ゲーム温故知新 第3回 「ATARI CLASSICS EVOLVED」から学ぶメディア「ゲーム」の独立

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家庭用ゲーム機に初めてカートリッジ交換という概念を定着させ、ハードのコストダウンとソフトさえあれば様々なゲーム機を遊べる利便性から多大な影響を及ぼしたATARI2600を生みだしたアメリカのATARI社。

反面、ゲーム界を破滅寸前に追い込んだ粗製濫造のアタリショックが業界内ではあまりにも有名となり、セガとは比較ならないほど、ATARIはETやアタリショック、ジャガーなどのレッテルを貼られるようになってしまった。

だが、70年代~80年代初頭のATARIのアーケードゲーム集といえる本作をプレイすると、今日のゲーム業界にどれほどの影響を与えたかを伺い知ることができる。

Atari Classics Evolved(輸入版) Atari Classics Evolved(輸入版)
(2007/12/18)
Sony PSP

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(11本のゲームにはそれぞれ4つの実績が存在し、実績をクリアすることでATARI2600の作品をプレイできる。残念ながら筆者の腕は未熟すぎるため未だ開放に至っていない…他に「ナムコミュージアム」同様に3Dグラフィックで再現したアレンジバージョンが存在するが、ほぼ原作に忠実な内容になっている。一部PONGやLUNARLANDERなどはプレイしやすくなっている)

対人戦という遊び方

ATARIと言えば、世界最古のゲーム「TENNIS FOR TWO」、世界最古の家庭用ゲーム機odysseyの1ゲームをモデルに「PONG」を1972年に開発したことで有名である。


(タイトーのスペースインベーダーもそうだが、ゲームにおける…いやメディアにおける著作権というものがまだあやふやな時代だったということがよくわかる)

見た目はピンポンともテニスともテーブルホッケーとも取りづらいが、板を動かし、ミクロサイズのドットを撃ちあって点数を競うという競技性を本格的に取り入れた作品だと思われる。

ただ現実のスポーツ要素を取り入れるのではなく、球をはじいた板の位置によって撃ち返される方向が変化したり、独特の電子音によって没入感を引き出すというゲームにおいては基本的なツボをしっかり押さえた内容になっている。

…といってもやはりPONGという作品はしっかりとゲーム内で得点を計算し、勝敗をつけ、二人同時プレイ可能という対戦ゲームのひな型を形成したことが重要だろう。

次に一人用PONGともいえるBREAK OUT(ブロックくずし)をリリースし、ブロックを壊す爽快感とスコアを競う熱中度により、現在も姿かたちを変え世界中のゲーマーに親しまれる作品となった。


(後年、タイトーによってステージクリア性を導入し一人用として際立った進化を見せたアルカノイド)

既に対人戦ゲームとして完成されたPONGと一人用として中毒性の高いBREAK OUTをリリースしたATARIは1980年にWARLORSを出す。画面の端4マスに陣地が配置され、球を相手の陣地にぶつけていって、堀をはがしながら最終的に本丸を崩す。生き残った者が勝者という作品である。

浮遊または相手が打った球をキャッチすることで打ち出す方向を自分で決めるとともに強力な一撃を相手に見舞うことが可能である。

国内でもストリートファイターⅡを初めに対戦ゲームが社会現象をもたらすが、多人数がゲーム内に干渉するオンラインゲームの親しまれ方はアメリカ=対戦傾向、日本=協力傾向にあるといわれている。

もしかすると、アメリカではPONG、日本ではスペースインベーダーというゲームブーム文化が反映されているのかもしれない。

ゲームならではの表現の確立

ゲーム創世期から影響を及ぼしたATARIはゲームの表現をどのような方向に導いたかを考えてみよう。

①SF

ASTEROIDS(1979)

LUNAR LANDER(1979)

1979年に発売されたこの2作品はいずれも宇宙を舞台としたゲームである。

ASTEROIDSは360度任意の方向に移動しながら、無数の隕石を破壊することを目的とした作品。隕石は巨大だが破壊すると細かく分裂していき、破壊が難しくなると共に不用意に破壊すれば自機が追い込まれる。

LUNAR LANDERは月面着陸を題材にしたような作品。インベーダーの登場以降、破壊やSTGおモチーフにした作品ばかりかと思われたが本作は良い意味で新鮮なゲームだといえる。

他に2作で共通する点は機体の動きに慣性が働くこと。スティックを左右に倒してもうねるようにしか動かせない。
LUNAR LANDERは噴射方向をしっかりと考えて移動しないと明後日の方角に飛ばされて機体が散り散りになってしまう。

この2作は冷戦時代の米ソ間の宇宙進出における技術競争を反映した内容であるとともに日本製の作品とは違い、あえて遊びづらい要素を取り入れることによってワイヤーフレームで構成された世界にリアリティを感じさせる方向性を思案したのだろう

②戦争

BATTLE ZONE(1980)

MISSILE COMMAND(1980)

ハードが進化し、CODやGTAなどの写実的な作品が増えたゲームというメディア。だが1980年にして上記の二作は戦争というものが悲惨であることを教示しているような作品に見える。

BATTLE ZONEは一人称で展開され、ワイヤーフレームで構築された敵戦車を砲弾で破壊していく。ワイヤーフレームが切れていく様は爽快であるが、逆にこちらがミサイルを被弾すると画面に亀裂が入る。FPSをはじめ、リアルを追求するアメリカではあるが、互いに一撃で終わり、非常に鈍い戦車で砲弾を敵方向に向ける際の殺伐とした緊張感はすでにゲームというメディアが仮想体験を生み出そうという発芽がうかがえる。

そしてMISSILE COMMAND。これは想像を膨らませるとえげつない作品だ。空中から降ってくるミサイルをこちらも対空ミサイルで迎撃するという作品。打ち損じてしまうと街が壊滅していく。冷戦時代の核戦争の危機を再現したといえば、過去の遺産に見えるが、私たちは国内のニュースで常に核実験、ミサイル打ち上げ、対空ミサイルなどの光景を目にしている。

この2作品はゲームというメディアがプレイヤーの想像力や発想力を拡張させる一面を長所・短所と共にまざまざと見せつける作品である。確かに面白いよくできたシステムの作品ではあるが、面白いだけで済ませていいか判別の難しい作品だ。

③キャラクター

CENTIPEDE(1980)

TEMPEST(1981)
あたり
引用動画 映画の看板と同様に、一枚絵で作品の雰囲気がありありと伝わってくる)

前回紹介した「ギャラクシアン」をさらに発展させ、キノコや木に見えるオブジェクトによってめまぐるしく行動パターンの変わるムカデと常にプレイヤーを狙ってジグザグに突撃する蜘蛛が相手のCENTIPEDE。

歪であるが、ゲーム発のキャラクターを作るとともに、奥にスクロールしていく現在もあまり見られない斬新さをSTGにもたらしたTEMPEST。

1970年代STGで確立された規範を統合した作品と全く新しいルールを導入した作品を同時に作るとともに、無味乾燥な世界観にキャラクターという水滴を垂らそうとしたチャレンジは伺えると思う。

後にパックマンやマリオなどゲーム発のキャラクターが続々と生まれ、ゼビウスやゼルダの伝説などストーリーを独自に紡ぎだす作品が登場した。まさにゲームというメディアの独り立ちの幕開けだといえる。

今回は二つの視点からATARIがどのようにゲーム業界に尽力し、影響をもたらしたかを考えた。まだまだストーリーなどの肉付けはされず、漫然とループし難しくなっていくゲームをプレイするという行程を踏むだけだ。それだけにより深く、一つ一つの操作が及ぼす影響がプレイヤーに伝わってくる。

残念ながら、キャラクターやストーリーを完全に落としこむことは日本に分があったため、差を分けてしまうことになるのだがゲームをメジャーメディアに押し上げたATARIの功績にリスペクトを送りたい。

※参考動画・サイト


(ATARI創業者であるノーラン・ブッシュネルのインタビューだけでなく、ゲーム業界がどのように進歩したかという過程を振り返ることができる)

洋ゲー丼
(皮肉や風刺などをユニークに活用してレビューされる方の本作における感想)


(ATARI2600の紹介)

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