ゲームレビュー

忍道2 散華をいまさらプレイ 何でもできるよりも「やらなくてもいいことがある」という緩さへの有難さ

2016年11月7日

時は2011年冬、PSVITA待望のリリースでPS3レベルグラフィックの作品が携帯で遊べるという話題性とスマホレベルとまではいかないまでも3Gを使ったブラウジング。まさに未来のハイスペック携帯マシーンの到来を期待させた機体だった・・・・・・・

それも5年前の話。現在ではブラウザ機器としてよく使っているが、ソフトはというと……
PS3、PS4ではなくPS4+VITAというマルチ販売をするメーカーも増えたことで、「PS3で遊べないソフトもなんとVITAで遊べる」という意外性は演出できている?と思う。現在でもグラフィックを購入動機にするプレイヤーは多いわけで、携帯機という手軽さでこれがなかったら巡り合わなったというソフトも多々ある。

さて、そんなVITAの勢いを象徴するロンチタイトル「忍道2 散華」をプレイしてみた。
前作に当たる戒は天誅を手掛けたスパイク+アクワイアのタッグということもあり、同作品と類似する点もありながら複数の勢力からオファーされるミッションをプレイヤーが選択して、選択によって勢力図が変わるという侍道シリーズではおなじみのシステムを「ハラキリエンジン」(なんだかかっこいい響き)と命名し、根城の防衛や調合、そして暗殺にいたる手段はプレイヤーの自由という自由度の高さが功を奏しロングテールとなった。

ニコニコ動画でも有名実況主が投稿しており、自由度の高さと敵の反応の豊富さによるばかげーとしての需要が実況動画とうまくマッチングしてバイオ4、SIRENに比肩する勢いを一時期見せていた。
おそらくそういう反応もあって続編である2が決定したのだろう。

あまりにもいまさらなプレイだが、ステルスアクションとしての面白さと忍者ゲームとしてどれだけ楽しませてくれるかを期待しつつプレイしてみた。



(このメーカー、登場人物もBGMも少ないのだがかなり印象的な人物やBGMを作る少数精鋭志向な内容が印象的だ。ちなみにゲームBGMはあまり多くないほうがプレイヤーの印象に残りやすいとおもう)

丁寧さよりも重要な緩さ

一週あたり6時間ほど。調合や脇道のミッションに目もくれず、一人の大名に奉仕し続け淡々と他勢力を蹴散らしつつもメインミッションを消化。
久しぶりに集中してプレイして2日ほどでクリアした。携帯機の利便性と1ミッションあたり10分ぐらいという短さが逆に「あと一つ、あと一つ」という衝動にかられて続けざまにプレイしてしまった。 

この作品、純粋なアクションゲームとしてかなり古風なつくりになっている。
自由度の高さは選択肢が無数にあるというより「これをしてはいけない」という判定がとても緩い。HITMANシリーズに似ていると思う。(あれは決められた選択肢も複数あるのだが)
素直に敵の背後ばかりを狙うシンプルなステルスゲームに執着してもいいし、調合や購入でアイテムを買い込んで遠方から火炎玉や地雷を設置して自分の手は汚さないプレイもできる。

敵の視界外から△をおすことでステルス技の血祀殺法が発動。背後のみならず側面や頭上でも有効で足音に敏感な敵がいれば崖下や上空から強襲して一秒足らずで暗殺することもできる。殺法が可能な位置の場合、「ピキーン」と効果音がなるのも胸を高鳴らせてくれる。

本作の追加要素として相手が気づいていなくて、こちらが気づいている(画面右下の敵アイコンが白の状態)で繰り出せる斬刻(ざんこく)というシステムもある。これは気力ゲージを消費することで相手を一撃で仕留めることができる。
背後に近づく必要がなく、使用後は使用した位置までしっかり戻るので安全に暗殺を遂行できる。

初心者救済システムであるが、ミッションをこなして経験値を獲得して気力ゲージの上限をあげないと斬刻できない敵ばかりになる。また敵の死体はしっかり残るので複数で防衛されるミッションで使用するとすぐに警戒される。
超強力だが決して万能ではないという味付けはよくできている。物足りないと思えば縛ればいいだけなので。

本作におけるステルスアクションは殺すか殺されるかの緊迫感ではなく、背後をとらえて一撃で仕留めるという爽快感を重視している。MGSの登場でステルスアクションというジャンルが確立化され、ステルス=かくれんぼが定着する中でこういう作品があるのは貴重。


(難易度普通の敵視界は結構アバウト。見つかっても屋根に飛んだり、離れたりすればすぐに警戒はとけるので何度でも暗殺にトライしやすく、ステルスゲーム初心者でも安心して遊べる)

ステルスアクションが豊富な意外、通常の戦闘は普通の忍びより大きなアドバンテージを持っているわけではないのでステルスが決まった時の爽快感もしっかりあるし、ステルスに徹する必要がある大義名分もある。

ハラキリエンジンにも言及すると、侍道のようにアドベンチャー要素が全くなく、ミッションを遂行しながら攻略後の武力や兵糧のゲージの上下を観つつ、手紙から協力した大名から結果を伝えられるというもので、「自分で戦況を大きく変えてやった」という感覚が少し薄い。これがアドベンチャーゲームなら平和的な大名を倒したら町中がチンピラだらけになったとかフィールドの変化を楽しむことができるのだが。

(主人公は里を根城にしてそこへ贈られる大名からの手紙からどの大名につくかを決める。断片的だがそこからゲーム内の世界を想像する楽しみはある)

(兵糧の奪取など地味なミッションを積み重ねることで敵勢力を弱体化させ、強力な敵でも対峙できるための下準備となる)

ちなみにこのハラキリエンジンで面白いのはわざと失敗したり、「文書を奪え」「兵糧を奪え」と指示されても無視することができるところにある。

メインミッションはしっかりこなさなければならないが、最近のゲームの段取りが細かくなって、いろんな仕様もしっかり学んでこなさなければならない息苦しさがある一方で、調合をはじめ「知ったらすごい有利になるけど別に知らなくてもゲームは進めるよ」という気楽さがすごく有難い。仕事終わりでゲームのルールやストーリーなんて全く頭に入らないわって時はかなりあるので。(あぁゲームだけやって一喜一憂していたあの頃が懐かしい)

本作はミッションをたんたんとこなすアクションゲームのはずなのに、人によってはステージを隅から歩き回って敵の反応を探って時間を使ったり、調合にいそしみ最強のアイテム精製を目指したり、能力をあげるためにひたすら高い難易度のミッションばかり受けたりとプレイスタイルに幅があり、私のようにクリアだけを目指せば5時間程度で果たせてしまうが、じっくり遊ぶと15時間と個人差がすごくある。

能力アップやアイテム精製をさぼるとボスはかなり手ごわく感じる。ボスは背後から暗殺もできない場合があるからだ。
しかしながらラスボスであってもステージの端に井戸が設置され、井戸に落とすことで一撃でクリア扱いになる。さすがに決まった時は「助かった」という安堵ともに苦笑いも多少含まれたが。

ステージの数やシュチュエーションの幅が少ないのは問題に感じられたし、3つの勢力で要求するミッションがほとんど一緒だからマルチエンドと能力強化で周回プレイが
面白いと言われながらも周回プレイがそそられない要素があるにはある。
ボス戦もアイテムを使わずガチンコでやるとかなりつまらない。気力をあげることばかりを重視しすぎてすぐにやられてしまうことも多く、ステージ開始まで戻されてしまったら相当なストレスに感じたことだろう。

現在のゲームにはあまり感じられない「緩さ」がありがたかったし、そういう緩さってほしいなと思う。

最近、何本かゲームは買ってはプレイしているが、しばらくプレイをやめたことでストーリーを忘却していたり、プレイの流れを忘れて損した気分になったり、これから何時間かかるのだろうと気おくれしてやめてしまったり。挫折した作品はかなりある・・・・時間と気力さえあれば……

昔はメインパートはすぐクリアできるとやり込もうと思えばすごくやり込めるタイプの作品が多かった。現代ではチュートリアルも重厚で長大、そしてメインパートもクリアだけならかなり時間がかかるという気合の入った仕様になっている。
スマホゲームが繰り返しのプレイを促すようなつくりだからこそ、何十時間も引き込む作品よりも短時間で濃密な体験、システムを詰め込んだ作品をゲームハードで遊ぶには求めたいと勝手ながらに思う。

この忍道2はPS+のフリープレイの常連なので振れたことのある人は多いと思うが、あえて言おう「オススメ」であると。 


 

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