ここはへヴィメタルのユートピア メガデス新譜 「DYSTOPIA」感想

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重鎮として、世界的にファンを獲得し、セールスを記録しつつも、いまだにほぼ2年おきにコンスタントにアルバムを作り続けるデイヴ・ムステインの創作欲はどこから湧くのだろう……

2016-02-14-035417

スラッシュメタル路線の回帰をうたったエンドゲームからリードギターのクリス・ブロデリックが加入し、激しいギターソロと攻撃的なリフで楽しませてくれたが、音楽性の違いからドラマー含め脱退。

そんなムステインが新しく招集したのがアングラのキコ・ルーレイロとラム・オブ・ゴッドのクリス・アドラー。キコはアングラと二足の草鞋で正式メンバーとなり、クリスは今回のアルバムでゲスト出演という形式をとっている。

結論から言うと全体のバランス、緩急、リフとソロを畳みかけていく複雑で飽きさせない構成と単曲でも通しでも聞くことのできる高次元にまとまったへヴィメタルアルバム。

ムステインのリフメーカーの才能が1~3で爆発し、4~6でもパンチの効いたキャッチーで長時間聞きたいと思わせるリフがあふれている。腹八分目の満足感だからこそ、何回聞いてもしつこくなく、次の日にはもう一度聞いてみたいと手に取りたくなる。

アングラで長年活躍したキコの情緒的で短時間でもインパクトのあるソロは前任のクリスのように自ら主張するのではなく、曲の雰囲気を支えるようにでもなければ曲が味気なくなるような縁の下の力持ちのような役割。後半の7,8は彼のアイデアで採用されたアコースティックギターやピアノの旋律により、曲に儚さ、切なさとなった感情が強調されている。

スラッシュ要素は強い方ではないが、単に早いリフや聞きづらいソロを飛ばされるのではなく、曲の中に複数のソロとリフを聞きやすいように丁寧に時間を区切って展開している。
「あと1ループでも同じリフを続ければ聞き手は飽きるだろう」というムステインの絶妙なさじ加減による構成の妙は新人ではなしえない古株だからこその老練さがさえわたる。

8~9は8はインストゥメンタルで4分程度ながらアコースティックから重厚なエレキギターのリフ、ドラム、ベースが重なることで壮大な作品に仕上がっており、その壮大さを突き破るように激しいメガデスの代名詞といえるザクザクとしたリフが展開される。これをオープニングにあえて持ってくるのではなく、中盤の中だるみしかねないところで配置するとこに一曲ごとのインパクトを重視したいままでの作品とは違い、完成されたアルバムを目指そうという意欲が感じられる。

そしてラストの10~12は王道のリフA→リフB→ギターソロ→リフAというシンプルな構成。10はメロコアのようなインパクト重視のリフでミドルテンポと思わせつつ、ソロはホーリーウォーズのように激しくかきならすという意外性をぶつけてくる。日本版ボーナストラックの12はジューダスプリーストのような硬派でシンプルにかっこいいリフで最後までへヴィメタルのフルコースという満腹感により、へヴィメタルのユートピアな作品となっている。

アルバムの構成力、飽きさせない工夫は全盛期の4th、5thを超えて、あらゆるへヴィメタルのリフパターン、ソロパターンを詰め込んだまさに下手な寄せ集めのベストアルバムよりも現在のメガデスのベストアルバムを作るならばこれだといわんばかりの秀作だった。

アルバムを紹介するときはキャッチーで聞きやすい曲から勧めるが、この作品に関しては1から全部聞いてほしいといえる。

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