2007年に福井晴敏氏による原作がスタートし、2010年から4年にわたってOVAがリリースされ、リアルタイムでも話題を集めたガンダムユニコーンを全話みたので、考察や謎について感想を述べていきます。
テレビシリーズのガンダムに比べて、人物造詣などは短いため弱
いかもしれないと思いましたが、強烈の個性のキャラが多かったり、ラプラスの箱の真実が宇宙世紀を総括するような内容になっていたりします。
過去に何作品かガンダム考察をやっているので、よろしければご覧ください。
劇場版 機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ ネタバレを含む考察 ハサウェイは道化としてマフティーを演じているのか?
ポケットの中の戦争 ネタバレあり あらすじとともに振り返る なぜ嫌い、つまらないといわれるのか?
逆襲のシャアの解説と考察 シャアとアムロについて 閃光のハサウェイテレビ放映を記念して
ガンダムUC(ユニコーン)は賛否両論? 最高傑作なのかひどいのか?
まず、作品の全体評ですが、逆襲のシャアから3年後の世界なのですが、ZZガンダムのキャラや設定などもしっかり引き継がれており、ZZガンダムファンも報われた作品だったのかなと思います。
富野由悠季が作ってきたガンダムのテイストや、キャラの癖などは踏襲しつつも、ニュータイプに対する解釈だったり、サイコフレームに関しての設定などについて、コアなファンからの批判があるというのも事実。
ユニコーンガンダムに触発されたというのもありますが、バナージやリディがニュータイプとしてかなり万能な存在だったり
逆襲のシャアで起こったアクシズショックが、簡単に引き起こされているなどのご都合主義感が大きかったのでしょう。
単純に面白いかつまらないかでいえば、私の主観ですが、物語に大きな興奮などは感じられませんでした。
物語はラプラスの箱がなんであるかを見つけるために、鍵となるユニコーンにバナージが乗って、ラプラスの箱を目指します。
ラプラスの箱をめぐって、連邦、ネェル・アーガマ、ビスト家、ネオジオンとかなり複雑な人物構成などになります。
バナージやほかのキャラも何回も捕獲されたりして、複数の組織を行き来するのですが、バナージがいなければユニコーンは起動しないので、バナージに命の危険が迫るということもありません。
ラプラスの箱を獲得するために各地を巡って、所定の場所までユニコーンを置くという流れになります。
ただ、その土地や組織の人々によって、100年にわたる連邦(アースノイド)と宇宙に住むスペースノイドの軋轢などが、語られていき、宇宙世紀を総括するという役割は果たしており
「○○すれば、戦争は起こらないんのではないか?」という疑問や提案もあるので、考察好きな方にとっては楽しい作品です。
モビルスーツによる戦闘も兵器をぶっ放すというよりは、白兵や隠密で敵のコックピットを確実に貫いていくという訓練された戦いだったり、確実に相手の命を奪うという戦争の残酷さは示されていますね。
ガンダムUC(ユニコーン) 考察と謎 ラプラスの箱について なぜ祈りとも呪いとも評価できるのか?
ラプラスの箱というのは、宇宙憲章に示された
2.将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者達を優先的に政治運営に参画させることとする。
というもので、メリットを言えば、認知力が上がり、人々や物事を正しくとらえ、理解できるニュータイプが次世代を導ける。
デメリットを言えば、まだジオン・ズム・ダイクンやニュータイプに対する見解が全くなかったため、何をもってして新人類と規定するのか?
ザビ家のように選民思想をもったものたちが覇権を握ってしまえば、とにかく宇宙に住んでいれば連邦の政府運営に入ることができてしまいます。
ネットではラプラスの箱をしょうもないと評価している人もいますが、これがジオン軍に渡れば、確かに厄介ですね。連邦が、不都合な真実を隠蔽していたわけなので。
また、ニュータイプであると誰が判断することができるのか?
そして、ガンダムファンなら知っているようにニュータイプといっても人々の価値観や考え方のベースは変わりません。
それこそ、アムロとシャアは長年にわたって殺し合いをしていたわけなので。
ラプラスの箱は劇中の人物たちが「祈り」とも「呪い」とも評価されていますが、結局それは、ラプラスの箱の内容がいかようにも解釈できるからこそ、人の善意ともいえるし、悪意のある人がとことん利用できてしまうという厄介な代物なのです。
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ガンダムUC(ユニコーン) 考察と謎 フル・フロンタルとは結局、何者だったのか?
フル・フロンタルは赤い彗星(シャア)の再来といわれています。
私の上司がネタバレで「フル・フロンタルはシャアのクローンやで」と言われたのですが、劇中のセリフを見る限り、シャアとは同一人物ではないものの、強化人間であることは確定しています。
顔や声などは手術などでいかようにもなります。
フル・フロンタルは自らがシャアの器であることを自覚しており、人々が期待するのであれば、その役割になりきろうと考えています。
フルフロンタルは、ジオンのエースパイロットとして活躍したシャア・アズナブルと、虐げられたスペースノイドを統率するキャスバル・レム・ダイクンの2つの役割を担おうとしています。
フルフロンタルは作られた存在でありながら、新しい第3次ネオジオンの大佐であり、総帥までも務めています。
フロンタルをつくった人間はいますが、どうなるかはユニコーンですべて明かされていません。
凄腕のエースパイロットというシャアの異名は引き継ぎながらも、スペースノイドの統率という点では、とても役割を全うできたとは言えません。
フロンタルとシャアの一番の違いは、最終的な目的
シャアがアクシズ落としをして地球を住めなくすることによって、地球人が宇宙に行かざるを得ず、地球の環境保全とともに、人類は進化すべきであるという考え(ただ結局は、ララァの仇を討ちたいという目的もあり・・・)
フル・フロンタルはサイド共栄圏という、地球連邦によって独立し、主従となっている各サイドコロニーが経済や資源を共存させることによって、地球を枯渇させるという目的です。
結果的に、どちらも虐げられたスペースノイドの解放と自治というのはあります。
ただし、シャアは地球の人々にも宇宙にきて可能性を広げてほしいという考えや、地球の環境保全のために人は離れるべきという理想であるのに対して
フロンタルは、スペースノイドは長くひどく虐げられたので、彼らが救われるのであれば、地球はもはやどうなってもいい
理想のシャアと、現実のフロンタルがせめぎあっています。この違いをしると結構面白いです。
どちらが正しいというわけではありませんが、もともとガンダムの世界は増えすぎた人口問題を解決するために、人々を宇宙に住ませるという流れだったので、地球人をすべて宇宙に放つとまた似たような問題が発生しそうですね。
ガンダムUC リディ・マーセナス 最も人間臭いキャラクター
私が一番ガンダムUCで好きなキャラはマリーダ・クルスで、そのマリーダを無駄に殺してしまった、リディ・マーセナスが好きなわけがありません。
しかし、完全無欠すぎるバナージやミネバに対して、リディは、UC屈指の人間臭すぎるキャラクターなので、嫌いですが、語ってみます。
リディはマーセナス家という、ラプラスの箱をつくった首相の血を継ぐもので、父も地球連邦の議員です。しかしクエス・パラヤのようにいがみ合っているわけではなく、普通の父子といった感じです。
もともと、操縦するのが好きで、結果的にロンドベルのパイロットとして、ユニコーンの戦争を潜り抜け、マリーダの後釜として、ミネバを奪ったバナージへの復讐として、バンシィ・ノルンに搭乗します。
名家で育てられながら、一方で自由にパイロットになりたい、自分の目的のために努力を惜しまないという側面があるリディ。
冒頭のリディは面倒見のよいお兄さんという印象で、ミネバを自分の家に連れ込んだのも、ミネバが戦争を止めたいという想いに共感したところがあるのかもしれません。
家に帰り、父からラプラスの箱の経緯を聞かされると、自分たちの一族が背負っている責任や重荷に耐え切れず、ミネバと一族を捨てて駆け落ちしないかと提案します。かなり人間らしい。
その後もパイロットとして登場しながらも、バナージが優しさから敵対するロニを討てなかったことを肩代わり
ただし、ミネバに捨てられ、ミネバがバナージを選んだと思い込み激しく嫉妬。そこからみずからバンシィに乗り、ニュータイプを発現させていきます。
なぜリディはミネバに惚れてしまったのか?
ここでなぜリディはミネバに惚れたのか、考察
バナージはミネバに恋心を抱いていたというよりも、閉塞感と目的のなかった自分に生きる道を与えてくれたということで、ミネバを求めます。ラピュタで言うシータに対するパズーといえばわかりやすいでしょうか。まさにボーイミーツガール。
一方で、リディはミネバに対してガチ惚れなのです。
命のやりとりが続く緊迫状態、そして自分と同じような状況であると勝手にミネバを決めつけたり、ラプラスの箱の真実を知って、その責任から解放されたくなったという理由。
男性というのは、責任に壊されそうになったり、気弱になると女性に対して過剰な母性だったり、依存したくなるときがあったりなかったり・・・
そういう点で、大人が多いユニコーンですが、発展途上なリディ・マーセナスはかなり魅力的なキャラに仕上がっています。
マリーダさんを殺した事実は消えませんけど・・・
ということで、かなり長文にわたってユニコーンを語りました。
よく最初のガンダムでも初心者でも大丈夫という声もありますが、宇宙世紀作品を何作かみたほうが、楽しめるのは間違いないです。
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