東京医科歯科大学名誉教授、専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学の藤田紘一郎先生による著書
「免疫力 正しく知って 正しく整える」の紹介になります。
免疫力とは何か?という基本的な知識、細胞の働き、細菌の重要性という基本の紹介。免疫力を下げる原因にストレスなどがあげられますが、他の方法も載せられています。
また、具体的に免疫をあげる方法、強化するために必要な食材を優先順位をつくって、ランキングのように見ることができます。
このブログでは、ドラッグストア店員で、登録販売者の筆者が、ドラッグストアでおすすめの商品を紹介、レビューしています。
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感染免疫学の専門家による感染症と免疫力の関係性について 免疫力はなぜ上げる、強化する必要があるのか?
本書の冒頭では、筆者が、コロナウイルスに関する見地がまとめられています。
武漢でパンデミックとなったものは、「新型」コロナウイルスで、コロナウイルスは、これまで人に感染するもので6種類確認されており、普通の風邪にも10%~15%の確率がコロナウイルスによるものです。
過去にパンデミックを起こしたサーズやマーズもコロナウイルスですが、今回の新型は、「無症状感染者」が多いので、感染が拡大しやすい性質があります。
一方でWHOによれば、感染者の81%は軽傷、肺炎や呼吸困難などの重傷が14%、命にかかわる重篤な症状が5%と報告されております。
軽視はできませんが、私たちはどうすれば、無症状、軽傷に抑えることができるか?を考えるべきということです。
重症と軽傷の境目は、個人の持つ免疫力の影響が強いということです。侵入してきたウイルスや細菌を排除するしくみが免疫です。
またテレビで話題になっているワクチンについて。本書ではワクチンは全く効果がないと断言はしていません。ワクチンを接種すれば、病原体を速やかに排除する力が高まると主張されています。
一方で、ワクチンを打った場合でも、最終的に効果を決めるのは自分の免疫力であると結論付けています。
免疫は食生活や歴史の変化によって、失われた免疫の力もありますが、逆にたびかさなる病原体の攻撃から耐えてきた祖先から受け継いで強靭につくられた免疫もあります。
免疫の具体的な働きとシステムについて 免疫力とは何か?
免疫の働きには
- 感染の防衛
- 健康維持
- 老化防止
などにまとめられています。免疫を高めることは、疲労や病気の回復をはやめるだけでなく、うつなどの心の病気になりにくいこともわかっています。
テレビやネットでは、「免疫を高めるために○○を食べればいい」と断言しているものがありますが、ビタミンDや納豆をとるだけで、免疫があがるほど簡単に強化できるものではありません。
免疫には自然免疫と獲得免疫の2種類がある
免疫には、免疫細胞が病原体を発見して闘う「自然免疫」と病原体に感染することで後天的に得られる「獲得免疫」の2種類に分けられます。
免疫細胞が働くことによって、赤くはれたり痛んだりする「炎症」が発生します。炎症は免疫細胞が働いている証拠です。
一方で、自然免疫で倒しきれなかった病原体は、獲得免疫が担当するのですが、自然免疫より強力な力を行使するため、炎症の状態もひどくなります。
免疫で倒しきれなかった抗原に対しては、3~7日ほどかけて抗体ができるのおですが、自然免疫の力が強ければ、抗体ができるまで体をまもり、敵を倒すことできるため、感染はしても無症状ですむことになります。
自然免疫が弱い場合は、獲得免疫が激しい戦いをして、炎症の状態がひどくなってしまいます。
細胞や免疫の働きについては、詳しく本書で記載されていますが、すべてを記載すると文が膨大になってしまうので、今回は割愛します。
詳しくは、本書を読んでいただくか、大ヒットした「はたらく細胞」を読んでいただけるとわかりやすいと思います。
(アニメ化もされており、視覚的に細胞の名前、はたらきを知ることができます。私たち一人一人の細胞の働きがいかに優秀で、助けられているかについて誇りをもつことができます)
綺麗と便利を優先してしまった結果、免疫力をあげる微生物や菌が減少して、アレルギーに悩まされる現代
現代では、免疫を獲得する機会が減少しました。食生活の変化などが最たる要因ですが、農作物に使われている殺菌剤や防カビ剤により、自然免疫を高める微生物を取り込めなくなっています。
ばい菌がほどほどに体内に侵入する生活は自然免疫にとって、機能を高く保ち続けるために欠かせないことになります。
微生物の接触機会が減り、抗生物質の使用機会が増えたことで、乳幼児の感染機会が減った反面、アレルギー疾患が急増しています。これは、自然免疫の力が弱まり、病気の殺傷力は強いけど、身体を悪化させる獲得免疫主体の免疫力になっていることが要因です。
戦前の日本人はなぜアレルギーに悩まされるのか?答えは寄生虫にあった
面白いことに長年の研究により、戦前の日本人のアレルギー疾患やがんが抑えられていた要因として、回虫やサナダ虫といった寄生虫を腸にすまわせていたからということがわかっています。
寄生虫は、アレルギー発生の原因となる抗体を不活性にする抗体をつくることで、人から栄養をもらう代わりに、アレルギーのできにくい体を提供していたのです。
アメリカ主導で、回虫の集団駆除が行われた現代において、同じように回虫を住まわせようとしても、免疫が過激に反応することによって、腹痛や下痢などの症状が引き起こされます。
これは一例で、現代人が「汚い」「不潔」と否定していたものが、実は人を守る役割を担っていたということが、研究で判明しており、新型コロナという新しい脅威に対して、私たちは今一度免疫の働きについて、学びなおす必要があるのではないか?と意識付けられます。
免疫において最も意識するのは、腸内細菌
免疫において腸内細菌がとても大切です。なぜなら腸には、免疫細胞の7割が集まっているからで、食べたものを消化し、体内に吸収する場所になっています。
CMでよくみる善玉菌の乳酸菌は誰でも知っていますが、善玉菌以外に悪玉菌、そして善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方をする大多数の日和見菌で構成されています。
悪玉菌は不要で滅する必要があるといわれていますが、少量の悪玉菌がなければ、善玉菌は常に戦いに備えることができません。
腸内細菌の草むらである腸内フローラをバランスよく育てることで、免疫力を増強させます。
腸内フローラを健康にするためには
- 野菜類、糖類、果物類、全粒穀類(玄米、五穀米など)の植物性食品
- 発酵食品
- 食物繊維やオリゴ糖
この3か条を守ることが大切です。
逆に腸内細菌を傷つける食べ物として、化学合成化された食物添加物を含む食品を食べることです。
熱心に腸に良いものを食べると細菌が増えすぎて逆効果に
ひとつだけ注意点があり、腸によいものを熱心に食べすぎると、小腸の中で細菌が異常に増えすぎてしまって、腹痛やおなかの張り、下痢、便秘などの不調が起こる可能性があります。
腸が本来担当する栄養の吸収もにぶくなり、免疫がじゅうぶんに働かなくなり、逆効果となります。
保存料は菌の増加を防ぐ
保存料の添加物などには、細菌の増加を止めてしまうものが多いのです。保存料の作用は弱いのですが、広く使用されているため、楽や便利さを優先させるあまり日常的にとってしまっています。
また添加物は免疫にとっては「異物」扱いのため、自然免疫の好中球が活性酵素を出します。活性酵素は酸化力が強く、人体にとって危険です。老化の原因や、がん細胞を作り出してしまいます。
活性酵素を出さないために抗酸化物質を出す必要があります。方法は簡単で、よく噛んで食べることになります。1回1秒でゆっくりと30回目指します。
しかし、腸内フローラの環境や勢力図はすぐに変化するため、腸によい食事をはじめたら2週間続けることで、便通がよくなり、風邪をひきにくい身体が形成されていきます。
腸内細菌の量が多いかどうかを判断する材料として、大便の大きさがわかりやすい指標になります。
なぜなら、大便から水分をのぞいた固形部分のうち、半分は腸内細菌だからです。そのため、大便が大きければ、腸内細菌の数が豊富で、腸内フローラの状態が良いといえます。
それでは、具体的に腸内細菌の数を増やしたり、善玉菌のえさになる優秀な食べ物を本書を引用して、紹介していきます。
腸内細菌を増やすためのおすすめの食材 食物繊維、納豆、ニンニクなど ヨーグルトはどうなの?
食事の6割を野菜や豆類にする
これをこころがけることで、腸内フローラのバランスを保つことができ、免疫力がアップします。
現代では白米、パン、ラーメン、パスタ、うどんの食事のほとんどが白い主食で占められています。またこれらは、小麦粉などが使われており、これも体に害を与えます。詳しくは、ジョコビッチ氏の著書で紹介されています。
また江戸時代の絵画などをみて「江戸時代には太った人が見当たらないから、江戸時代の食生活を意識すればやせられる」という奇抜なダイエット法を実践した動画などもあります。
雑穀、イモ類を中心にして、おかずは漬物、みそ汁、納豆などを意識する食生活になります。
日本人に適した発酵食品はヨーグルトではない?
発酵食品は、納豆、みそ、漬物、ヨーグルトなど、生きた細菌を腸にいれることができます。
納豆や味噌も立派なプロバイオティクスです。ヨーグルトが有名ですが、日本人が昔から食べ続けた、植物性の乳酸菌の方が相性が良いのです。
納豆以外にも、醤油、酢、鰹節、ぬか漬け、甘酒などたくさんあります。
食物繊維 オリゴ糖は腸内細菌のえさになる
糖質制限が注目される中、食物繊維もオリゴ糖も糖質の一種ですが、分解・吸収できないため肥満の原因になりません。
腸内細菌は、食物繊維やオリゴ糖を発行させて自らのえさにしまます。ビフィズス菌はオリゴ糖を好みます。
オリゴ糖は、ドラッグストアなどに液状や粉タイプがあり、砂糖の代わりにしようできるものがありますが、過剰摂取には要注意
(ドラッグストアでおそらく最もよくみかける「オリゴのおかげ」)
食事であれば、大豆、ゴボウ、玉ねぎ、にんにく、バナナに豊富です。
大枠の概要は以上になります。あとは個別に筆者がおすすめする食品をまとめてみました。
ネバネバ食品 水溶性の食物繊維
水溶性の食物繊維は、腸内細菌のよい餌になります。発酵しやすいからです。水溶性食物繊維は、様々な野菜やキノコにも含まれていますが、迷ったらネバネバ食品をとるのがおすすめ
納豆+メカブ+やまいものように組み合わせることで、1品で腸内を元気にする食品が完成します。
ゴボウ 腸の清掃 不溶性の食物繊維
不溶性の食物繊維は、腸のなかの不要物をからめとって、大便を大きくします。ゴボウは、不溶性(リグニン)、水溶性(イヌリン)両方の性質を持ちます。
リグニンは、悪玉コレステロールの排出を防ぎ、血糖値の急騰を防ぐ効果もあります。
イヌリンは、ビフィズス菌のえさになり、肥満予防にもよいとされています。サプリメントでもイヌリンを主体にしたものが販売されるほど有名です。
大量に取りすぎるのはよくないため、みそ汁のおかずだったり、ハンバーグのネタにいれたりするのがおすすめです。
納豆 ビフィズス菌を増加
ここまでの文章をよめば、納豆が免疫にとって重要であることは説明不要です。刻み葱をプラスすることで、血流がよくなります。
バナナ 免疫細胞を増やす
免疫に重要なビタミンCは、果物に多く含まれます。
バナナは免疫細胞を増やす優秀な性能を誇っています。
免疫力を増やす効果は皮の黒い斑点があるバナナの方が強化する効果が高いです。購入したバナナが綺麗な黄色であれば、購入して数日置いてから食べるといいでしょう。
そして、バナナは焼きバナナにすることで、甘さがまし、オリゴ糖が増加します。トースターで皮ごと5~10分ほど焼きます。反対もどうように焼きます。皮が真っ黒になれば出来上がりです。
蒸し野菜で食物繊維をとる
加熱すれば、ビタミンや酵素が減りますが、蒸すことで加熱のデメリットを防げます。また、やわらかくなるので、野菜をたくさん食べられやすくなります。
旬の野菜をたくさん蒸して、さらに酢味噌、オリーブオイルなどのディップソースをくみあわせると味も免疫力も向上します。
キノコが体内環境を向上します
キノコは不溶性の食物繊維が多く含まれ、干すことで食物繊維の量が30倍に増えます。そしてナイアシンという炎症を抑える効果があります。
また、インフルエンザ発症の予防になるビタミンDも含まれます。
ビタミンDはシイタケに豊富で、調理前に30分から1時間、太陽の光にあてるとビタミンDが10倍に増えます。
日本人は海藻との相性がいい
海藻類にも水溶性食物繊維が豊富
日本人は、海苔やわかめなどの海藻にふくまれる食物繊維を分解する酵素遺伝子を90%持ち合わせています。
おすすめは、海苔、わかめ、こんぶ、ヒジキ、モズク、メカブなど
衝撃 サプリメントだけではビタミンを合成できない
美容、免疫のためにビタミンのサプリメントを飲んでいる人は多いですが、腸内フローラが貧弱であれば、ビタミンの効果は得られません。
人は体内でビタミンを作り出せません。食べたものから腸内細菌にビタミンBやCを合成してもらうようになりました。
サプリメント単体だと、腸内細菌はエサを得られず、腸内フローラの多様性も育てられません。
レバー、うなぎ、玉子、納豆、乳製品などのビタミンB群と一緒に野菜を一緒に食べるのが効果的です。
旬のものを食べて、活性酵素にそなえる
毒にも薬にもなる活性酵素に対して、旬のものを食べることで、フィトケミカルという抗酸化物質を得られます。
旬で自然の中で育てられた野菜や果物などが豊富に収穫できる季節では、紫外線や外的から守る手段として、フィトケミカルを所有しています。
できることなら、皮ごと食べられるものは、皮ごと、スーパーで野菜を選ぶ際には色や味の濃いものがよいです。
白ゴマより黒ゴマ、レタスよりサニーレタス、しらたきよりこんにゃくの方がフィトケミカルの量が多いです。
玉ねぎの薄皮に豊富なケルセチンは、がん細胞を細胞死に導きます。薄皮は捨てずにお茶パックにいれて、煮込むのがお勧めです。
またアブラナ科の野菜、キャベツ、大根、白菜などはピリっとした辛みがあり、これがフィトケミカルで、抗酸化作用と抗炎症作用を担います。すべての死亡リスクをおさえるという結果が見られます。(キャベツは目立った副作用もないためおすすめされています)
さらにブロッコリーは、200以上のフィトケミカルを有し、血流促進、動脈硬化を防ぐ効果があります。筆者は、ブロッコリーの旬である11月から3月の風邪の多い季節とかぶり、毎日食べておきたい野菜となっています。
免疫力アップの王はニンニク
アメリカの国立がん研究所が、がん予防の食材をまとめて、その頂点にたつ、ランキングをつけるとしたら1位が、ニンニクになります。
筆者も免疫力をアップする食材を1つにあげるなら、ニンニクだといわれています。
ニンニクはビタミンB1の吸収率を高めるため、豚肉などとあわせることで、エネルギーや意欲的なに暮らせます。
ただし、これも食べすぎはよくなく、生のままだと胃をあらしてしまうので、すりおろし、刻みにニンニクを上限4グラムを目安に食べるのがおすすめです。
(食べすぎ注意ですが、黒ニンニクは、甘みも強く、フルーティーで臭みが全くなく、サプリメント感覚で食べることができます)
毎日の油も感染症に影響する
サラダ油、ひまわり油、マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料は、炎症をうながす作用をもったリノール酸を主成分とします。炎症をうながすと、熱が出やすかったり、症状が悪化しやすくなったりします。
日常的に摂取することがおすすめな油は、エクストラヴァージンオリーブオイルになります。
余談ですが、イタリア料理店のサイゼリヤでは、エクストラヴァージンオリーブオイルを店内で自由に使えます。野菜にかけたりして活用している人が多いみたいです。
炎症をおさえる油はほかにも魚や亜麻仁油などもあります。酸化しやすいので、野菜や豆腐にかけるなどして、生のまま1日にスプーン1杯を目安にとることがおすすめです。
(アマニ油やえごま油もドラッグストアで購入できます)
肉も実は避けてはいけない
免疫力の効果には、たんぱく質の摂取も必要です。
タンパク質が不足すると、栄養障害になり、新型栄養失調と呼ばれ、世界でも悩まされている方が増えています。
ただ、脂肪は悪玉菌などの原因になるため、ステーキなどの肉料理を週に2回という頻度で食べるのが、お勧めです。
タンパク質は肉だけでなく、魚などでもとれるため、週2回はステーキにして、他は魚介類にすることが理想。
そして、言わずと知れた大豆もたんぱく質が豊富で、フィトケミカルも含みます。
食事だけでなく、食事中はリラックスし、笑う時間を作ったり、ストレスをためないようにすることも大切です。
藤田紘一郎先生による著書「免疫力 正しく知って 正しく整える」、非常に素晴らしい内容でした。免疫力が私たちにとっていかに日常で重要で無視できないものか。免疫の成り立ちから細胞の働き、そして具体的にどのような食材や生活を心掛けるべきかが、1冊にしっかりまとまっています。
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みんなで免疫を高めて、感染症がきても立ち向かえる身体づくりを心掛けたいものです。