バイオハザード7 感想・考察 最高傑作と言われた1、4に劣らぬ「なぜ怖いのに没頭してプレイしたくなるのか?」

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世界が注目する超人気IPの最新作。バイオハザード7。
バイオが好きでこのソフトのためにPS4を買った知人もいたし、僕もそれに乗っかって当初は買う予定はなかったけど購入して、そして知人よりも先にクリアして(笑)どっぷり嵌った。

プレイ時間 12時間
難易度ノーマル(8時間)カジュアル(3時間40分)でクリア

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まず考察に入る前に・・・・・・

現在はサイトでのネタバレやプレイ動画が複数アップされているが、バイオ7ほど過去のバイオに比べて初見向けのトリックやストーリーが盛り込まれている作品はない。あえていうならもうストーリーを知っていたり、仕組みが分かったのならプレイする必要はあまりない。

初見にとっては数多くのビビりポイント、謎解きの快感ポイント、ボスの攻略した達成感ポイントがこれでもかと8~10時間の初回プレイに詰め込まれており、この体験で7000円なら元は取れていると僕は感じている。

このブログでは「プレイしてこんなプレイ体験でしたよ」と一部の方からはネタバレと指摘されかねない内容と含んでいるが、プレイ画像や根幹にまつわるネタバレは極力控えるつもりだ。読まれて少しでも興味が沸いた人はプレイしていただきたい。

 

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固定カメラからアイソレートビュー(FPS)へ

バイオハザードの歴史に視点の変更あり。
固定カメラ→ビハインドカメラ(3人称)→アイソレートビュー(1人称)へと変遷を遂げてきた。

この流れは死角が増え、プレイヤーが得られる情報が限定されていき、結果状況把握が困難になるという恐怖演出を煽っている。

バイオハザードは何度かフルモデルチェンジを繰り返しながらホラーゲーム、アクションアドベンチャーという消費されるジャンルでもしっかりと存在感を発揮している。

そしてバイオハザードが行ってきたのは洗練化である。

初代バイオはアーロンインザダークを参考にし、固定カメラとラジコン操作による不便さ、開発側が視点をコントロールして恐怖を演出する手法を編み出した。

バイオ4は三人称アクションながらビハインドカメラというキャラの背面を主体にカメラを固定し、固定カメラの状況把握と一人称の一体感を両立させた。

そしてバイオ7は一人称のファーストパーソンアドベンチャー。このジャンル自体はバイオショックを筆頭にすでに開拓はされている。

(バイオシリーズへのリスペクトも感じられ、レコーダーを聞きながら物語の深みに入っていく。また超能力を用いたバトルと謎解きも本作の持ち味)

しかしながら、この2017年に遊んでも新しい発見の多いファーストパーソンアドベンチャーであることは最初に力説しておきたい。

今回7の開発者たちは新しいエンジンや写実的な描写に力を加え、主観だからこそ目の前の腐敗、オブジェ、微細な虫などがはっきり視認し、目の前の状況を理解して上で今いる状況が恐ろしいとリアルタイムでプレイヤーに感じさせる試みをしている。

これも著名な国内ホラーゲームの零シリーズのように見たくないものをあえてズームで一人称でみさせる状況を作っている。

画面上で表示されるインターフェイスも過去作に比べると非常にスマートでキーアイテムや弾薬などは固定カメラやビハインドの時のようにピカピカとわかりやすく光って教えてくれるのではなく、オブジェクトに近づいてあるかどうかを確認する必要がある。過去作に比べると不便ではあるが探索要素は増している。いちいち気味の悪いオブジェクトに近づく必要があるので恐怖演出の強化にもつながっている。

一人称なので精神的に疲れるが、目の前がどのように変化していくのかという知的好奇心が勝って久しぶりに一日に4時間ぐらいで2~3日で攻略してしまった。

アイソレートビューは見たくないものをいやでもしっかり見させてくれる。そしてオブジェクトの一つ一つがしっかり作りこまれて、海外のAAAタイトルなどでは空間づくりが天才的だが、国内の作品ということもあって箱庭的に細かいオブジェクトの遊びや細やかながらも作りこまれている謎解きで遊ばせてくれる。正真正銘バイオ7は国内産の上質なホラーゲームだ。

一人称だから突然目の前に敵が現れるなどの驚きの恐怖も備えながらも、ここにいたくないという空間的恐怖というアメリカンホラーとジャパニーズホラーの融和を実感できる。

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サバイバルホラーの再定義

海外メディアでもバイオ5のあたりからバイオシリーズにサバイバルホラーとしての恐怖が必要であると説く記事が点在していた。

バイオハザードは恐怖よりもシューティングとしての爽快感によってしまった。それがバイオファンの見解であった。

バイオ7は恐怖に対して初代のようなアプローチで原点回帰を目指した作品だ。ところどころプレイヤーに不利な状況、理不尽な設定を加えている。

・主人公は一般人で弾薬のリロードが遅い
・弾薬は少なめに設定
・敵を倒してもドロップアイテムはない
・ダメージを受けると視界が血で制限されていく
・難易度によってチェックポイントの数が変わる

弾薬を節約しながら、戦う場面と逃げる場面を自分で考えながらやりくりして、ボス戦では豊富な弾薬で圧倒するという抑圧と解放のバランスはバイオ1生みの親三上氏が製作したサイコブレイクよりも体感しやすい。弾薬はマップ内の配置や限定されたアイテムで精製するので、館のどこにアイテムがあるか探索に時間をかければかけるほどプレイヤーに有利になるが、反面敵と遭遇しやすいというデメリットもあるというプレイヤーの行動にちゃんとメリット・デメリットがあるのも好感が持てる。

また以前のシリーズは序盤から終盤まで取得したアイテムがずっと引き継がれていくため、序盤から節約プレイすれば終盤が有利にあるというある意味単調なつくりになっていた。
バイオ7ではところどころ武器の取得がリセットされ、別のキャラで一から探索を要する場面が生まれるなどSIRENシリーズのように現地調達や武器がない状態での敵との対峙という場面が生まれやすく、無防備であることの不安をうまく煽っている。その丸腰状態から徐々にどのアイテムを使えば弾薬を節約するかをまた考え直して、理想の状態に戻してくのも快感を覚える。

サバイバルホラーを謳いながら今一つな作品はこの「プレイヤーが不利な状況に耐えて我慢した先に快感というご褒美がある」という条件をクリアできていないものが多い。

 

 

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ストーリーの手引きはどうか?

バイオハザード7は序盤はサイコブレイクのようになぜ目の前の家族は狂っていて、自分は混とんとした状況に追い込まれているのかという理解が全く追いつかず、謎や伏線にまみれた内容になっている。

(バイオの生みの親三上氏がスカイリムやフォールアウトのベセスダのパブリッシングを受けて製作。三上製作のバイオ5という解釈とされている。)

サイコブレイクの記事でも書いたが、ホラーゲームのストーリーは

①バイオハザードのように単調でわかりやすく、ストーリーを把握する必要はなく目の前の状況に没頭できる環境
②SIRENのように意味が分からな過ぎてストーリーを考えることを諦めて目の前の状況にとりあえず没頭しようと思える環境

結論から言うとバイオ7のストーリーはこれまでのシリーズを踏襲した生物災害で人間のエゴなどが絡んだわかりやすい内容になっている。またレポートや書き残しにもぞくっと来る一説などプレイヤーがストーリーをわからなくてもムービーで租借できる一方で、レポートを読めば恐怖の神髄に触れることができる。

さらにバイオ7からの新しい試みとしてビデオテープの存在をあげたい。

マップ上に落とされているビデオテープを視聴することで、主人公の今いる別の時間軸、キャラクターでストーリーを別角度から見ることができる。ビデオテープではあるが別のキャラクターを操作し、かくれんぼや謎解きとメインとは違う恐怖体験を堪能することができる。
さらにビデオテープの内容はこれから主人公が歩むマップをあらかじめ先行体験したり、行き詰ったときのキーアイテムの場所がわかるなど攻略の手引きになっている。ホラーゲームでありながら次の展開を示すのはマイナスポイントかもしれないが逆に「次はどのような角度で攻めてくるのか?」が気になってこれもまたプレイの意欲をとてもわかせてくれる。

また先の展開がわかっているからこそ「次は俺の番かもしれない……」
何もわからないということも不安を煽り、恐怖へとつながるが、一番効果的なのは一度嫌な体験をしてそれをもう一度味合わなければならないという経験からの臆病などによる恐怖だ。バイオ7はそれをビデオテープという手法を用いて効果的に示している。

セールポイントを列挙したがもちろんデメリットもある。
冒頭で述べたように初回の体験に全力をあげているため、二週目以降はムービーがスキップできない(ほぼ実機映像というのもあるが)不便さや一部仕掛けをスキップはできるが、謎解き主流などで新鮮味は薄れ、4~6のように戦闘で腕を上げていくような周回時のやり込みもあまり感じられない。(ただ難易度ハードにあたるマッドハウスは楽しみ)

あとグラフィックは非常に美麗であるが、一部テクスチャが砕けるときなどは荒れて微妙なかくついたグラフィックがあったりもする。

あとロードは一度始めると一括ロードだがゲーム開始後の読み込みが非常に長い。

プレイ中にフリーズしたり、何かしらのバグに遭遇しなかったのでこれらデメリットは我慢できるレベルだと思う。

バイオハザード7は確かにホラーゲームでプレイするのに臆するタイプの作品だ。国内グロテスクバージョンは海外よりも規制されているらしいが、それでもプレイヤーにトラウマや刺激を植え付けるだけの描写はあるとゲームをバリバリやってきた♂でも感じる。

「この先に一体何があるのだろうか?」「ここまでコテンパンにされたのだから絶対にやりかえしてやる」という混乱した状況から開き直って目の前の状況に立ち向かうという不思議な精神状態のも陥った。それがバイオ7の没入感の本質なのかもしれない。

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僕のブログ、結構ホラーゲーム取り上げてたんですね……

もかとうつされたパッケージだが、このあまりにもシンプルなパッケージは本作が物語を一度リセットし、プレイヤーが主人公と同じように一人の体験者として目の前のトラブルや人物と関わってほしいという意図を感じさせる)

(過去作がバイオの名物キャラクターがこれで