テレビ朝日 白い巨塔 2003年のフジテレビ版とキャストの演技、演出を比較してみた

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5夜連続のテレビ朝日で放送された、V6の岡田准一を主役に据えた「白い巨塔」

田宮二郎の昭和版はスペシャル番組でちらっと見たにとどまっていますが、今回は2003年にフジテレビで2クールにわたって放映された唐沢寿明の「白い巨塔」のキャストと比較しながら、語りたいと思います。

15年以上前にさかのぼりますが、山崎豊子の原作も一通り読んだので、その比較もできればと思います。

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財前五郎 より喜怒哀楽が明白になる

一人でも多くの患者を救いたいというひたむきな精神と、養子としてなんとしてでも、教授としての地位が必要であるという権力欲の背反する二つの感情を併せ持った財前五郎。

人としての方向性は同じながらも、今回の岡田准一の財前は、より挫折を感じやすく、感情を表に出すタイプとして描かれていました。そんな人間の弱みも財前の魅力といえるでしょう。

ただ、個人的にはSPのように感情を殺しながら、周りを観察するときの岡田准一の表情が非常に魅力的に感じていたため、やや喜怒哀楽が明白すぎるのは残念だったと思います。

(深夜ドラマ黎明期の一作。国防とはなにか?という一石を投じながら、映画顔負けのスタントアクションの数々は素晴らしかったです)

感情のみならず、動きもコメディアニメのようにドタドタとしたものになっています。現代向けにややメンタルが弱い財前ということを示したかったのでしょうか。

ネットでは、岡田准一の力不足を指摘する声があるものの、6巻におよぶ原作を5夜のスペシャルドラマで納めなければならなかったのは、仕方なかったところです。

身長の指摘もありましたが、唐沢寿明も175センチなので、田宮二郎のように長身で高圧的な人間も財前五郎として適格ですが、身長が高くなくてもアップの演技や、身振り手振りで高圧な態度をより大きく見せることもできるでしょう。

決して、酷評レベルではありませんが、最終回の自分の死期を悟って以降の唐沢寿明の財前五郎の演技が非常に素晴らしく。今振り返っても涙腺が緩んでしまいます。

岡田准一も弱っていく財前を熱演しましたが、「これが死か・・・」「これが癌か・・」といちいち客観的なセリフを財前がつぶやくことに、違和感を覚えてしまったので、その差で唐沢寿明に軍配が上がります。

脚本はもう少しだけ熟考してほしかったですね。

里見 脩二 実直に勝る天然

フジテレビでは江口洋介、テレビ朝日では松山ケンイチが演じました。

江口洋介は、ひたすら生真面目で、融通が利かず、研究者として邁進していきたいという原作に寄せたものになっていました。

対して、松山ケンイチは原作とはアプローチを変えて、浮世離れした天然系の里見を序盤演じていました。

(テーマはあまり好きでないものの、松山ケンイチの不思議な魅力が詰まった映画・・・テーマは好きじゃないんですけどね)

近年は、ヤクザ役も増えた江口洋介ですが、清純で熱血な役を演じることを得意としているため、里見との相性は非常に良いです。

個人的には、大河内教授に就職先を紹介してもらうシーンが名シーンの一つだったので、それが削除され、いつのまにか近畿がんセンター(これは原作とほぼ同じ)に配属された経緯は気になりましたね・・・

アプローチを変えたために、単純比較できない点で松山ケンイチの里見も一定の成果があったのではと思います。

時代を超えて歴史のある原作だからこそ、こういったチャレンジは大いに歓迎すべきだと思いますね。

東教授 ただ嫌味なおじさん

フジテレビでは石坂浩二、テレビ朝日では寺尾聡が演じました。

東教授に関しては、完全に石坂浩二が演じた役が魅力的でした。

テレビ朝日では、法廷編で東が法廷に立つシーンが削除されています。さらに財前が東の最後の総回診であいさつすることを避けるぐらい嫌っていたために、佐々木の手術を早めたという因縁もカットされていました。

さらに、東がひたすらに財前の人格を否定したり、嫌っているシーンが目立ちました。

確かに、教授戦では東も結局は財前と同じ土俵で、自分の面子のために他人を蹴落としたり、当て馬にしたりするというのが白い巨塔の面白さでした。

そうはいっても、寺尾聡のねちっこさの際立つ演技と相まって、ただひたすら嫌味なじいさん以上の感情を抱けなかったですね。

特報では、財前、里見と並んで写っていただけにもしかしたら、フジテレビよりも東の立ち位置が重要になるのでは?と思いましたが、これは肩透かしを食らいましたね。

柳原弘 一番演技を問われる役どころ

フジテレビでは伊藤英明、テレビ朝日では満島真之介

医局員の立場でありながら、裁判編の争点を決める重要な役回りで、心の振れ幅も大きく、一番役どころの難しい役です。

後に伊藤英明は「海猿」はじめ、多くの話題作の主役として活躍しました。

しかし、満島真之介は、今回のキャストのなかで一番誇張した演技をしても許される役にも関わらず、誇張した演技を抑え、見事に正義と利益の狭間に揺れる一人の若者を演じ切りました。

映画初出演が、故若松孝二の作品だったこともあり、今後の活躍がさらに期待されます。

花森ケイ子 肉体関係以上か未満か

財前の愛人である花森。

フジテレビでは黒木瞳、テレビ朝日では沢尻エリカが演じました。

テレビ朝日での花森ケイ子はホステスではなく、クラブのオーナー的な位置づけでしたね。短い尺の中でも、財前とのラブシーンがとにかく多かったです・・・

あとフジテレビあった元医学生という設定がなくなったため、愛人以上の関係性が乏しく深みがなかったです。

何と言っても、沢尻エリカの口調が、何度聞いても・・・その・・・ブルゾンちえみにしか聞こえないんですよね・・・服装もそれっぽいし・・・素晴らしい太ももはされていますが。

黒木瞳の花森は愛人関係ではありますが、財前の心の弱さや彼の将来を心配するような、妻以上に妻な立ち回りを演じており、財前が母親代わりに慕っていた一面もあったため、非常に魅力的な女性でした。

乱暴な言い方ですが、テレ朝は肉体関係にとどまり、フジテレビはそれ以上の関係って印象でした。

財前杏子 童顔を利用した大化け

フジテレビは若村麻由美、テレビ朝日は夏帆です。

調べて驚きですが、夏帆ってまだ27歳なんですね・・・

「天然コケッコー」「女王の教室」から魅力的で愛らしい女優さんでしたね。

(かわいさと天然さのなかに少し知的な面も垣間見せるのが、夏帆のすごいところ)

若村麻由美のような大人の色気は全くなく、あどけなさが前面に出ていますが、それを利用して、親に甘やかされて、激情な妻未満の女性というのを演じました。

ちょっとしたトラブルで、すぐに周りをちらかしますし、泣きじゃくります。こちらも松山ケンイチ同様に大幅なキャラ改変といったところです。

しかし、5話では思い切り化けて、財前の妻として、最後に財前が何をしたら喜ぶのか。

「教授でなくなったら、あなたに価値はないのよ」と脅しながら、財前のために一番会いたくなかった花森に財前の最期に会うよう仕向けたりと、今回のドラマで一番成長したキャラではないでしょうか。

僕が夏帆を気に入っているというバイアスを抜きにしても、キャラとしての成長、魅力は大幅改変していますが、テレビ朝日の方が勝っていると思います。

さて、他にも魅力的なキャラが無数にいるのですが、きりがないのでここまでに。

どちらが原作にそっているかは論点が難しいところです。フジテレビも原作と違っていろいろ改変していますし、映像化そして原作から数十年経過しているので現代の表現にアップデートしなければなりませんから。

いろいろ制約があったと思われますが、白い巨塔を現在の若い世代に伝えるという役割は十二分に果たしました。だからフジテレビがよいとか田宮二郎が伝説である議論は、不毛でしょう。

また、十年以上後になって、新しい白い巨塔が放送されるかもしれませんね。その時までは活きていたいですね~

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