ONE PIECE FILM RED ワンピースフィルムレッド 感想と評価 ネタバレあり ウタについての考察

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日本興行収入ランキングの歴代8位をたたき出し、メディアでもかなり取り上げられた、ワンピースの劇場版最新作、 FILM RED。
私は魚人島編で読むのをやめたのだが、あまりにも賛否両論が飛び交い、話題になったので、Amazonプライム公開から間もなく鑑賞しました。
今回は、率直な感想と、ウタについての軽い考察についてまとめていこうと思います。

このブログでは、映画やアニメの感想や考察を行っています。よろしければほかの記事をご覧ください。

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ONE PIECE FILM RED ストーリーのあらすじ

フィルムレッドとはどのような映画なのでしょうか?

 

ウタというルフィと同世代の少女が、ウタウタの実という人に歌を聞かせたら、自分の意のままに操れる仮想空間に閉じ込める能力を駆使して、争いや裏切りのない世界を作ろうとします。

 

しかし、ウタの能力によって世界に閉じ込められた人々は、ウタが眠るないと仮想世界から脱出することはできず、ウタが死んでしまえば、永遠に仮想世界の中で暮らすことになります。

 

ウタの暴走を止めるため、幼馴染であるルフィと「父親」であるシャンクスは、ウタとウタの背後に暗躍するトットムジカという歌の魔王を打倒します。

 

めちゃくちゃ雑に解説するとあらすじはこのようなものになります。

 

原作ファンへのリップサービスとして、原作キャラをふんだんに盛り込んでおりますが、私のようにワンピースリタイア組でも楽しめる内容になっており、1作で完結した作品となっています。

 

 

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ウタの考察 罪悪感に押しつぶされて、心中してしまう

フィルムレッドにおけるウタは主人公でもありヒロイン、被害者でもあり加害者でもあるという複雑な立ち位置。

 

エレジアという音楽の国にて、封印されていた魔王トットムジカを呼び起こす楽譜を歌ってしまったウタは、トットムジカに操られて、エレジアをほぼ滅ぼしてしまう。

 

ウタの育ての親であり、エレジアの国王だったゴードンはトットムジカを地下に眠らせたことをひどく後悔していたが、おそらくウタが歌ってしまえば、海底に沈めてしまっても、ウタのもとに楽譜が送られ、同じ悲劇は繰り返されたのかもしれない。

 

ウタが歌を歌うということは、人々を喜ばせ、救いをもたらすとともに、魔王であるトットムジカを復活させる破滅でもあります。

 

エレジアを滅ぼしたのは、シャンクスであるということをシャンクスはゴードンからウタに伝えろと支持するものの、島を探索していたウタは自分がエレジアを滅ぼした張本人という事実を知る。

 

ここでウタは選択を迫られる。


ウタを歌うことで人々の命を奪ったことの罪から、歌を歌うことを封印するか、自分の存在を消すか?

 

しかし一方で、ウタの歌を聞くことで勇気づけられる人々の存在も知ることになる。

 

そして、いつ食べたかわからないウタウタの実の能力を利用して、自分の幸せだと思う理想郷(新世界)に導くことが、贖罪(しょくざい)だと考える。

 

しかし、ウタは自分の罪の根幹であるトットムジカを自分の歌の世界と現実世界とリンクさせようともしていた。

 

これは一種の心中であり、世界を巻き込んだテロ行為である。

 

「歌でみんなを幸せにするんだ」という前向きな感情に見えるウタだが、その真意は、島を滅ぼしてしまった罪悪感につぶされており、自暴自棄、自殺志望が行為に現れている。

 

ウタは第三者から見ても暴走した状態となっており、能力を維持するために眠ったら解除という制約を蹴るように、命と引き換えに眠らないキノコを食べ続けていた。

 

一般人であれば、心中するにしても自分のファンや身の回りの人、あるいは自分が嫌いな人を囲って、心中するという思想に行きつくかもしれない。

 

しかし、ウタは世界全体に歌をきかせて、仮想世界に閉じ込めて、自分の命をたって心中させるのだから、かなり性質(タチ)が悪い。

 

本来トットムジカの純粋な悪意がなければ、ウタはエレジアで人を感動させる歌い手になっていただろう。だからウタもトットムジカの犠牲者の1人だ。

 

しかし、ウタは自分の歌によって引き起こされた大量虐殺の罪を自分で抱えきれず、罪悪感に押しつぶされ、一種の心神喪失に陥っている。

 

今までのワンピースが描いてきた敵、海賊というのものは、ウタに比べれば非人道的な行為も平然とやっていた。

一方で、ウタと違って、理性的に人を侵略してきた海賊に対して、ウタは自分でもコントロールできないほど破滅的な感情に支配されている。

 

ある意味、フィルムレッドの敵であるウタは、いままで一番悲劇的なヒロインであり、いままで一番極悪な敵役ともいえる。

 

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エレジアにウタを残したシャンクスの判断は正しかったのか?

ワンピースの評価や考察をみると、自分がエレジアを滅ぼした張本人であり、ウタの罪を遠ざけようとしたシャンクスの判断はかっこいい、男らしいという意見が散見される。

 

実際にこのシャンクスの判断はウタにとって完全に悪影響を及ぼした。

 

もしエレジア崩壊が、トットムジカに洗脳されたウタではなく、シャンクスであるとウタが信じ続けていた場合、シャンクスを恨みながら、一方で音楽配信でファンに励まされ、癒されて、生涯を終えていただろう。

 

しかし、ゴードンの監視下を抜けて、ウタは早い段階で、エレジアを滅ぼしたのが自分であるという事実を知る。

 

さらに、エレジアにはまだトットムジカが眠っており(シャンクスたちはトットムジカを撃退したいと勘違いしていたかも)、ウタの集団心中を実現しやすい最悪の環境に、シャンクスやゴードンはウタを閉じ込めてしまった。

 

ゴードンは確かにウタを愛情深く育てていたかもしれないが、ウタはゴードンに対しての感謝などはなく、彼女の心にはシャンクスに捨てられた、この世の中に放置され、隔離されたというネグレクトを受けたような感傷が残っている。

 

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ワンピースフィルムレッド考察 ウタと現代人

ウタは一般人なので、いままでのワンピースの映画に出てきた海賊などと違い、かなりリアリストな考え方で、現代人に近い思想をもったキャラクターに感じられた。

 

特に目的のためなら、自分の命を簡単に犠牲にできる点が一番の違いだ。

 

ワンピースが世代を超えて憧れたり、評価される要因として、主人公のルフィをはじめ、キャラクターたちが自分たちの夢をかなえるため、欲望をかなえるためにエネルギッシュに行動している姿が、読み手の感情を揺さぶるところがある

 

ウタのキャラクターは今まで語ったように、いままでのワンピースキャラに逆行した動きを見せている。

 

劇中で、ウタが海賊や政府に対して義憤を利用して、民衆を扇動しようという動きであったり

 

ひたすら眠らないけど命を削るキノコを食べ続ける行為が、違法薬物や、風邪薬をODしながら、つらい現実をいきつづけようとする現代の若者に見えて仕方がない。

 

またウタは明確な親がおらず、育ての親としていたシャンクスにも結果的に捨てられたかたちとなっており、ネグレクトのまま、自分の存在が大切でないという自己愛が欠落した状態で、年を重ねている。

 

Adoの楽曲の歌詞も読んでいけば、ウタの繊細な心情をリアルタイムに反映しており、これはAdoの「うっせぇわ」のメッセージ性に共感し、近年、高度な比喩よりも直接的な感情の吐露を歌詞に求めるという流行を取り入れている。

 

以上の点でもフィルムレッドという映画は、平成初期に登場したワンピースというコンテンツが、平成後期から令和にかけての世代や若者の心情などを取り込んで、作品としてアップデートしていくために必要だった作品だったと個人的に考えています。

 

結構賛否両論ですが、ここまで考察の余地があるため、私は好きなタイプの映画です。

 


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