デス・ストランディング 微ネタバレ PS4で最も感動的なエンディングの理由

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ゲーム歴20年のアラサーゲーマーの私が、デス・ストランディングを40時間ほどでクリアしたレビュー。今回はストーリーについての言及。エンディングを迎えて、PS4の作品の中で最も感動した・・・といっていいほど衝撃を受けたので、語りたいと思います。
デス・ストランディング購入の基準にも使えますし、クリアした後に本作を語りたいという人にも向けた記事になっています。
ストーリーの核心に触れるようなネタバレはしないように注意しますが、まっさらな状態で遊びたいという人は、クリア後に読まれることを推奨します。

今回は、デス・ストランディングのエンディングに限定した記事になっています。ゲームの内容であったり、プレイフィールに関しては、過去に記事を書いていますので、よろしければ参考にしてください。

また、小島監督が手掛けたMGSVのストーリーについても言及している記事もリンクとして載せておきます。

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サムのアメリカ横断の配達は「だれ」によって成り立ったものなのか?

デス・ストランディングのエンディングは、主人公であるサム・ブリッジスの出自です。

今まで、デス・ストランディングはママー、デッドマン、ハートマン、ダイハードマンがなぜそのようなあだ名で呼ばれるようになったかという経緯が語られていきます。

サムは彼らの秘密に触れ合う過程で、自分の過去も吐露するようになります。妻子がいて、子供が生まれる予定でしたが、事故によって妻子を失っています。

妻子を失ったことが、サムのトラウマとなっています。

そのため、エンディングで語られるサムの出自は、かなり唐突なものとなっており、それだけに衝撃的に感じる内容になっています。

サムの出自を知ったことで、私はこう感じました

サムが苦労して配達してアメリカを統一した功労者だと考えていた。しかし、サムがサムとして生きるために、多くの人々の犠牲があり、あらゆる人の苦労によってサムは今を生きている。

この解釈に答えはありません。そして、小島監督もあえてエンディングの事実をサムが知ったことで、サムはある行動を起こしますが、それ以外に発言することも感想を述べることもしません。

事実を知ったうえで、どう解釈するかをプレイヤーにゆだねています。

このゲームが、何もない空虚な土地で、BTやミュールの困難を乗り越えながら、自力でエンディングまで進んだという達成感を抱いた瞬間に

「それはあなただけの力でしょうか?」と大きな問題提起をかけてくるところに意外性と妥当性があると感じられました。

デスストランディング つながり ストーリー

例えば、私が宅配の仕事をしているとすれば、それは私の肉体労働によるものだけでなく

宅配のサポートをしてくれる同僚、指導してくれる先輩。さらに前提として自分を生み、育て、語学や計算、マナーを教えてくれた親、公共の場で指導してくれた教師、そして自分と付き合ってくれた友人たち。

身近な人への感謝というのは、リアルタイムで感じられるものではなく数年たって、人生を振り返った時に思い出されるものです。

デス・ストランディングのエンディングまで進めると、だれもがそのような感謝ややさしさに包まれるような感情を抱くでしょう。

あらゆる人々の関係によって、自分という人間が形成され、今度は自分が誰かのためのピースになれる。

まさにこの世の中は

One for all, All for oneで成り立っていることを感じることができるゲームです。

デス・ストランディングのテーマである「つながり」は、自分がAからBへつなげるのではなく、多くの人々との相互補助によって、関係がつながっているということです。

そして、このゲームのプレイにおける運搬も、世界中の「サム・ブリッジス」の協力によって、達成されたものです。

デス・ストランディングのエンディングは、それまでの哲学、地理、スピリチュアル、歴史といった学問的な内容から一線を画し、ヒューマンドラマとして、人間の「感謝」という普遍的な感情を激しく揺さぶるものです。

そして、それは説教的なものではなく、プレイを振り返ることで

自力の強い運送だが、他人によるささやかな協力によって成り立っている運送だった

わずか数分で判明するエンディングによって、作業的に繰り返していた運送に対する思い入れや思い出が、一気にあふれてきました。

デス・ストランディングを「配達するゲームです」「オンラインでつながっているゲームです」と4000字近く解説するよりも、このゲームをプレイしてエンディングをたどり着けば、このゲームのメッセージを感じ取ることができるはずです。

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デス・ストランディングのエンディングはPS4ゲームの中で最も優れている

私は、ここ数年におけるゲームのエンディングの中で、デス・ストランディングのエンディングは、最も感動的で、最もゲームプレイに即した内容で、そして現実世界に「いいね」を送れる優しいエンディングだと感じました。

しかし、一方で自分が親や兄弟、仕事の上司も含め様々な人たちに生かされていることを感じると同時に、個の発言や振る舞いは侮れないものです。

何気ない一言が誰かを死に追いやることもあるし、世の中からフェードアウトさせる危険性もはらんでいます。

言葉や行動は、誰かを幸せにする一方で、不幸にする劇薬であるということを意識しなければならないと感じました。

私が、今まで素晴らしいと感じたストーリーのMGSVやラスト・オブ・アスも

  • 愛憎によって生まれた復讐劇
  • 強烈な愛情は、他者への無慈悲なまでの暴力に転じる危険性がある

暴力や言動によるアクションで、物語が急速に展開したり、悲劇的な顛末を迎えるという作品が多くありました。

(現実は非常で残酷ですが、果たしてそれだけが現実なのでしょうか?)

映画やアニメに限らず、ゲームも貧困、暴力や差別が蔓延する世界を投影することが、リアリティであると錯覚されるようになりました。

しかし、もしそのような悲観的な事実ばかりが、現実を埋め尽くしているのならば、なぜ他人に優しくありたいと思うのか、感謝や尊敬はどこから生まれていくのか?

そのような「優しさ」や「つながり」もまぎれもない現実なのです

メタルギアソリッドでは、自分で子供を作ることも、歴史の表舞台にも立つことができないソリッド・スネークが遺したものが一つのテーマになっていました。

デス・ストランディングでは、「何を遺していくのか?」「何をやることが重要なのか?」ではなく、すでにサムという存在は、多くの人々によって遺された存在であるというより一歩進んだ、前向きな物語だと感じました。