ワールドサッカーキング ジダンはCL3連覇で何をサッカー界にもたらしたのか?

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「勝ち続けるためには、変化が必要」と言い残し、2年半のレアル監督にピリオドを打った元フランス代表のジネディーヌ・ジダン。

(付録は、WCCFマルコ・アセンシオ。ジダンではないですが、ジダン就任以降活躍した選手の独りです。個人的にカゼミロなら熱かったかな?KPはシャドーストライク)

ユベントス、レアルとビッグクラブを渡り歩き、選手としてもバロンドール、98年のW杯優勝、0102、あの伝説的な決勝ボレーが印象的なCL優勝。

そして、監督としてレアルマドリードに前人未到のCL3連覇をもたらしました。

今回は、その記念号としてワールドサッカーキングから「奇跡の3年間」と評して特別号が刊行されたので、特段レアルファンというわけではありませんが、読んでみました。

ざっくり解説すると、選手と不仲になり、成績不振により解任されたベニテスに代わって、2016年の1月、シーズン途中で、2部リーグ1年半の監督経験だったジダンがペレス会長の指名で就任。

そのジダンの功績と、3連覇を支えたCR7、セルヒオ・ラモス、ベイル、イスコ、トニ・クロースの解説をそれぞれ約4ページずつ紹介。

特に注目したいのが、2017年終わりに行われたロシアW杯MVPのクロアチア代表、ルカ・モドリッチの単独インタビューだ。彼がレアルで何を学び、何を意識してプレーしているかがよくわかる内容となっており、インタビューの中でも彼の人としての謙虚さがうかがえる。(トッテナム愛も語っていたが、レアルに移る過程で練習さぼったんだよね・・・)

(超イケメンってわけではありませんが、ワールドカップの決勝トーナメントデンマーク戦でPK勝利時に監督に思いきり抱き着いた彼の姿がかわいいとネット中でつぶやかれました)

さらに3年にわたるCLで特に激闘だった試合をピックアップして、その試合のレアルのフォーメーションとハイライトを写真付きで掲載。(できれば相手のフォーメーションものせてほしかった)

ちなみに過去レアルが優勝したCLすべてのフォーメーションと寸評が載っています。

レアルファンにはマストな1冊となっています。

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読んだ感想ですが、これを読むと本当にレアルは3連覇すべくして3連覇したんだなと思える内容です。

タレント集団をまとめ上げるために名選手を監督にするという考えは、古くから使い古された起用法です。ペップ、アンチェロッティ、コンテとその例にあてはまる監督もいれば、ベニテス、モウリーニョなど選手として活躍していないが、監督して優秀な人材もいます。

ジダンもベニテスに代わり、スター軍団で個性の強いレアルの選手たちをまとめることを求められました。

彼は選手として輝かしい成績と成功を収める一方で、現在でも根深いですが、フランスの人種問題、マルセイエーズを歌えない代表としてアイデンティティの問題を抱えながらも優勝しました。

さらに2006年も頭突き事件というショッキングな幕切れとなりましたが、ドメネクという近年で最悪な監督の一人に対して、選手たちはまとまることで、準優勝という結果を得ました。

伝説的な選手ですが、ジダンは選手時代にあらゆる経験を経て、11人で戦い勝つことはいかなることかというパワー、タクティカル、そしてメンタルでの考察が他の監督よりも秀でていたのです。

ジダンの功績として、最もよくあげられるのがボランチのカゼミロ起用とよく言われます。モドリッチも運動量が豊富で、クリロナ、ベンゼマが守備をさぼる分を彼がカバーすることがありますが、その分自陣の守備が疎かになるため、視野が広く、同じく運動量豊富でカバーリング性能の高いカゼミロが効いているようです。

これは、ぺレス会長が発端となり、レアル不振の原因となった世界屈指の守備的ボランチのマケレレ放出がきっかけとなっています。

98年W杯、そしてユベントスではジダンの後方で、マラソンマンとして守備に貢献するデシャンの姿が、さらに2006年ではマケレレ、ヴィエラと世界最高峰のボランチが構えることで、キャリア後半ながらも自分のプレイにジダンは専念することができました。

モドリッチのようにハーフラインをすべて走りきる運動量、守備への献身性が現代のMFに問われる要素といわれていますが、攻撃への厚みを加えるために前線に近い選手が、できるだけ前を向いてボールを受けられるようにサポートできるボランチはやはり必要なのでしょう。

さらに、読んでいて唸ったのが選手への信頼です。

17-18シーズン前に、マンチェスターユナイテッド、スペイン代表のゴールキーパー、デ・ヘアを欲しがっていたペレス会長に「会長、我々のGKはケイロル・ナバスです」と言い切ったのです。

ナバスはムラッ気のあるキーパーと言われていますが、キーパーとしては決して恵まれた体格ではない(ポジショニングでカバー)彼が、身体を一杯に使って危険なシュートを阻止する場面はチーム全体を鼓舞します。

さらに30を超えて、攻撃力に全盛期ほどの勢いが感じられないクリロナに対してはアウェーの試合は休ませて、我の強い(良い言い方をすればチームへの貢献度が高い)クリロナでさえもローテーションに組み込みました。

ローテーション制といえば、カルチョスキャンダル前のスター軍団だったユベントスのカペッロが思い浮かばれますが、レアルの場合もマルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケツといった将来有望の若手選手を抱えながら、BBCなどの国を背負ったスター選手も抱えています。その中でローテーションを納得させる、それを実行する判断力がジダンのマネージメント力なのでしょう。

中日を常勝軍団に仕上げた落合元監督は、2004年就任時に補強を行わず、現保有している戦力を底上げするという方針で中日をリーグ優勝へ導きました。

デ・ヘアのみならず、ネイマール、ムバッペ、ケインとビッグネームの名前が並んでいます。スター選手をそろえたい、銀河系軍団を築きたいというのが、ぺレス会長の本心でしょうが、ジダンはそれを抑えて、「11人で勝つ」ことを最優先で考えて実行したのでしょう。

一説によると、ジダンはネイマールのレアル入団を希望しておらず、左サイドにネイマールを配置した場合、攻撃時にマルセロとポジションがかぶり連携が悪くなることを見抜いていました。

実際、ワールドカップでも、ゴール前に駆け上がるマルセロと自分で持ちたがるネイマールのポジションがかぶってしまって、攻撃がちぐはぐになっているシーンが見受けられました。

クリロナの場合は、CFとして相手の裏を探す動きを常にしているので、マルセロが相手を惹きつけ攻め上がり、正確なクロスを放つまで、時間を稼ぐことができ、マルセロのクロスからゴールを量産というシーンもよく見られました。

近年、偽9番、ゲーゲンプレス、5レーンといった新しい戦術が、サッカー雑誌やネットでも解説、議論されることが多くなりました。

ジダンは、サッカーマニアをあっと驚かせる戦術を開発したわけではありません。彼が選手として活躍した90年代後半から2000年代にかけて、行われた起用法、フォーメーション、マネージメント。練習は選手にあった適材適所な練習ではなく、イタリアからハードトレーニングを主とするコーチを呼び寄せて、徹底的にフィジカルを鍛えぬく方法を採用していました。

天才といわれていましたが、ジダンは勝つために努力を1ミリも惜しまず、地道なトレーニング、分析、フォーメーションは選手の適材適所でプレイしやすい環境とコミュニケーションを徹底的に作っていったのです。

斬新な言葉、斬新な起用法ではなく、勝つために何が本当に必要であるかということを現代サッカーに再定義させたことが、一番の功績ではないかと思います。

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