映画「ハロウィン(1978年)」レビュー マイケルの執念と理由なきストーカーにおびえる

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素晴らしいホラーゲーム「デッドバイデイライト」に敬意を表して、DLCの版権元となった映画をレビューしていこうと思います。まぁちゃんとシリーズになるか不安ですが。

1発目は1978年、当時30歳の鬼才ジョン・カーペンターが予算30万ドル、3週間という低予算、短期間で作り上げたサスペンスホラーの金字塔「ハロウィン」の紹介です。

見てほしいので、極力ネタバレを避けようかと考えましたが、古典ですし、ある程度語ることで見たくなる作品です。いろいろシーンを撮ってみましたが、どれも映える素晴らしいシーンばかりだったので、ネタバレになりますが、ご了承願います。

1978年っていうとアメリカンニューシネマ後期といったところで、本作も低予算で監督の裁量権が自由。という共通点はあるものの、芸術性やメッセージ性を極力控えて、「面白い映画を作ろう」という若者たちのエネルギーに満ち溢れた作品になっています。

「映画に娯楽など不要」という評論家や大学生からは散々、酷評されましたが、口コミでロングランヒットを果たし、「B級映画で最も成功した映画の一つ」として後世のホラー映画に絶大な影響を及ぼした作品です。「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」といったフォロワーも生み出しました。

冒頭でマイケル・マイヤーズが姉のジュディス・マイヤーズの事後を狙って刺殺します。カットはしていますが、ステディカムを用い、まるでワンシーンワンカットでリアルタイムに、家を除き、凶器を取り出し、ピエロのマスクを装着して、殺害にまで及ぶマイケルの視点を描きます。

本作サスペンススリラーでありながら、殺人者は精神病棟に収容されているなどサイコホラーな要素を持っていることや、主役のジェイミー・リー・カーティスがジャネット・リーの娘であることから、ヒッチコックの「サイコ」へのリスペクトが多くみられます。

本作はイリノイ州の架空の町、ハドンフィールドに暮らすローリーが主人公です。ハロウィンに同級生と楽しむのではなく、ベビーシッターの仕事をするという慎ましい女性です。

一部の評論家は、「性にだらしない若者が殺され、処女が生き残るという道徳性を説いている」と指摘していますが、ジョン・カーペンターと脚本家は真っ向から反対(笑)。セックスに夢中な若者は周囲が見えていないから、絶好のターゲットになるというだけの理由です。

リア充の味方ではありません・・・

ハロウィンというお祭りなので、大人たちは外出し、子どもたちとベビーシッターのローリーたちしかいないという、街中なのに閉鎖的な空間を見事にハロウィンというお祭りを利用して表現しています。

警官も登場しますが、彼が活躍することはありません。

家よりも安全な外に出ているのに、人一人いない夜のハドンフィールドは家よりもマイケルに狙われやすい。

この映画の批評店として「間延びする」という指摘がよく見られます。

確かに、低予算の問題として編集作業に時間がさけず、ワンシーンが長い場面が多々あります。さらにマイケルが凶行に及ぶまで1時間近くかかるのです。

ただ、そのじらしがあるからこそ後半の30分はノンストップで、マイケルが獲物を狩り続け、ローリーが逃げる、立ち向かうという攻防が非常にスタイリッシュで簡潔にまとまっています。恐怖心や不安というのは持続しませんから、最適な演出ですし、日常があるからこそ非日常が効いてい来るという点でホラーの古典としてリスペクトされるのも当然です。

動機不明なストーカーを長時間追い続ける意味

先見性という点では、「ストーカー」という犯罪に着目したという点は特筆すべき点です。

被害者からすれば、付きまとわれるいわれがないのになぜ四六時中ストーカーされなければならないのか。そして相手は何を思ってついてきているのか。ストーカー状態が続くことによって、画面上では短期間で何度も画面にマイケルが現れるのに、現れるほどに彼の意図が全く分からなくなってくるのです。

その恐怖はホラー映画ではないですが、スピルバーグの「激突」に近しいものを感じました。あれも名作ですのでよろしければぜひ。

それを助長するように医師からの当たり障りない情報だけで、私たちはマイケル・マイヤーズの真意を知ることはかなわないのです。(少なくともこの1作目では)

激突とハロウィンの共通点は「つきまとわれるのに、つきまとわれた理由がわからない」という不明による不安や恐怖を常に長時間かきたてられてしまう点です。そのため2作とも90分程度の上映時間ですが、これが適切だと感じます。

激突は車しか見えませんでしたが、ハロウィンではマスクを外したシーンも含め、至近、主観、遠方と様々なマイケルを見せてくれます(笑)。でもわからない。

普通ならやられるときは、出会い頭にいきなりやられるというものですが、長時間つきまとわれるには、相応の理由があるはずです・・・なのにそれがわからないまま終わる。

ハロウィンがロングランになった背景には、口コミによる新規鑑賞者の増加もあったと思われますが、根強いリピーターも多かったのでしょう。マイケル・マイヤーズが不明であればあるほど、その理由を解明したくなって、もう一度見に行きたくなったのかもしれません。

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たった一つのシンプルな感情でマイケルは動く

マイケル・マイヤーズはハロウィンを利用してマスクをつけて、仮装して連続殺人を起こします。

マスク姿+ツナギという相反するような衣装で、特に殺しに特化しておらず、むしろ目立ちます。

マイケルは劇中で一度もセリフを発しませんが、声は何度も出します。

ローリーたちを見つめるときの吐息や、絞殺するときのあらあらしい息遣い。

「ふっふ、はっは」といった類で、言葉にはなっていませんが、これがマイケルに恐怖を感じる要素です。

マイケルはナイフでの刺殺と、腕づくでの絞殺というかなり古典的な方法で殺人に及びます。

共通点として、相手に至近距離に近づかなければなりません。スタイリッシュにばったばったと殺していくのではなく、ものすごく一生懸命首をしめたり、隠れ場所を探しているのです。動きもすごくたどたどしく、女性のローリーに一杯食わされるシーンが多いです。

ジェイソンのようにあらゆる凶器をつかって、トラップも用いた洗練された狩りをやるわけではありません。ただその間抜けながら必死に殺しに及ぶ点と、必死にはぁはぁと吐息をこぼしながら主人公たちを狙う彼の姿は「何が何でも殺しに来ている」という執念という恐怖を感じさせるのです。

そう、マイケルには感情が欠落しているが、何が何でも標的を殺したいという意志だけは人並外れた強さを持っている。彼のたどたどしい動きやスタイリッシュさに程遠い激しい息はマイケルのたった一つのシンプルな感情を、鑑賞者に突き付けてくるのです。

ハロウィン、素晴らしい作品でした。

本当に怖いのは、モンスターでもグロテスクな描写でもなく、何を考えているかわからない他人なのです。ハロウィンで覚える恐怖や不安は現実でもすぐに体験できるものですし、ハロウィンで覚えた感情は現実でも応用できるかもしれません。

面白いことに2度ほど鑑賞しましたが、2度目の方が前半に恐怖を覚えました。マイケルがローリーを見つめながら「いつでもお前を殺すことはできるぞ」と脅しているように見えて。

最後にコメンタリーでカーペンターは、「この映画にメッセージがあるとすれば、どのような最悪な状況に陥っても、あきらめなければ道は開ける」ということです。

さぁ、DBDでキラーから逃げ続ける、絶望的な状況であっても活路を見出しましょう~それでは!!

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