ネタバレあり解説 雨穴氏最新作「変な地図」 各登場人物の解説、謎について考察

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こちらは、最速のネタバレになりますが、雨穴氏の「変な地図」に対して各人物に対しての行ったことを軽く振り返るとともに考察、人物描写について述べていくという話になります。

純粋な面白さなどの書評は以下から、そして過去の雨穴作品への評価の記事も書いています。

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栗原文宜 成長する栗原 母との絆

本作の主人公で、我々が雨穴作品を通してしるあの設計士の「栗原さん」

本作は彼が就職活動に苦戦して、その最中に父から案内された母型の祖母の家で見つけた地図が発端となっている。

母型の祖母は栗原の推理では「自〇」となっており、なぜそうなったかも推理していく。

この通り、栗原氏は常に第三者として、事件について分析していたが、今回は栗原氏の親族にまつわるパーソナルな問題になっている。

変な家以上に栗原氏は理論に傾倒しているが、その理由として栗原氏が5歳のころに大好きだった母が出産で亡くなっていた。母が亡くなったことで感情的におぼれそうになった栗原を止めたが「理性で考える、理性で止める」となった。

しかし、理性を突き詰めすぎてしまった結果、母の死の遠因となった出産、つまり助かった妹に対してのある種憎悪のようなものを抱えてしまった。だから妹に対してはよそよそしく丁寧語なのだ。

祖母の自〇については母にとっても謎であり、母が死ぬまでずっと追及していた。

栗原は母の追求は母が知識欲があまりにも強いからきているものと考え、自分も同じ血が流れているが

親が知りたかったものを知ることで、親にまた近づける、逢える気がしたという極めて感傷的なものだったというのが、本作における1つの感動的なポイントだと思う。

 

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沖上知嘉子(ちかこ) すべての始まり 地図の意味について

本作における重要な情報を担う沖上姉妹の姉で、栗原の母方の祖母。

幼少期から知的で、文献を読んだら理解できるだけの頭を持っていたが、男尊女卑の激しい田舎で、教育を受けることを許されなかった。

それだけでなく、よその男と少し喋ったり、自立をにおわす発言をするとすさまじい暴力を受けてきた。

知嘉子の発案で、集落の上にたっている「お堂」は、噴火をせきとめるために建てられたのではなく、妖怪などを呼び寄せる呪いのお堂であるということを男たちに村全体の祟り事として広めていく。

そしてお堂に近づきすぎて、罰が当たってさらわれたことにして、国道から逃げて自由を獲得した。

「変な地図」を象徴する、妖怪まみれの地図は上の経緯で作成されており、紅茶などに浸すことで、あえて古く作られて量産された。

さらにその地図は、国道にでるための道案内も示唆しており、男にとっては絶望、女性にとっては希望という逆の意味を成す地図だった。

知嘉子にとって誤算は2つあった

1つ、地図をきっかけに自立したい女性が逃げ出せる仕組みをつくれたが、間もなくして鉄道事業の仕事が与えられて、集落の人々は近隣へ移動し、地図の意味が薄れてしまった。

2つ、幼くて真実を話せなかった喜見子は、姉がのこした文献を読み、事故を意図的に起こせるにまで至ってしまった。

以上の点から責任に苛まれた知嘉子は自〇という選択肢を取った。

 

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沖上喜見子(きみこ) 学びは罪なのか?

ある意味、変な地図での黒幕的な存在。

冒頭の日記の内容もミステリーの一部になっている。

残された喜見子は、男性から差別や暴力を受け続ける日常を受けており、その現実から逃れるために、意図的に落盤事故を起こすことになる。

 

当時、矢比津鉄道事業で、母娘山の一部を開通して線路を通す予定だったが、母娘山には断層があり、その断層で作業すると落盤事故が起こる危険性があった。

その危険性を利用し、喜見子は三角点を偽装、ずらすことによって断層にあたる状況で工事させ、落盤事故は起こった。

しかし、その落盤事故では粗暴な男性ばかりがなくなったわけではなく、親切にしてくれた測量士までも巻き添えを食らった。

 

この場合、喜見子は殺人罪となるのだろうか?少なくとも鉄道工事が途中で中止になる可能性もあったし、断層で作業したとしても崩落する確率は100%いえなかった。

動機はあっても故意は認められたかどうかわからない。

一方で三角点を明確に細工してずらしたのは、「境界損壊罪」にあたる

5年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金

 

しかし新設されていたのが昭和35年の1960年だから、1930年代に喜見子が三角点をずらしていたとすれば、これはもしかしたら完全犯罪かもしれない。

確かに彼女を取り巻く環境を考え、その後の落盤事故の流れを考えると、致し方ない面もあるかもしれない。しかし、集団で逃げる方法はなかったのだろうか。

落盤でも絶命させる方法ではなく、男たちを足止めさせてその間で女性たちで逃げる方法はなかっただろうか?

逃げられえたとしても社会にもまれて、姉のように自立できていただろうか?いろいろと考えさせられる。

完全犯罪だったとしても、喜見子に暴力をふるっていない男性も巻き込まれていた可能性が高いし、この崩落事故がなければ、後に矢比津が隠ぺいのために〇人しなかっただろうから、ある意味、黒幕になっている。

 

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矢比津啓徳(やびつ けいとく) 黒幕で本作における純粋悪

本作の黒幕その2

地元の名士で、鉄道会社の会長。経営はできるが、人望がない。

喜見子が犯した崩落事故は、矢比津が犯したミスだと啓徳の父は考えており、何が何でも事故を隠蔽しようとした。

 

山をかぶせたり、最初に引こうとした線路をすべて破棄して、木を植え直したり。

やがて、母娘山に新しい緊急避難口をつくろうとか、観光地のために新しい駅のルートをつくろうと提案するものがあらわれるが、そうなると崩落事故で隠ぺいした死体が大量に掘り起こされることになってしまう。

 

それを危惧した啓徳は、隠ぺいするためにあらゆる資材や人材を投じた。

その犠牲者として帆石一家が被害を被ることになった…

帆石あかりの父の借金を帳消しにする代わりに、観光地開発をすすめていた、鉄道会社の社長を○○し

帆石あかりの母にほいほいと酒の勢いで計画をしゃべってしまい、恨みを買って返り討ちにあう。(あかりの母は喜見子の娘である)

 

彼についてはほぼ擁護できない。

 

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帆石あかり 明るいヒロイン…だがやや記号的なキャラ

本作のヒロイン、明るい性格で栗原の1歳年上。

幼少期に弟が理不尽な交通事故でなくなり、旅館の継ぐのではなく、景観になった。

父が殺人、母が殺人未遂というかなりハードな状況だが、警官は続けられているようだ…

栗原の人間性と対比するために描かれたキャラであり、セリフ数は多いが、どこか記号的なキャラクターになっている。

 

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帆石果乃 栗原のライバル枠

旧姓は沖上果乃

母の遺言といえる日記を目にして、母が何をしてきたかを調査するために、田舎町にやってきて、そのなかで帆石あかりの父と結婚することになった。

栗原とは遠い親戚であり、栗原が祖母→母→栗原と継承されたように、果乃も自分の母が遺した謎を半生かけて解き明かしていった。

今回の栗原はいつも以上に紆余曲折しているが、果乃を比較すると、栗原の異常な推理力、主人公補正がうかがえる。

啓徳を殺めようとしたが、詰めがあまく、啓徳は生きたままだった。

しかし、啓徳を殴る前のやり取りがスマホで記録されており、啓徳が肉体関係を酔っぱらてせまるような感覚だったため、彼女の瓶で殴ったことに減刑の余地があるかもしれない。

 

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