電話相談員のなり手が激減しているという事態を受けて想うこと

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皆さん、電話相談員ってご存知でしょうか?

いのちの電話とか学校内のポスターでよく見るアレです。実は僕、電話相談員をやっていた経験があります。理由は当時、カウンセラーを志していましたが大学では院に進学しないとフィードワークや実践が全くできなかったのです。

僕にも学業に信念を持っていた時期がありました。知人のつてで不登校の子供の家に上がってお話をしたり、子どもたちの居場所によってレクリエーションしたり・・・・それが今じゃ底辺肉体労働者パラサイトフリーターという……

さて、前置きはこれぐらいにしますか。

ちなみに僕の所属していた組織では電話相談員をやっているという事実を関係者以外に基本漏らしてはいけません。(就活の時にやっていたという公表自体は可能)

おそらく無償であっても誰かの相談に乗りたいという考えをお持ちの方は一定数いらっしゃると思いますし,もちろん個々に「こんな事例がありました」と公表するのは論外として、外枠で「こういうことをします」「こういうリスクがありました」という10年前の経験をつづるだけです。現在では改善されている点があると思われますのであくまで単なる1事例として受け取っていただけると幸いです。

内容に問題があったり、誰かを傷つけしまう場合は即座にこの記事は抹消いたしますのでご了承願います。

僕が所属していた組織は青少年を対象に悩みを聞くというボランティアです。

相談員になるためには、申込用紙に記述して即「はい、明日から現場ね」というわけではなく1か月ほどの研修期間が設けられています。研修では数人が集まって相談者と相談員を演じるロールプレイや講師を務める臨床心理士、地域で支援活動を行う有識者の講義などを聞きます。万が一仕事などの都合で行けなかったとしても代行となる口座が設けられていることがありました。

その研修にも携わった経験がありますが、人数の集まりはかなりまばらです。大学などで公園を行うとその学生が集まる年もあれば、定年を終え、地域に貢献したいという人たちだけが集まるということもあります。

そもそも研修を受けるための費用が発生し、研修場所がコロコロ変わってしまうため、研修を受けるには時間と金銭に一定の余裕がないといけません。学生の場合はまさに経験を買うという表現が正しいでしょう。これは良い悪いというよりはそういう現実があるということです。

晴れて、研修を完遂すると相談員として資格がもらえます。賞状やバッチがあるわけではありませんが、僕の組織では半年ほど相談を行わなければ再度受ける義務が発生します。免許のようなものでしょうか。

これはどの組織でもそういう流れにしているようです。電話をかけている人はすごく頼もしいしっかりした大人やカウンセラーが相手していると思っているのでしょう。ある意味その神秘性を担保するために徹底した守秘義務が発生しているのでしょうか。

本当に相談を受けてもらいたい緊急時、わらにもすがる思いなら専門医が必ずしても最適解というわけではありませんが。

相談員としての資格を受けると相談場所を報告され、シフト制で相談します。僕の組織は24時間ではなく昼から夕方と時間が定められていたので、多くても月2回です。約3~4人で2つの電話を交代制で扱います。全国に展開しているため想像よりも電話の数は少ないのです。

待っている間はお菓子を食べて世間話したり、受けた電話の内容を軽くフィードバックしながら次の対応をどうするべきか話したりします。

少し想像していただくとこのボランティアのメリット、デメリットは浮かばれると思いますが、実際現場で電話を受けてみても印象は同じです。

感謝をされると自分も生きていることを認められてうれしくなって、無報酬であってもかけがえのないものを得られた満足感がある。

駄目な対応をして批判、罵倒されてしまうと「なぜこれで無報酬なんだと」自虐的な気持ちになってしまう。

ジェスチャーや表情ではなく言葉の意味、意図のみが支配する空間なので、発言には細心の注意を払います。

一人の人間なので時として相手の立場に深く入り込もうとしてしまったり、同じトラウマを抱えた時は重く受け止めすぎたりします。逆に全く興味のない話題になってしまうと本当に他人行儀の態度をとってしまうと指摘されてしまい、このボランティア特有の難しさを認識させられます。

特に「これをこうしたから成功」「これがこうなったから失敗」という明確な設定がありません。人の心ですからその場では「ありがとう」と気持ちをもらっても次の日は「あの相談員から○○っていわれて傷ついた」と報告されるかもしれません。考えるとキリがないため、「自分はベストを尽くした」と折り合いをつける能力は身につくと思います。

上記は正当な悩みがあってそれを受け入れたうえでのフィードバックなのですが、このボランティア特有の問題が一つ存在します。

フリーダイヤルであることを悪用したセクハラ電話です。

フリーダイヤルなので掛け手は何度でも掛けることができます。男性相談員が出るとワン切りの嵐で、声色の高い女性相談員が出るとセクハラまがいの音を出したり、不必要な話を行います。もちろんそういうケースが多発していることを研修で何度も繰り返し警告されます。

しかし、「しっかり人の相談に聴きたい」という志の高い若い大学生がいざ現場にたって何件もそういう関係もなく、自分の精神をすり減らすような電話に遭遇してしまったらどうなるでしょう?

交通費、研修費用まで払ってその日はセクハラ電話だけで終了したという事例がゼロではないです。そして思ったことをズバンズバンという人は少なく、誰かの添え木になりたいという慎ましい人が多く入って、この問題の重さを自分一人で抱えたまま自然と抜けてしまうことがあまりにも多いのです。

僕と同期で大学生の女性は4人ぐらい入りましたが、半年もたたず全員いなくなってしまいました。また、続けている人も短期間だけ相談員として活動してあとは裏方というケースが多いです。相談員として現場の最前線に立ち続けるということは相当の覚悟と度胸が必要です。

自分の関心を封じてまで、相手の話をききつづける、受け止め続けるということは口では簡単ですが実際難しいです。

相手は自分より社会経験が未熟なので、的確なアドバイス、しっかりした答えを探したがります。その希望にどうしてもこたえたいと思ってしまいます。ただ、自分の与えた言葉を盲信してその人の人生を狂わせるリスクがあるため、相談者自らがいきついた答えだという導きが必要でそれがまぁ・・・・難しい。

実際周りから「どうしていきなり自分の興味から質問しちゃうの?」って指摘されましたから。

ヤフー知恵袋が無料ながらも親切な回答者であふれている事実がよくわかるような気がします。

大学生にとっては良い社会経験がつめると思います。ただ半年、1年に限定したほうがいいと個人的に思います。ボランティアといっても毎日何かに参画しているほうが評価が高いですし、電話相談員は実行役員がしっかり決まっているので、大学生は相談員として不定期に参加しつづけるという流れになりがちです。

カウンセラーを志す人が入るボランティアとして一考の余地はあります。これはカウンセラーとして声だけでどうやって受け止めるかという実地訓練、実践であると同時に「自分はカウンセラーに向いていない」ということを自覚する機会でもあるのです。僕はこのボランティアを通して自分は本当に適性がないやと思ってしまったのと、院試験時に鬱を併発してしまったことが原因で退き、社会の隅で慎ましく生きています。

あなたが女性で上記のパターンに該当しない(または該当する場合でも)場合は、現在改善されているかもしれませんが、女性であるということがこのボランティアにおいてリスクを伴うことを認識する必要があるでしょう。

リスク面のことを強調しましたが、ラインで友人とがんじがらめの関係になったり、両親共働きで身近に相談できる相手がいない。こと人間関係においては当時年上の僕よりも相談者の方がシビアに物事を考え、将来への不安とどうするべきかという想いは強いものを感じさせました。

実際、このボランティアに5年近く在籍しましたが、人間としての成長の一端を支えてくれた経験だと思っています。

いのちの電話の相談員が近年激減しているという問題を抱えており、いのちの電話のみならず多くの相談機関が人手不足である問題に直面していると思われます。もし、あなたが電話相談員に少しでもなろうとお考えであるなら、その考慮の一助となれば幸いです。

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