再考 なぜ僕らは花畑牧場の最高にうまいといえるわけでもない生キャラメルに熱狂したのか?

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およそ8年前、テレビでは連日話題となり、僕のまわりでも「食べた」「食べない」「うまい」「たいしたことない」という評判で連日のようににぎわっていた。

牧場経営者というよりはテレビチャンピオンのMCというイメージが強かった田中義剛が経営する花畑牧場から手作りで作られた生キャラメル。現在でも生チョコレートの方が主流ではあるが、「なめらかで口でさっととろける」という生の定義をキャラメルにも定着させ全国に普及させた影響は計り知れない。

衝撃!生キャラメルブームから8年、花畑牧場「田中義剛」の現在

ちょっと機会があってギフトで注文することになったので今一度この生キャラメルを振り返りながら味わおうと思う。 

価格は送料も含めて3000円と少し、まぁかなり高いです。

フレーバーはプレーン、チョコレート、夕張メロンの三つ。チョコレートは本当にキャラメルの口触りのチョコレート味。夕張メロンは少しプレーンの風味を含みつつもしっかりメロンの味わいも感じさせる。一日ひと箱あっという間に完食してしまった。
しかし、それはあまりにもおいしかったから消えてしまったというそれとはどこか違う。

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高級スイーツを演出する仕組み

一粒あたり約100円、一粒口にほおばると5秒ほどで消えてしまう。
多くの一般人にとってなじみがあるのは森永のミルクキャラメルであり、花畑牧場の生キャラメルは森永ミルクキャラメルと真逆のコンセプトを貫いたから成功したといえる。
高級であるということはなにも味が最高にうまいとか価格が異常に高いとかそういう単純な一元論でまとまらず、大衆に親しまれているものといかに違う角度で体験を味合わせるかということろに核がある。

わざわざキャラメルを一粒ずつシートで包装で木箱のケースに大層に8つ空いたスペースもおおいので飾っている。ぎっしりと固形で詰め込まれた森永ミルクキャラメルばかりを食べてきた僕らはその生キャラメルの姿にカルチャーショックを覚えたものだった。

味は確かに既存のキャラメルと違って濃厚でミルクのまろやかさと甘さに終始包み込まれる体験ができるのだが、その味がずっと続くのではなくあっという間に消えてしまう。だからその味をもう一度確かめるように二つ目、三つ目と手が進む。少ししか入っていないがその少しだけのキャラメルもあっという間に消えてしまうという儚さが生キャラメルへの執着心をさらにあおっている。まるでギャンブルにおける射幸心のようだ。

これはゴディバなどの高級チョコレートにも同じことが言える。高級なチョコレートであればあるほど量が驚くほど少なく、小さな固形で無限の可能性を感じさせたと思えば即味が途絶えてしまう。一瞬の絶頂がその高級スイーツをより高級スイーツたらしめる。

コンビニスイーツは進化を続け、うまくて安くて、ボリューミーが主流になりつつある。だから生キャラメルと再会すると物足りない、価格が高いという不満点も浮き彫りになってくる。

狂言の演目で水あめが嗜好品の中心で、目を盗んでたくさん食べるように、わずかばかりの高価なキャラメルをほおばるというところに先進国ならではの遊びと贅沢がつまっている。

心理学の実験でも同じ味と値段のクッキーなのに量が少ないクッキーの方がおいしく価値があると人は錯覚してしまうという実験がされたことがあるという。

花畑牧場の生キャラメルが最も優れているのは味ではなく食感だ。僕もつられて生キャラメルを自分で作った経験があるが、味は近づけることができてもバターのようにさっとじわっととろけるように作ることはできない。ホームページでも素材以上に加熱調整に自信を持っていた。


(わりかし本気でほしいと思っていたが、絶対に1,2回使ったら台所で邪魔になる未来が見えすぎてしまった)

僕らは決して粗末なキャラメルを食べていたわけではない。ケーキにかかっていたり、シュークリームにはいっていたり、キャラメルマキアートとして提供されていたエッセンスとしての液状のキャラメルなどには親近感があり、高級なキャラメルがいかなる味かという自覚はあったが、固形キャラメルにはまるで関心がなかった。

ヒットする商品は必ず隙間をついてくるものだが、キャラメルほど食感が重視されるお菓子はないという花畑牧場の提言は多くの人々が納得するものであり、スイーツは別に生活必需品でもなくただの嗜好品という原点に立ち返って味や満腹感だけではなく食感という別の角度からもこだわり、楽しむということを再認識させるものだ。

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(しかし昼食レベルの金額をたった数個のキャラメルに払うというのは素面で考えると狂気の沙汰といえなくもない)

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