年、イグアイン、ロナウド、そしてデ・リフトといった大型契約を何件も成立させた、ビッグクラブの中のビッグクラブだ。
ライセンスの契約金が、明るみになることはないが、コナミは相当の覚悟を持って、複数年契約を持ち掛けたのだろう。
また、ユベントスのいくらFIFAがチャンピオンズリーグのライセンスに資金をつぎ込んだとはいえ、世界的シェアを誇るFIFAと再度独占契約を結ばないという選択肢は、軽いものではなかったはずだ。
様々な要因が考えられるが、いじわるな考え方をすると、ウイイレのライセンスの少なさが、ビッグクラブには、魅力的に映ったのかもしれない。
ウイイレは、確かにFIFAほどのライセンス力を持っていないが、これまでにパートナーシップを結んだ、バルセロナ、アーセナル、リヴァプールのホームスタジアムの再現度や、パートナーシップを軸に据えた宣伝(特にバルセロナが顕著)という仕事ぶりを見てきたのだろう。
ほぼ、すべてのビッグクラブが使用できるFIFAにライセンスをゆだねることは、多くの人の目に触れることになるが、プレイ層が果たして自分たちのチームのファンか、選手を理解しているかという分析が難しい。
マンチェスター・ユナイテッドも世界一の資産力を持ちながら、補強はケチっているのに、今回はウイイレとパートナーシップ契約を結んだ。
近年では、同じマンチェスターのシティに人気、実力ともにその座を明け渡し、BIG4と言われた栄光もやや陰りを見せている。
さらに、追い風となるのが、ウイイレでリヴァプールのパートナーシップ契約が解除されているため、アーセナルとともにプレミアリーグの名士としての存在感を再び見せたかったのかもしれない。
それは、他のクラブにもいえること。
事実、FIFAだと一つのPVにまとめられていたりするが、ウイイレならしっかりパートナーシップ専用のPVを用意してくれるし、レジェンド選手の紹介で、クラブに愛着をもってもらえる。
クラブも経営であり、利益を追求しなければならない。世界的にヒットしているサッカーゲームを購入してもらっても、プレイしてもらわなければ意味がないのだ。
今回のユベントスライセンス独占により、KONAMIはEAに一石を投じることができたのか?
それは、発売するまで、わからないが、EAもKONAMIと同様にストリートサッカーモードを新しく加えることで、チームではなく選手個人を動かす楽しみにシフトしている。KONAMIとは違うアプローチで、「ライセンスに頼らないサッカーゲーム」を目指している。
ゲームがリアルを追求しすぎたゆえに、この歪なライセンス問題は起こっている。本来は動かして楽しい、プレイして楽しいで、純粋に語られるべきことだと思うが、これも時代の流れなのだろう。