シェンムー3 クリア時間30時間ほどのネタバレ感想 マップの作り、攻略にも語る

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デス・ストランディングとポケモンの新作に挟まれながらも、クラウドファンディング最高額で製作された「シェンムー3」をクリアした。
しっかり記載されたレビュー記事は、シェンムーが人生で一番好きな、クラベ氏によるIGNJAPANぐらいしかない。今回は、シェンムーシリーズ未経験で、公平なレビューが下せる筆者が、シェンムーを攻略した感想や、マップの作りこみについても言及していく。


 

また、アマゾンの口コミ、感想もディープなファンが多く、評価傾向にあるため、シリーズ初体験者のレビューは、少ないので、貴重なレビューの一つになると思う。

ちなみに、シェンムー3をこれからプレイしようと考えている方、ネタバレを好まない方は、第一印象の感想を書いた記事を載せている。こちらもゲームプレイやストーリーについての言及があり、今回のレビューに比べてもしっかりボリュームがあるので、参考にしていただきたい。

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マップの作りこみによる攻略しがいのある箱庭への愛着

シェンムー3は、オープンワールドというジャンルが、肥大化し、周知された現在において、古き良き「箱庭」ゲームの面白さを詰め込んだ、作品に仕上がっている。

 

舞台となる白鹿村、鳥舞ともに名前付きのNPCが配置されており、ストーリーによってフラグが進み、涼が質問を変えるたびにすべての住民に回答が用意されている。

  • 的確に指をさして、進みべき方向を示してくれる住民
  • 「さ~わからないね~」とそっけなく答える住民

 

わからないことでも、わからないなりに自分が持っている情報を教えてくれたり、わかっていても、適当の「あそこにあるじゃないですか」と、こそあど言葉を連発するなど、住民の回答には、様々なグラディエーションがある。

ひたすら、自分の店を宣伝してきて、スキップできないが、これはこれで味がある

 

そして、訪ねた住民によって攻略の速度や、流れが変わっていくので、結果は同じでも攻略の過程が全く同じには、なりにくい。

 

鳥舞に入れば、住民の数が爆発的に増えたり、「武術店」や「仏具屋」だけでも3店舗ほどありして、正解を探す必要があり、アドベンチャーゲームとしての攻略の難易度は上がる。

 

面倒と感じることはあるが、ストーリーを進める道中で、様々なプレイスポットを住民から教えてもらうこともあり、プレイスポットも豊富なため、寄り道につながりやすい。

また、新しいマップの鳥舞につけば、白鹿村のようなファストトラベルがなくなる。非常に不便であるが、白鹿村に比べたら、プレイスポットや屋台が多く、ファストトラベルの削除は面倒ではあるが、白鹿村ほど気になるレベルではない。

むしろ、一定の情報収集して、帰宅して、また自分の足で情報収集していくことが、病みつきになってしまう時期もあった。

 

また、ファストトラベルを切ったことにより、何度も街の中を往来していく過程で、「ここを曲がれば新天地でギャンブルができるな」「ここは、鳥のミニゲームがあるね」と覚えていく。

どれも同じような道、見知らぬ街への不安もあり、マップもわかりづらいが、ストーリーが終盤に差し掛かれば、自分の庭のように、鳥舞の街は住みやすく、わかりやすい街に変わっていく。

シェンムー3 マップ

天候もリアルタイムに変化し、一世代前のグラフィックなのに美しいと感じられる

攻略サイトにべったり張り付くこともないし、マップとにらめっこする必要がなく楽しめる。

キャラクターが強くなったから面白い、操作がうまくなったから面白いではなく

  • あらゆるスポットの遊び方がわかったから面白い
  • 住民の反応がフレンドリーになったから面白い

といった、箱庭に愛着をもっていく過程に楽しみを覚えられるという点が、シェンムーでしか味わえない面白さであり、リアリティや地道な作りこみが功を奏しているといえる。

小ネタも満載

シェンムー以外にも、精神的続編といえる「龍が如く」のレビュー記事をいくつか記載しています。よろしければ参考にしてください。

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なぜか二度も同じ行程を要求される攻略の意欲がなくなるストーリー プレイ時間がとてもかかる

箱庭の作りこみや、世界観がしっかりとしており、一つのポスターやオブジェクトにも物語が込められているマップと異なり、ストーリーはひどく退屈なものになっている。

シェンムーのストーリーは、主人公の涼が、父を藍帝という中国からの道場破りに殺されて、復習を誓うという話。

 

3に限れば、そのメインストーリーは残っているが、中国で出会ったシェンファという女性の父親を捜すというのが大枠のストーリーになっている。

シェンファの父を探す過程で、シェンファへの愛着がわいたり、涼の父が白鹿村で修行していたという事実をしり、父のルーツを探す旅にもなっている。

かなり壮大に聞こえるが、メインストーリーでやる行程は

    1. 石彫師がさらわれた
    2. 石彫師をさらったゴロツキを探す
    3. ゴロツキを探すために聞き込みをする
    4. ゴロツキをみつけて、戦闘する
    5. ゴロツキに逃げられる
    6. ゴロツキのボスと戦うがやられる
    7. ゴロツキのボスを倒すために、修行して、奥義を身に着ける
    8. ゴロツキのボスを倒す

なぜこれだけ覚えているのか?

それは白鹿村も鳥舞も全く同じ行程を2回繰り返すからだ。

シェンムー3 修行

2時間以上かけて、ようやく体得した奥義も

シェンムー3 ボス

次の強敵の前ではあっけなくやられる

これは非常に退屈だった。なぜ同じ行程を2回も繰り返す必要があるのかと。

普通のアドベンチャーゲームであれば、新しい街に移れば、本格的にストーリーが動き出したり、幹部級の相手と連戦したりする。

 

攻略の過程も似ている。

例えば、ゴロツキのボスを倒すために奥義を習得するのだが、習得するためには2000元、5000元と大金が必要になる。

参考までに2分ぐらいかかるまき割りが1回あたり50元、5分ぐらいかかるフォークリフトが1回あたり240元ぐらいである。

シェンムー3 フォークリフト

まき割りよりは稼げるが、時間効率の悪いフォークリフト

アルバイトなら膨大な時間がかかるため、生薬をセットにして売ったりするのだが、一番効率がいい攻略法は、ギャンブルだ。

このゲームは、どこでもオートセーブができるので、ギャンブルプレイ前にセーブして、最高額をベットして、負けたらロード、勝てば続行を繰り返せばいい。

シェンムー3 ギャンブル

現実でもロードできたら、延々競馬をやっていると思う

 

そういう「ズル」ができるため、お金を集めるための攻略に幅を持たせているようで、実はやれることが、限られている。

 

シェンムー3 お使い

敵の居城に乗り込んだにも関わらず、まさかのお使いがまっている

 

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不便さが没入へと成功している点と、失敗している点の差が大きい

また、前回の第一印象で言及したように、シェンムー3の戦闘はひどく単調で、戦っている爽快感がない。

ストーリーを進めるということは、必然的に戦闘していくことになり、ストーリーの作業感と、戦闘のつまらなさが相まって、終盤はメインストーリーを進めることをためらってしまった。(ネガティブな意味で)

 

インターフェイスに関して、シェンムー3は改善すべき点が多く、続編で以下の問題が改善される限り、発売日に購入することは難しいだろう。

まず、会話のスキップ、ムービーのスキップができない

会話のスキップは、ゲーム内のリアリティを損なわないためかもしれないが、シェンファとの挨拶などは、何度も繰り返されるためスキップできる。また、一度会話した内容はスキップできるし、なぜか初見の会話でもスキップできるものがある。

これは、まだ許せる範囲だが、ムービーはスキップはおろか、ポーズをかけることもできない。それで3分ほど会話が続くムービーがあれば、退出もできないし、集中力も続かない。

 

 

ムービーにしても、涼の寝起きなど繰り返されるものは、スキップできる。

あえて、スキップできないようにしているともいえるが、私は「なぜスキップできるものをしないのか?」と疑問と不便さしか、感じられなかった。

 

 

次に、体力ゲージが走ることで減少するという基本システムについて。

これは、ゲーム内の食品店や、変動する食料の価格を考えたり、金策も考えて行動するというシュミレーション要素というとらえ方もできる。

しかし、これも体力とスタミナゲージを分けた方がよかったと思う。

古い作品だが「侍道2」という同じ箱庭で街を回るゲームが昔あった。「侍道2」は気力ゲージという概念があって、移動することで減少して、ゼロになると意識を失ってしまって、時間を失うというものだった。

 

 

シェンムー3もこのようなシステムでよかったのではないだろうか?

体力とスタミナが一体化されたことによって、道場での修行が億劫になったり、走り続けたうえで、いきなりエンカウントが起こって、リトライする羽目になったりした。

そのため、管理していく楽しさよりも、行動がネガティブになっていく不便さのほうが、勝ってしまった。

 

 

また、ムービー中に突然あらわれるQTEは、時代遅れのみならず、一度目は高確率で失敗するような速さであり、結局何度も同じようなムービーを見る羽目になる。

シェンムー3 QTE

わざわざ導入する理由が乏しい

そして、一番改善すべきポイントは、戦闘だろう。

  • ヒットエフェクトがいまひとつで、爽快感がない
  • 涼にのけぞりやダウンがないため、周りに囲まれるとあっという間にやられてしまう極端な調整
  • 投げがないため、ガードで固められるとどうしようもない。結果隙の少ない技を連発する。
  • 避けの移動が少なく、攻撃をあてたあとに高確率で反撃を食らう
  • 相手は、ガードの上に攻撃を与えても無傷なのに、こちらは削りを食らうことがある。しかもかなり削りダメージを受ける
  • 戦闘中に使える回復薬が、かなり高い(300元ぐらい)ので、龍が如くのように回復ドリンクを買い込んで、戦闘ばかり楽しむことができない
  • アクションが大きい技でも、相手をダウンさせられずこちらの隙を見せるばかりで、技のリスクリターンが見合っていないものが多い
シェンムー3 戦闘

終盤は、集団戦が多い

正直、これだけの不満を感じた。

地道な修行をして、涼が少しずつ強くなっていく過程は、楽しく感じることができたが、その結果をお披露目する戦闘が、かなりお粗末なのだ。

武闘がゲームの一つの要素であれば、ブラッシュアップ、あるいは一からシステムを見直して、作り直さなければ、シェンムー4をプレイしたいと思えない。

 

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箱庭アドベンチャーゲームとしてのマップの作りこみ、攻略の面白さは近年のゲームにはない魅力がある

最初から最後まで、お使い感が強く、矮小化されたストーリーや、不便なインターフェイス、そして、貧相な戦闘と課題の多い作品であることに間違いない。

「デス・ストランディング」は、ゲームの根幹が作業ゲームであるが、インターフェイスはプレイヤーにとって利便性の高いものが多く、失敗はこちらの責任であると、感じられるものが多かった。

しかし、箱庭の作りこみは、AAA作品のオープンワールドゲームを凌駕するものがあり、NPCの会話パターンの作りこみも凄まじい。

 

 

無駄や面倒と思って、なくしたものが、実はゲームへの没入感につながっていた、と気づかせてくれる作品だ。

クリアしている段階で、白鹿村、鳥舞への愛着はかなり強いものになっているだろう。この二つの街を気軽に行き来できないのが、残念で仕方ない。

 

今回のエンジンやノウハウを、本格的なアドベンチャーゲーム、例えば探偵もののミステリー作品に落とし込むと、素晴らしい作品ができるかもしれない。

事実、シェンムー3の聞き込みや、探索は「楽しい」と思える時間があったからだ。

万人に勧められる作品ではなく、ほかにもプレイすべき作品はたくさんある。しかし、シェンムー未経験だからプレイしないのは、もったいない。

シェンムー3 メモ

涼とプレイヤーの気持ちがシンクロした瞬間・・・はやく本題にはいってくれ

シェンムー3以外にも、2019年に発売されたゲームのレビューをいろいろやっています。よろしければ参考にしてください。