BABYMETALはオワコンなのか?YUIMETALの脱退と今回の3rdアルバムのメタルギャラクシーでの大幅な方針転換について、少し考えてみたいと思います。
3rdアルバムのレビューも兼ねています。
さて、3年半ぶりに発売された3rdアルバムのメタルギャラクシーです。
今回は2枚組となっていますが、16曲で1時間足らずという1曲あたり3分程度の曲が多く、インド調とか、ロシア調とか、民謡っぽいとかバラエティがとんでもない作品になっています。
YOUTUBEで収録曲もアルバムを聴くまでは全く触れず、映像特典も見ておらず、レコチョクでダウンロードして、純粋に曲のみの評価となります。
ちなみに過去のベビメタ評については下記の記事に残しています
1作目と2作目は、JPOPとメタルの融合という一貫性がかなり感じ取られており、デスメタルがベースであってもボーカルのSUMETALの透き通った女性らしい歌声と、YUIMETALとMOAMETALのKAWAII合いの手の化学反応が印象的でした。
YUIMETALの脱退により、SUMETAL単独のヴォーカルで完結する曲が多くなりました。この損失はいわずもがな大きいものになっています。
重要なメンバーを失って、「オワコン」判定を受けたヘヴィメタルやアイドルグループは多いのですが、BABYMETALの作詞・作曲のコア部分は残り続けています。
感想として、大学4年間をずっとメタルづくしだった僕にとって、1枚目の「シャンティシャンティシャンティ」や「オーマジナイ」は革新性があり、既存の音楽とメタルの見事な融合と革新性を見せつけながら3分という枠にパッケージングされており、見事としか言えない内容でした。
「なんだよ、ネットでいわれているようなオワコンとは正反対じゃないか・・・」と思って2枚目も聞いたのですが・・・
(シャンティシャンティシャンティは、過去の曲と比べても現在のSUMETALのヴォーカルとロック、そしてインド調のメロディがすべて高次元で融合した素晴らしい曲です)
実験的で革新的な1枚目と保守的な2枚目との比較とオワコンについて
「2枚目がベビメタらしい」という意見がありますが、1枚目でも「ギミチョコ」「泡玉フィーバー」の意志を受け継いだハードコアから底抜けに明るいポップに転換する「エレベーターガール」やテクノやシンセサイザーを意欲的に使った曲が多く、アイドルソングとヘヴィメタルのユニゾンを感じさせる曲がいくつか感じられました。
逆に2枚目は、典型的なヘヴィメタルソングやメロディが多く、ベビメタにしてはやけに長いインストゥメンタルから始まります。正直「これ入れる意味はあったのかな?」と感じてしまいました。
その後の「ディストーション」、本作発売前からYOTUUBEでも一番注目されていた「PAPAYA」、「B×M×C」はSUMETALの伸びやかなヴォーカルや歌詞のユニークさは光るものの、曲調は従来のヘヴィメタのような一本調子なもの。
現在進行でメタルというジャンルにどっぷりつかっている人はたまりませんが、メタルに対してすでに食傷気味になっており、1枚目に新しい発見やユニゾンを見出した僕にとっては、2枚目は物足りなさを感じざるを得ませんでした。
2枚目と1枚目を逆転させると、伝統→挑戦に映ったかもしれません。ただあえて1枚目から聞く人がおおいことを考えて、1枚目に革新性のあるサウンドを提示したのは、攻撃的なベビーメタルの風潮にあっていると思います。逆に2枚目が相当な保守的に感じてしまうわけですが・・・
メタルファンの間では、2枚目をヘヴィローテーションしている人が多いみたいですね。
僕はメタルファンとは逆の意見で、2枚を通して2枚目のようなヘヴィメタルらしい曲調であえれば、それこそBABYMETALはオワコンだったと思ってしまったかもしれません。
裏を返せば、2ndの「メタルレジスタンス」でアイドルソング、JPOPとメタルの融合は完成形になっていたといえます。
アルバムとしての完成度は、1stと2ndの方がはるかに素晴らしいものだっと感じます。では3作目は駄作で、ベビーメタルはオワコンか?
おそらく、世間の評価も2作目は1作目を洗練化されたものというイメージが強いでしょう。そうなると同じ方向性で3作目を作ってしまえば、伸びしろはなくなってしまい、彼女たちの音楽的表現という成長もなくなって、文字通りのオワコンへと近づいてしまいます。
少なくとも2ndまでの流れを一度断ち切って、金太郎あめな戦略で、媚びずに挑戦する姿勢は素晴らしいと思います。
ただし、メロディだけやけに浮いていたり、歌詞を特徴的なものにしすぎて、これまた浮いている曲も複数あることも事実で、一曲一曲の完成度にかなりのばらつきがあります。
おそらく、メタリカのロード、リロードや、ガンズのUse Your Illusionのように2作に分断して販売する方法も考えられたと思います。
(疾走曲をやめて物議をかもした一枚。ただしミリオンセラーとなったブラックアルバムの意志を受け継いでいる1作目でもある)
しかし、それを回避して二つをつなげて発売したことに意味があると考えています。
驚くことにBABYMETALらしいと感じた曲ほどあまり入れ込めず、新しいメロディに出会った曲ほど面白く聴けるというアルバムでした。
面白いことに、ほかのアーティストであれば「らしさ」を見つけたら喜び、それ以外の曲はあまり評価しないのですが、ベビーメタルに限って言えば、新しい発見をするほどに喜びを感じるのです。