デトロイト ビカムヒューマン Detroit Become Human クリア後レビュー 僕たちはいかにして変異体になったのか

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凄まじいグラフィック、凄まじい分岐で話題となったクアンティック・ドリームの最新作「デトロイト ビカムヒューマン」をプレイして、クリアしてからしばらく経つのでその感想でも書こうと思います。

ちなみに意識的にネタバレすることは避けますが、人によってはネタバレととらえ兼ねられないので、本当にプレイしたいなって人は購入してください。クリア時間はおよそ12時間程度といわれています。

制限時間と膨大な量の選択肢とその結果による濃厚な心理テスト

おおまかなあらすじは、20年ぐらい先の近未来でのデトロイトが舞台。そこで家庭用、業務用、軍事用に人間そっくりの高性能なアンドロイドが普及していました。アンドロイドは、人間の指示に忠実に守る便利な機械ですが、高性能さゆえに人の雇用はどんどん失われていくのでした。アンドロイドへの人間のヘイトが溜まっていき、一部ではアンドロイドを虐待するという事件が頻発。そんなある日、1体のアンドロイドが人間を殺害するという事件が発生。そのアンドロイドは人間同様に意思をもっているようで、「変異体」と名付けられました。

この物語はそんな変異体にまつわる話で、アンドロイドを黒人やユダヤ人などの人種問題に見立てて、ストーリーが進行していきます。

本作への的確なレビューとして下記サイトが非常に参考になると思います。

【評価】PS4『Detroit Become Human/デトロイト』のクリア後感想レビュー【ネタバレなし】

本作は、膨大な分岐を有しながらもリプレイ性が非常に不便です。やり直しても同じシーンを何度も見たり、ポイントごとの選択肢に戻ることができず、大枠のチェックポイントからの再開です。

本作がどういうゲームか一言であらわすと

リアルタイムアドベンチャー

QTEがある点はヘビーレインからの伝統ですが、あらゆる選択肢、行動に制限時間がつき、プレイヤーが初回のプレイで「ここはこういう選択でやってみよう」という予定を次々と崩されるシステムになっています。

これは、すごいリアリティのあるデザインだと思いました。

現実世界でも発言したいと思ったときに相手が通り過ぎて、時期を逸してしまったり、もともと伝えようと思っていた言葉もその時の状況であやふやになって、相手に不快感を与えてしまったり。

アカギじゃないですけど、「理不尽を愛するゲーム」と言えますね。

とにかく選択肢の時間が短く、選択肢の数も非常に多く、それによって逐一後のフラグに影響してくキャラクターの好感度が上下していきます。寝ころびながら本を読むというより、肩をピリピリさせながらプレイしています(笑)

選択肢に制限時間を設けられ、選択肢の量が膨大で、重要な選択から、些細な日常会話まである。プレイすればするほど、自分の深層心理を浮き彫りにされているような錯覚を覚えます。

面白く聞こえないと思いますが、一通りプレイするとデトロイトは

壮大で贅沢な心理テスト、適性検査を受けた感覚に陥る

という感覚です。ちなみに自己診断ですが、僕の性格は「優柔不断であやふや」です。おかげで一回目は碌なエンディングにたどり着けませんでした(笑)

デトロイトは選択や行動によってキャラの生死にかかわるものもあります。キャラが死ぬとそのキャラが死んだままストーリーが進むし、「このキャラが生存するルートがあるよ」って聞かされたら、虚しさと悔しさが同居してしまいます。

ヘビーレイン、ビヨンドと明らかに異なる点として、好感度システムによって自分の趣向や選択がほかのキャラに直接影響を及ぼすという点です。

ゲーム好きなら理解してもらえると思いますが、アドベンチャーゲームを現実の人間関係に見立ててプレイしたことってあると思うんです。

「この選択を現実でもしたらそれは嫌われるよな」

「このアプローチやセリフってもしかして現実でも活かせる?」

結論からいえば、言葉というのはその時の相手の心境や環境に大きく左右されるものがあります。昨今のアドベンチャーはデトロイトのように親密な関係を築いて初めて開く選択肢などが設けられ、相手の関係性により大きな臨場感を生んでいます。

しかしながら、結局はガンパレードマーチのように膨大な感情や、キャラの思考にAIが仕込まれているわけではないので、多くのキャラが「活発な選択肢をすれば上がる」「相手を思いやらない選択肢をすれば下がる」という固定化された選択になってしまいます。

唯一、コナーの相棒であるハンクだけが過去にアンドロイドによって、深い傷をうけ、コナーの行動に対して、反発的で、どの選択肢を選べば好意を持ってもらえるか気にしながら接することができした。

でもどうなんでしょう・・・

本当にその日の状況によって、選択肢の答えが変わるような恋愛ADVができたら・・・理不尽になってすぐ投げるか、そのランダム性に埋没してしまうか・・・

ゲームとしての躍動感やドラマの面白さは、コナーやマーカスが秀でていますが、些細な日常会話が関係性を紡ぐという点で、カーラのシナリオは優れています。

(似たような選択肢でも、前後の言葉によって伝わり方は大きく変わってしまいます)

アリスに残酷な現実でも本当のことを伝えるか、逆に何もいわずそっと手を差し伸べるか・・・「あぁあの時ちゃんと話しておけばよかった」という後悔を何度も呼び起こします。

少なくとも、ユーザーに不快感を与えたとしても、選択肢に制限時間などを次々に設けるタイプのスリリングなADVが増えてほしいと思いました。

デトロイトが及ぼす人生観 決断に付随する後悔と喜び

しかしながら、本作が「一度は戻らずにプレイすることを推奨」と掲げているのはなぜでしょうか?

あくまで、僕の見解ですが、決断にあらゆる結果が伴うが、その結果を受け入れながら前に進むことという人生観を学んでほしいのかなと思いました。

もし、学生時代の僕なら全員を生存させようと躍起になっていたでしょう。

逆に30近くを迎え、人生にはあきらめなければならないこと、取り返しのつかない挫折や後悔もあるが、拾う喜びもあるということをいくつか実体験したことで、理不尽なことを多少は受け入れられる器を身につけられたと思っています。

映画や小説にもバッドエンド、さらにはデッドエンドも存在します。その場合、なぜそのキャラは死を迎えなければならなかったのか?悲惨な末路をどのように回避できたかのか?むしろそれがそのキャラにとって幸運な選択だったのではないか?

さらに、一歩進んでデトロイトでは、プレイヤー自身がその結末へ自分の決断でたどり着いたのです。より、そのフィードバックが深いものになると思います。

こうして、ただ与えられたムービー、セリフに対してどう考えるかということは、学生時代に浴びるように映画を見て体験してまいりましたが、自分の選択肢に対して振り返るということはさぼってきたように思います。

タクシードライバー 2018年現時点でのレビュー あらゆる報われなさを自覚して

その結果がよりダイレクトに心身響いていく現実だと億劫になります。ゲームというメディアなら存分に振り返ることができるわけです。

古典的なADVに結局舞い戻っているという指摘は、確かに的を射ています。

ただし、ゲームにおけるインタラクティブ(双方向)性というのは

こちらが何か選択した→ゲームが反応をみせた→さらに選択した

これをループさせるのではなく、ループの合間にゲームが出した解答に対して、そこに疑問を抱いたりすることがインタラクティブ性であるのではないかと感じる今日この頃です。

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