ドラえもんが好きな知人の紹介で、Amazonプライムで見られるということで、ドラえもん映画の中でも鉄人兵団に並んで、ドラえもん映画ランキング上位にもあがっている「雲の王国」を見ることになりました。
本作は、大津波などの自然災害描写があるため、3.11後の現代においては、再放送やリメイクが難しそうです。
さらに、自然破壊や、株、核の抑止力といった、哲学や社会情勢を踏まえた描写が多い作品になっています。まさに子供だましではなく、子供向けの作品です。
※本ブログは、ネタバレを踏まえたうえで、感想を書いています。
このブログは、映画好きな筆者が、映画の感想や考察について行っています。よろしければほかの記事もお読みください。
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ドラえもん のび太と雲の王国は映画ドラえもんのセオリーをあえて破っているが、泣けるのか?
最近では「ドラ泣き」とかドラえもんの映画の評価点の1つに、「感動できるかどうか」っていうポイントで語られています。
1つには、映画の中の独自の話、映画の中で出会って、別れるという成長と悲しさというものが、うまく描かれているというものがあります。
しかしながら、雲の王国は、誰かと明確に分かれるというわけではなくむしろ、テレビ版でのび太やドラえもんが行った善行や、助けた人々に恩返しをされるという、つながりのある話になっています。
また、「映画版ジャイアンの法則」という言葉があるように、映画になると男気を発動し、優しくなるジャイアンですが、雲の王国のジャイアンは、テレビ版のジャイアントあまり変わらず、粗暴です。
リーダーシップを発揮しようとしますが、天上人の前では、ただの小学生でした。
雲の王国は、設定こそ特殊な設定なのですが、キャラクター性や、のび太たちの成長が、テレビ版から地続きであるということをいくつか、示しています。
おそらく、テレビ版から深くドラえもんを見ている人にとっては、クライマックスのシーンや道中の出会いなどに、感動するのではないでしょうか?
いままで生きてやったことが、報われる瞬間というのは、大きな感動を生みます。
ちなみに、僕はのび太の夢で、ノア計画による大洪水を受けて、自分の100点を受け止めてくれる、親や教師がいないという現実に直面するシーンで、少しジーンときました。
雲の王国は環境問題ではなく、戦争問題であることが表現されたミュージカルシーンについて
物語中盤で、しずか、スネ夫、ジャイアンが、天上人に案内されて、「天国の誕生」と呼ばれるミュージカルを見ます。
内容は、すべての生命が海から生まれ、緑の楽園(地球?)へ定住。白い王という平和主義な王が、他の動物とともに豊かに暮らしていました。
ある時、赤、緑、黒の好戦的な王(モチーフは、スパルタ、三国志、ヴァイキングか?)が、白の王の土地を巡って戦争します。
争いによって、楽園が焼け野原になって、白い王たちは逃げていきます。
逃げた先に、彗星につつまれて、天上界に到着。ここで新しい楽園を築こうとしたが、赤、緑、黒の王が再びやってくる。白い王が神に助けを祈り、洪水がおこり、地上の人間たちを洗い流しました。
こうして、白い王は天井に新しい楽園を築いたのです。めでたしめでたし
このミュージカルって、天上人のお偉いさんが、天上人たちにノア計画を正当づけるための、プロパガンダ(特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為)というのは、明白です。
ミュージカルから考察 天上人がノア計画で地上人を○○させることが目的だったのか?
そして、この映画のキーワードである「ノア計画」なんですけど、洪水を起こして、地上を洗い流して、すべてリセットしたうえで、地球人とその他生物を地上に返すという計画ですね。
地球人が核戦争などされて、影響をうけたらたまったものではないから、一度文明をリセットして、また数千年間安全を得たいという、天上人の本心が垣間見えます。
また、フィクションではありますが、天上で公開されたミュージカルを内容を見る限り、天上人に一部保護された人間や動物は無害だが、それ以外は有害という示唆があります。
おそらく、人を保護するというのは、建前で、一部、選別したり、地球人を無差別に〇してしまうのではないか?という恐れがあります。
なぜなら、ノア計画の試運転が、限定的な場所で使われているだけで、地球全体に洪水をおこしたときに、すべての生命を引き上げることができるのか?
またすべての生命を引き受けるだけの許容量が、天上にあるのか?これが明記されていません。
そもそも、地球を一回破壊して、地球人を滅亡させてリセットさせるやつが黒幕って作品は、本作に限らず、テンプレートといえるレベルで、いろんなフィクションもので、目にします。
現在、ロシアのウクライナ侵攻で、冷戦依頼話題にあがる核の抑止力ですけど、核を撃たれる前に核保有国を核で滅ぼせばいいという考えを持つ指導者があらわれないといえるのか?
天上世界と監視社会
天上世界の首都である中央州に訪れた、しずか、スネ夫、ジャイアンは指輪をプレゼントされて、はめます。
この指輪は一度はめると、とることができず、常に天上軍に監視される発信機の役割を担っています。
現代もスマホのGPS機能で、我々の行動や位置は常に監視されているのではないか?とよく議論されています。町中のいたるところに監視カメラが設置されて、プライバシーはあるのか?とかね。
天上世界は、中央集権な一面があったり、保護という名目で、監視の指輪をつけて、脱走を許さなかったり。なんだか某北の国を連想させますね。
さすがに、低年齢層に向けた映画なので、ガチガチの監視社会の国を描くことは難しいので、作中で軍人の女の子が、しずかたちをかばってりしても、お咎めはなかったです。
このように、天上世界はかなり発達した世界として、描かれており、我々の生きる2022年は、確実に天上世界に近づいています。
一方で、技術革新は、人間が人間を管理しやすい社会を成立させやすくするという危険性もはらんでいます。
関係ない話ですが、ドラえもんの映画をみているのに、ガンダムを見ているような気分でした。
戦争をしらない人が、戦争を起こしてしまったり、シャア・アズナブルは、自然主義を掲げて、地球を住めないようにアクシズ落としさせようとしましたね。
いや・・・天上人ってなんかシャアに似てますね・・・
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